オフィスをDX化するべき4つの理由|成功させる秘訣や補助金制度を解説

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オフィスをDX化するべき4つの理由|成功させる秘訣や補助金制度を解説

最近、あらゆるシーンでDXという言葉を耳にする機会が増えてきました。ビジネスシーンでも、オフィスのDX化により業務効率化を目指す動きが広まりつつあります。しかしDXに馴染みがなく、具体的な実現策がわからないという企業もまだまだ多いようです。

この記事では、オフィスのDX化を検討している企業や経営者の方向けに、DXの意味や必要性を詳しく解説します。また、具体的な施策や成功させるポイント、活用できる補助金などもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

オフィスにおけるDX化とは

DXは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略語で、「デジタル技術による変革」を指します。

オフィスにおけるDXとは、「オフィス業務をデジタル技術によって変革し企業の競争力を高めること」を意味します。デジタル技術を活用した設備の設置や新しいシステムの導入を通して、能率や生産性を向上させることが目的です。たとえば、自社にテレワークを導入することで、社員の働きやすさや業務効率向上を狙うことはDX化の例として取り上げられます。

このように、ITを駆使することにより働きやすいオフィス環境を構築すること、これらがまさに、オフィスにおけるDX化を実現することなのです。

オフィスのDX化が求められる4つの理由

オフィスのDXが必要とされるおもな4つの理由をご紹介します。いずれも企業の成長と存続に深い関わりがあります。

 

1.業務効率化を図るため

コロナ禍による規制やライフワークバランスが重視される社会情勢を受け、企業にとっては業務効率化が大きな課題となっています。この点、オフィスのDX化は業務効率を図る上で非常に有効だと言えます。

たとえば、経理や人事といったバックオフィスでは、社内のあらゆる情報が煩雑したままデジタル化されていないケースがありますが、それらをクラウド上で適切に管理することで、オフィス業務の効率化を図ることができます。

 

2.多様な働き方へ対応するため

政府が推進している働き方改革の影響、また労働者のニーズや意識の変化により、近年は多様な働き方が求められるようになりました。就職先を選ぶ条件に働きやすさをあげる求職者も多いようです。

たとえば、テレワークやリモートワークの導入は育児や介護に携わる社員にとって家庭との両立がしやすく、ワークライフバランスを充実させやすくなります。働きやすい環境は社員の満足度やモチベーションの向上、引いては能率や生産性アップにも期待できます。

 

3.市場の変化に対応するため

ITが発達したことで、マーケティングの手法も変わってきています。その点、あらかじめ社内の顧客情報をデータ化していると、一人ひとりに合わせた特別なアプローチが可能となります。

たとえば、ECサイトでは購入頻度や購入履歴、属性などの顧客情報をデータ化して、顧客の趣味嗜好に合わせた商品を提案できます。ユーザーニーズに的確にアプローチすることで、新たな売り上げも期待できるでしょう。

また情報を可視化することで、新たな気づきを得られる可能性もあります。新規事業の検討やサービス改善の検討につながるかもしれません。

 

4.経費削減のため

自社の利益を増やすには、資源を効率的に活用しながら、できる限りコストを削減することが重要です。

その点、ペーパーレス化はコスト削減において大きな効果を発揮します。

 

  • 印刷にかかるインク代の削減
  • 保管スペースの縮小によるオフィスの省スペース化
  • 電子契約の採用によある郵送料金や印紙代の削減
  • 経費の精算システム導入による人件費の削減

 

また、ペーパーレス化により書類をデータ化することで、利便性の向上や業務効率化にもつなげられます。詳しくは次の章で解説します。

オフィスのDX化を実現するための方法

具体的なDX化の施策をご紹介します。自社での施策検討の際に参考にしてみてください。

 

書類のペーパーレス化

ペーパーレス化による書類のデータ化は、管理の手間が不要になるほか、書類をデータ化することで、オフィスの外でも確認や修正などができるメリットがあります。テレワークを推進するきっかけにも有用です。

以前は公的な文書や契約書などは書面化が義務付けられていましたが、電子契約に関する法律の改正が実施されたことで、ペーパーレス化の適用範囲は広がっています。

経費の精算や請求書の管理に活用できるクラウドサービスもあります。紙ベースでの作業と比べ手間やミスを減らすことができ、結果として業務効率の向上にもつながります。

 

ペーパーレス化に関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

RPAによる定型作業の自動化

RPA(Robotic Process Automation)とは、人がパソコン上でおこなっていた作業をロボットにより自動化することです。

データ入力や集計などの定型業務をロボットに任せることで、クリエイティブな発想や高度な判断が求められる作業に人材を割り当てられます。

 

オフィス受付の無人化

オフィスの受付にタブレットやロボットを設置して、無人化するのもDX化として効果的な方法です。受付担当者が不要になり、人件費の削減や業務の効率化が図れます。また、来客を待たせる時間を短くすることは、企業イメージにも良い影響が期待できます。

対面でのやり取りがなくなるため、新型コロナウイルスなどの感染症対策としても効果的です。

 

電話転送によるスマホの内線化

電話連絡が多いオフィスの場合、スマホを内線化することで業務の効率化を図れます。スマホの内線化とは、企業へかかってきた電話を自動で手持ちのスマホへ転送することで、場所を問わず内線や外線に対応できます。

テレワークやリモートワークなど、オフィス外での働き方を推進する際にも有用な手段となるでしょう。電話転送システムは工事不要で導入できるため、取り組みやすい施策です。

 

ネットワークの無線化

無線LANやモバイルWi-Fiは有線LANよりも利便性が高く、業務効率化が期待できます。場所を選ばず仕事ができるため、フリーアドレス制やテレワークなどにも対応可能です。また、配線を組み替える必要がないため、柔軟にオフィスレイアウトを変更できる利点もあります。基本的に工事不要で導入できることから、イニシャルコストが低い施策と言えます。

ただし利便性が高い反面、有線LANよりもセキュリティリスクが高くなります。第三者によるアクセスや情報漏洩などに備えたセキュリティ対策をあわせて検討しましょう。

オフィスのDX化を成功させる5つのポイント

DX化は現状を見極めたうえで、計画的に進める必要があります。自社の現状と合わない施策では求める効果は得られません。

自社のDX化を成功させるためにおさえておきたいポイントを解説します。

 

1課題と目的を設定する

DX化に取り組む前に、まずは自社の課題を洗い出し、目的を明確にしましょう。DX化の取り組みは多岐に渡るため、業務の課題や目的が定まらないと具体的な施策は進まず、また見当違いな方向に進む恐れがあります。

経営者やDXの担当者だけで考えるのではなく、現場の社員にも日々感じている課題をヒアリングすると良いでしょう。現状を正確に把握して、自社に必要なDXを見極めることが、オフィスのDX化を成功させるための第一歩です。

 

2DXの導入意義を周知する

課題と目的を設定したら、DXの導入意義を全社員に周知徹底しましょう。DX化を成功させるためには経営陣から一般社員に至るまで、会社全体で必要性を認識する必要があります。

たとえば、上層部が必要性を認識できていない場合、スムーズに施策導入の許可が下りない事態が考えられます。また、社員が必要性を認識できていないと、オフィスをDX化しても活用してもらえない恐れがあります。

説明会や社内セミナーを開催して周知徹底しましょう。説明の際はDX化へのハードルを下げるために、なるべく専門用語を使わず誰でもわかる形でおこなうことがポイントです。

 

3必要なツールの選定と導入

新しいツールやシステムを選定する際は、性能や機能だけではなく、既存システムとの互換性や現場の社員が使いこなせるかも考慮しましょう。また、ベンダーが使用方法の問い合わせや故障時にスムーズに対応してくれるか、サポート体制の確認も大切です。

目的によって適したツールは異なります。たとえば、ルーチンワークを短縮したいのであれば、各種業務の自動化ツールを導入すると良いでしょう。ノーコードのツールは初めて使う人でも使いこなしやすい特徴があります。

なお、新しいシステムやツールの導入自体が目的にならないように注意が必要です。最初に定めた課題と目的を軸に考えることが大切です。

 

4社内体制の見直し

新しいツールを導入しても、業務でうまく機能しなければ意味がありません。現状の業務プロセスに取り入れた場合に無駄が発生しないか、新たに必要となるフローはないかを見直し、必要に応じて体制を再構築します。

またDX化で業務を効率化しても、手が空いた分でほかの仕事を増やし続けては社員の負担は減りません。業務量の調整が必要なことも意識しておきましょう。

 

5効果検証を繰り返す

DX化を実施した後、運用するなかで新たな問題が見つかるかもしれません。導入の効果が出ているか、改善点はないかなど現状を分析して、より良い形を模索していきます。必要に応じて運用マニュアルや業務フローの変更、新しいツールの導入を検討しましょう。

なお、効果検証の際は長期的な視点を持つことも大切です。新たにツールやシステムを導入した場合は定着するまでに時間がかかるケースもあるため、導入当初の効果だけで判断するのは早計と言えます。

オフィスのDX化で活用できる補助金・助成金

DX化に活用できる補助金や助成金をご紹介します。募集期間や条件は年度によって変わる可能性があるため、最新情報は各公式サイトや受付窓口で確認してください。

 

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、経済産業省が支援する公募型の補助金です。創業から間もない場合や、個人事業主でも申請できるため、比較的申請数が多い補助金です。

一般型とグローバル展開型、ビジネスモデル構築型の3種類が用意されており、それぞれ対象が異なります。なお、業種ごとに対象となる会社の規模は変わり、一般型は従業員規模により補助上限の金額が異なります。

種類 概要 補助金額(上限)
一般型 試作品やサービスの開発、生産方法やサービス提供方法の改善に必要な設備などを補助
  • 通常枠:750〜1,250万円
  • 回復型賃上げ・雇用拡大枠:750〜1,250万円
  • デジタル枠:750〜1,250万円
  • グリーン枠:1,000〜2,000万円
グローバル展開型 海外事業の拡大や強化に用いる設備投資を補助 3,000万円
ビジネスモデル構築型 中小企業を支援する大企業向けの補助 1億円

出典元:全国中小企業団体中央会「ものづくり補助金総合サイト

 

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者が対象です。ソフトウェア費やクラウドの利用料や導入に関わる費用などが対象の通常枠と、ITツールが対象のデジタル化基盤導入枠の2種類が用意されています。

経営力の向上や強化を目的としていて、通常枠で最大450万円、デジタル化基盤導入類型の場合は最大350万円の補助が受けられます。

出典元:独立行政法人中小企業基盤整備機構「サービス等生産性向上IT導入支援事業費補助金

 

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模な法人や個人事業、特定非営利活動法人が対象です。小規模事業者が持続可能な経営をおこなうために、生産性の向上などで必要になる費用の一部を補助してもらえます。たとえば、新しいサービスやシステムの開発費、機器の購入費などが対象です。

ウェブサイトに関わる経費も補助してもらえる可能性がありますが、補助金交付申請額の4分の1が上限となります。補助上限額は通常枠で50万円、後継者支援枠や創業枠などの特別枠で200万円です。

出典元:全国商工連合会「小規模事業者持続化補助金

オフィスをDX化して多様な働き方に対応しよう

DX(デジタルトランスフォーメーション)はIT技術を活用して企業の競争力を高める取り組みです。急速に変化する社会情勢や市場に対応するため、オフィスにもDX化が求められています。

オフィスをDX化する方法にはペーパーレス化やRPA、受付の無人化などがあります。さまざまな方法が考えられますが、導入の際はまず課題と目的を明確にすることが大切です。そのうえで、必要なツールの選定や社内体制の見直しをしましょう。運用後は繰り返し効果検証をおこない改善を重ねることで、より自社に適した形を構築していけます。

補助金や助成金を活用しながら、企業のさらなる成長のためにDX化への取り組みを検討してみましょう。

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