メタバースオフィスとはなにか?導入してビジネスの在り方を変える

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メタバースオフィスとはなにか?導入してビジネスの在り方を変える

リモートワークやハイブリッドワークが普及する一方、コミュニケーションやマネジメントで課題を抱えている企業が増えているようです。社員の勤務状況や作業の進捗状況がわかりにくいという声も聞こえてきます。そのような課題を解決できるサービスとして、メタバースオフィスが注目されています。

しかし、メタバースオフィスの名称は聞いたことがあっても、どのようなものかは知らない方が多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、メタバースオフィスの基本的な知識や利用するメリットとデメリット、今後の展望を解説します。

メタバースオフィスは、仕事の在り方を変えるツールとして今後加速度的に普及する可能性もあるため、ぜひこの機会にチェックしてください。

メタバースオフィスの特徴

まず、メタバースオフィスの特徴を解説します。メタバースオフィスとはどのようなものなのか概要を解説したうえで、おもな機能も紹介します。

■メタバースオフィスとは

メタバースとは、英単語の「meta」と「universe」を組み合わせた造語です。「meta」は「超」、「universe」は「宇宙」を意味します。明確な定義はありませんが、一般的にはインターネット上に構築された仮想空間やサービスを指して、メタバースと呼んでいます。メタバースを利用することで、人々はオンラインで繋がることが可能です。

メタバースの技術や概念をビジネス用途に活用したサービスが、メタバースオフィスです。メタバースオフィスは、インターネット上の仮想的なオフィスとして利用できます。社員同士のコミュニケーションがとれるだけではなく、オフィスにいるような感覚で利用できる点が、グループウェアやチャットツールと大きく異なります。

アバターを使って参加できたり、実際のオフィスと同じようなレイアウトに設計できたりするサービスがあり、実際のオフィスに出社しているような感覚で、テレワークが可能です。グラフィック面では2Dだけではなく、3Dで表示するものも登場しています。

なお、メタバースオフィスはバーチャルオフィスと呼ばれることもありますが、月額料金で住所や電話番号を貸し出すバーチャルオフィスとはまったくの別物です。混同しないように注意しましょう。

■メタバースオフィスの機能

メタバースオフィスのおもな機能は次のとおりです。

  • 勤怠管理
  • ステータス表示
  • ビデオ通話
  • チャット機能
  • ボイスチャット
  • 複数人によるオンライン会議
  • 画面共有
  • アバター
  • フロアデザイン

サービスによっては上記以外の機能も実装されています。

基本的に、実際のオフィスでおこなうような仕事は、メタバースオフィスのなかでも行えるようになっています。それに加えて、アバターやフロアデザインなどの機能で、遠くにいても周囲の社員の状況がわかりやすいのが大きな特徴です。

フロア画面には社員それぞれの席を配置できるため、離席していたらすぐわかります。アバターの動作や表情などで、現在の感情も認識可能です。また、フロア内の会話では、画面上のアバターの位置や自分との距離によって聞こえてくる方向や、音量が変わるようなものもあります。

メタバースオフィスは新しいサービスのため、機能は今後も増えていくことが予想されます。将来的にどうなるかまだわからない部分もありますが、さらに便利に使いやすくなっていくと予想している専門家も多いようです。

メタバースオフィスの導入で期待できるメリット

メタバースオフィスの導入によって期待できるメリットを解説します。どのようなメリットが期待できるのか、それは自社にとってもメリットになるかを考慮して導入を検討しましょう。

■コミュニケーション設計の効率化

メタバースオフィスの導入で期待できるメリットとして大きいのが、コミュニケーション設計の効率化です。従来のテレワークでは相手の現状が見えにくく、部下や上司が現在どのような状態なのか、わかりにくい面がありました。

しかし、メタバースオフィスでは、各社員の状態がアバターの表情や仕草で表現されるため、「現在会議中か」「話しかけても良い状態か」などがすぐにわかります。離席している場合も、画面上で確認可能です。

話すタイミングを伺いやすいため、チャットより気軽に声をかけやすいのは大きなメリットと言えるでしょう。コミュニケーション設計が強化されたメタバースオフィスの利用で、テレワークでも社員同士の円滑なコミュニケーションが期待できます。

 

テレワークに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

■勤務や作業状況の可視化

社員の勤務状況を可視化できるのも、メタバースオフィスを利用するメリットです。最近では、テレワークを実施する企業が増えていますが、マネジメントの難しさを感じている管理職の方は多いのではないでしょうか。

オンラインミーティングやチャットだけで、社員が現在行っている作業内容を把握するのは難しいといわざるをえません。とはいえ、細かく連絡を入れるのは手間がかかるだけではなく、相手の作業を止めてしまうリスクもあります。

その点、メタバースオフィスでは社員の状況がステータス表示されるため、相手に細かく連絡をしなくても状況を把握可能です。資料の共有などもスムーズに行えるため、進捗の確認もしやすくなっています。実際にオフィスにいるような感覚で、現在社員が何をやっているのか確認可能です。

■新たなインセンティブの導入

メタバース関連のニュースやサービスで、よく話題にあがるのが「NFT」です。NFTは、画像や映像などのデジタルデータに対して所有者や作者の情報を記録できる技術です。NFTの登場によって、今までは難しかった「デジタル資産の所有者の明確化」が可能になりました。最近では、NFTを利用した高額な投資取引をおこなう人も出てきています。メタバースとともに、今後注目の技術と言えるでしょう。

すでに、NFTの技術を活用したメタバースオフィスも登場しています。アバターをNFT化できるサービスでは、サービス内で使用できるアバターの販売が開始されているほか、仕事に応じてNFT化されたアバターを取得できるシステムも搭載されています。

取得したアバターは独自にカスタマイズしたり、マーケットプレイスで販売したりすることも可能です。今後はNFTの技術を活用して、社員にとっての新たなインセンティブにつながることが期待されています。

メタバースオフィスサービスの選び方

メタバースオフィスを提供している会社は複数あります。実装されている機能やサービス内容が異なるため、自社に合った選び方のポイントをおさえておきましょう。

■業務に必要な機能が備わっているか

導入する目的を明確化したうえで、業務に必要な機能が備わっているか確認しましょう。メタバースオフィスを提供している会社やサービスによって、備わっているサービスに違いがあるためです。

たとえば、社員同士のコミュニケーション強化を目的としているのならば、セキュリティ機能が搭載された通話ができるか、アバターによる感情表現などの機能があるかを確認しましょう。

業務の効率化が目的だったら、データのやり取りやオンライン会議がスムーズにできるかは確認しておきたいところです。また、出勤・退勤の管理が目的であれば、正確に勤怠管理できる機能が備わっていることを確認すると良いでしょう。

■パソコンへの負荷が軽いか

メタバースオフィスを利用する場合は、パソコンのメモリの負荷に注意しましょう。メモリに負荷がかかりすぎて動作に遅延が発生してしまうと、生産性が落ちて仕事に支障が出てしまいます。

そのため、なるべく負荷の低いメタバースオフィスのサービスを選びましょう。実際にオフィスにいるようなフロア画面や、アバターの動きなどは視覚的にわかりやすいメリットがありますが、パソコンに対する負荷は比較的大きい傾向があります。

メタバースオフィスのサービスを提供している会社の公式サイトには、利用するためのパソコン推奨スペックが掲載されています。会社から社員に貸与しているパソコンが推奨スペックを満たしているか確認しましょう。

メモリやハードディスク、SSDなどが推奨スペックを満たしていない場合は、増設で対応することも考えられますが、CPUが推奨スペックを満たしていない場合はパソコンの買い換えを検討する必要があります。

■コストとサービス内容が見合っているか

利用するために必要なコストを確認して、サービス内容と見合っているか検討しましょう。業務の効率化や改善など、そのコストを払った分の効果アップが見込めると判断できれば、導入する価値があると考えられます。

予算内に収まるかも重要です。メタバースオフィスは基本的に月額制ですが、サービスによっては初期費用がかかります。初期費用と月額料金をトータルで考慮して、予算に収まるか、無理なく支払いができる金額かも確認しましょう。最低契約期間が設けられているサービスもあるため、導入する際は注意が必要です。

予算を超えてしまいそうな場合は、料金プランをワンランク下げることも検討すると良いでしょう。同時接続可能人数や作成できるフロアの規模は下がってしまいますが、そのサービス内容で業務的に問題なければ、コストを下げて契約できます。

メタバースオフィスを導入する際の確認事項

メタバースオフィスを導入する際には、確認しておくべき事項がいくつかあります。本章では、まだ登場してから新しいサービスのため、現段階では種類が限られていることや、通信環境の整備が必須であること、社員への周知も重要なことなど、導入前に確認しておきたいことを詳しく解説します。

■サービスの種類は限られている

2022年6月現在、メタバースオフィスはまだ黎明期です。完成されたツールではなく、これからさらに発展する段階にあります。サービスが出揃っている状況ではないため、現段階では自社にマッチしたものが見つからない可能性も考えられます。

採用する企業は増加傾向ですが、まだ普及しているとは言えない状態です。今後の発展性も考慮したうえで選ぶ必要があるため、自社に最適なサービスを選定するのが少し難しいかもしれません。

今後、メタバースオフィスのサービスを提供する会社は増えていくことが予想されます。現時点で自社で使いたいサービスが見つからない場合は、今後の動向を注視しつつ、サービスが増えてくるまで待つのも選択肢の一つと言えるでしょう。

■社内の通信環境の整備が必須

メタバースオフィスの利用には、常時快適な通信を行える環境が望まれます。しかし、在宅で常時インターネット接続するのが難しい社員がいる場合もあります。必要に応じて、モバイルWi-Fiの貸与などを検討しましょう。その際、モバイルWi-Fiのプランの選択には注意が必要です。

メタバースオフィスは比較的通信量の多いグラフィカルな処理が多く、また業務中は基本的にログインした状態になります。そのため通信量の増加も予想され、従量制の料金契約をしている場合は割高になってしまう可能性があります。通信量を確認したうえで、無制限プランに変更することも検討すると良いでしょう。

また、持ち運びできるパソコンを所持していない社員に対しては、パソコンの貸与が必要となるケースも考えられます。

■ツールの使い方に関する周知

新しいツールの導入を成功させるためには、社員一人ひとりが導入の目的を理解して、使い方を覚えてもらう必要があります。社員研修やセミナーを開催して、導入の目的や使い方、注意点などを周知しましょう。

使用方法がわからなかったときに、社員が質問やサポートを受けられる体制も整えておくと良いでしょう。相談窓口を用意したり、社員専用のイントラサイトに「よくある質問ページ」を設けたりするのも効果的です。

今まで経験したことのないツールを取り入れることで、導入当初は抵抗感があったり、導入に前向きになれなかったりする社員が出てくるかもしれません。そのような社員にも、

メタバースオフィスを導入することで得られるメリットも説明し、積極的に取り組んでもらえるようにしましょう。

メタバースオフィスを導入する流れ

メタバースオフィス導入の流れを解説します。自社に合ったものを選べるよう、まずは無料トライアルから始めてみましょう。

■1.無料トライアルで使用感を確認

メタバースオフィスのサービスを調べて、導入候補になるものがあったら、まず無料トライアルで使用感や機能を確認してみましょう。多くのサービスは、公式サイトで無料トライアルの申し込みを受け付けています。

申し込みフォームに必要事項を入力する必要がありますが、組織名が必須項目となっていることに注意しましょう。個人名だけでは申し込みできません。

無料トライアル期間は、1週間から2週間程度が一般的です。多くのサービスでは、無料トライアル期間中でも、有償版と同じ機能をすべて使用できます。無料トライアル期間中に、なるべく多くさまざまな機能を試してみましょう。

■2.社内で相談して料金プランを決める

導入するサービスが決まったら、社内で相談して料金プランを決めましょう。メタバースオフィスのサービスは、フロアの数や広さ、同時接続可能人数、オプションの有無などでいくつかの料金プランが用意されています。

基本的には月額料金で利用できますが、オンラインイベントや期間限定で短期間だけ利用したい企業向けに週単位で利用できるプランを用意しているサービスもあります。社員数や利用目的に応じて、最適なプランを選びましょう。

■3.正式な契約後ユーザー登録

契約後、ユーザー登録を行います。ユーザー登録は、メタバースオフィスを利用する社員それぞれでおこなう必要があります。企業単位で一括でユーザー登録することはできません。

ユーザー登録が完了したら、各パソコンでログインして初期設定を行います。ログインする際は、ユーザーそれぞれ個別のメールアドレスとパスワードが必要です。

メタバースオフィスの現状と今後の展望

最後に、メタバースオフィスの現状と今後の展望を解説します。

■法整備の兼ね合いのため専門家への相談が必要

2022年現在、メタバースの技術自体が登場してからまだ間もないこともあり、メタバースオフィスに法整備が追いついていないのが現状です。一例として、許認可の問題があります。

現行の法律では、企業は現実世界にオフィスをかまえていることが前提となっています。そのため、仮想空間上のオフィスであるメタバースオフィスだけでは、許認可を得ることができません。現実世界にオフィスをかまえたうえで、メタバースオフィスも導入するのであれば、許認可を得ることができます。

現時点でメタバースオフィスを導入している企業は、現実世界にもオフィスをかまえているため、問題なく許認可を得ることができます。しかし、今後はメタバースオフィスだけで経営していこうとする企業が出てくるかもしれません。

メタバースオフィスに対しては法整備が追いついていないため、法律関係で個別の対応が必要となるケースも考えられます。そのため、現実世界に実在するオフィスを構えずにメタバースオフィスを導入する際は、弁護士のような専門家に相談しながら進めると良いでしょう。

■オフィス環境の新たな選択肢として期待が集まっている

2022年現在、新しいオフィスの形態として、さまざまな企業がコワーキングスペースやレンタルオフィスなどのフレキシブルオフィスを採用しています。メタバースオフィスも、オフィス環境の新たな選択肢の一つとして注目されつつある状況です。

メタバースは世界的に注目されている技術で、海外では大企業が投資しています。また、国内でも投資したり、参入したりする企業が増加傾向です。近い将来、企業はメタバースオフィスを持っているのが一般的になる時代がくるかもしれません。

メタバースオフィスに限らず、今後は、メタバースの技術を利用したさまざまなサービスの登場が予想されます。メタバースの技術が役立つのは、ビジネス用途だけではありません。エンターテイメントや生活に密着したサービスが登場する可能性もあります。2022年現在でも、すでにメタバース上でライブやイベント、セミナーなどが開催されています。

2022年現在、メタバースオフィスはまだ一部の企業でのみ採用されている状態ですが、今後大きく発展、普及する可能性があります。その一方、先行きは不透明なため、思いのほか普及しない可能性もゼロではありません。いずれにせよ、ビジネスの効率化や業績アップに役立つ可能性が大いにあるのは間違いありません。

 

コワーキングスペースに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

メタバースオフィスは今後も要注目のサービス

メタバースオフィスは、メタバースの技術を活用した仮想空間上のオフィスです。メタバースオフィスは画面上の演出やアバターの動き、ステータス表示などでコミュニケーションがとれるため、まるで実際のオフィスにいるような感覚で使用できるのが大きなメリットです。

メタバースの今後は不透明ですが、広く普及していくと期待されています。将来的には、さまざまな場面で利用されていく可能性もあるため、現時点でメタバースオフィスを導入していない企業も、今後の動向を注目していきましょう。

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