【オフィス向け】昇降デスクを導入するメリットや選び方を解説
オフィスレイアウト・デザイン・設計
昇降デスクとは、天板部分の高さを調整できるデスクです。昇降デスクを導入すると、従業員の健康増進や生産性の向上などが期待できるため、働き方改革の一環にもなることが期待できます。
この記事では、企業が昇降デスクを導入するメリットや選び方を解説します。課題やおすすめの昇降デスクも併せて紹介するので、自社でオフィス家具を見直す際に役立ててください。
目次
昇降デスクとは
昇降デスクとは、天板の高さを自由に調整できるタイプのデスクです。近年、立位の状態で仕事をするスタンディングワークを推奨する企業が増えたこともあり、多くの企業で導入が進んでいます。
昇降デスクはスタンディングワークにも対応できるため、別名で「スタンディングデスク」と呼ばれることもあります。
デスクの種類は、大きく分けて次の2つのタイプがあります。
- 既存のデスクに天板を載せるタイプ
- デスク自体に昇降機能があるタイプ
主流なのは、デスク自体に昇降機能があるタイプです。
オフィスで昇降デスクが注目されている背景
海外では、すでに昇降デスクが広く普及しています。近年は、国内でも多くの企業が昇降デスクを導入するようになりました。その背景には、従業員の健康増進や働き方改革が大きく関係しています。
■従業員の健康を増進するため
長時間のデスクワークにより懸念される健康リスクに対応するため、昇降デスクを導入し、スタンディングワークを推奨する企業が増えました。WHOの「WHO身体活動・座位行動ガイドライン(日本語版)」には、長時間座位の状態が続くと心臓病やがん、2型糖尿病のリスクを高めると明記されています。
※出典元:WHO「WHO身体活動・座位行動ガイドライン(日本語版)」
スタンディングワークは、立位の状態で仕事をする働き方です。デスクワークの合間にスタンディングワークを取り入れると、血行を促進し、健康増進の効果が期待できます。
なお、こちらの記事では、オフィスに効果的なスタンディングワークを取り入れる方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
■働き方が多様化しているため
オフィスに昇降デスクを導入すると、従業員が働きやすい環境の実現につながります。
近年、働く人のニーズが変化し、企業にはテレワークやハイブリッドワークなどの柔軟な働き方への対応が求められています。これに伴い、従業員に多様な働き方を提供する観点から、スタンディングワークに対応したスペースを用意する企業が増えました。
心身の状態に合わせて立位と座位を切り替えることで、働き方の自由度を高めることが期待されています。
オフィスに昇降デスクを導入するメリット
オフィスに昇降デスクを導入することには、さまざまなメリットが期待できます。従業員が働きやすい環境の実現にもつながるため、オフィス家具の買い替えを機に導入を検討してみましょう。
■従業員の健康を増進できる
日本人は諸外国に比べて座位時間が長く、健康リスクが高いと言われています。厚生労働省の資料でも、日々の生活の中で座位の状態が多い場合、病気に罹患するリスクが高いと明記されています。
※出典元:厚生労働省「座位行動」
昇降デスクは天板の位置を調整できるため、座位での作業に比べて適度な動きを取り入れることが可能です。座位と立位を繰り返すことで、体への負担軽減や疲労感の軽減につながります。
■正しい姿勢を維持できる
仕事による体への負担を軽減するためには、正しい姿勢を維持することも大切です。
デスクワークが多い日本人は、ストレートネックになるリスクが高いと言われています。ストレートネックとは座位で前のめりの姿勢が続くことで、脛骨がまっすぐな状態になることです。本来、脛骨はやや湾曲しており、長時間まっすぐな状態が続くと頭痛や肩こりなどの原因にもなります。
昇降デスクは、チェアの座面高に合わせて天板の位置を調整することが可能です。従業員一人ひとりの体格に応じて天板を最適な位置に設定できるため、正しい姿勢を維持した状態で仕事をおこなえるようになるでしょう。
デスクとチェアの高さの重要性や身体に合う高さの調べ方は、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
■生産性の向上が期待できる
デスクワークで長時間同じ姿勢が続くと、血行が悪くなり、眠気を引き起こすことがあります。眠気を感じると集中力が低下するため、業務効率に悪影響を及ぼすこともあるでしょう。
昇降デスクは天板の位置を調整して正しい姿勢を維持できるため、脳にも血流が回り、眠気を感じにくくなります。集中力が高まると業務効率が良くなり、生産性の向上が期待できます。
■コミュニケーションの活性化につながる
従業員同士の社内コミュニケーションに課題を抱えている場合、昇降デスクの導入が解決の糸口となるかもしれません。
昇降デスクは、スタンディングワークにも対応することが可能です。スタンディングワークは立位の状態で仕事をするため、座位の状態に比べて目線が高くなり、周囲の従業員に声をかけやすくなります。歩いている従業員とも目線が合いやすくなり、コミュニケーションの活性化につながるでしょう。
オフィスに昇降デスクを導入する際の課題
昇降デスクには一般的なデスクに比べて価格や移動性に課題があるため、導入のハードルが高い傾向があります。また、商品によっては設置時の工夫が必要になるといった課題もあるため、事前に対策を考えておく必要があります。
■価格が高い傾向にある
昇降デスクに関する課題の一つは、価格面にあります。昇降機能が付いている分、一般的なデスクに比べて価格が高い傾向にあるため、導入する際には予算とのバランスを考慮する必要があります。
昇降デスクには、電動式と手動式の2種類があります。特に電動式の昇降デスクは割高で、リーズナブルなモデルでも5万円程度かかることを覚悟しておきましょう。機能性が高いモデルの場合は、10万円を超えるケースも珍しくありません。
■電動の場合は配線の工夫が必要になる
電動式昇降デスクは電力で天板の位置を調整するため、付近にコンセントが必要です。デスクとコンセントまでの距離を適切に確保できない場合、天板を動かしたときに断線するおそれもあります。
また配線がむき出しになるため、オフィスの景観整備の観点から、配線を整理したり隠したりする対応が必要になるかもしれません。デスクの数が多いほど見栄えが悪くなりがちなので、昇降デスクを複数配置する場合は、ケーブルガイド(蛇腹式)を使用するなどの工夫が必要です。
■電動の場合は重い
昇降デスクの重量は、電動式と手動式で異なります。電動昇降デスクは本体の重量が30㎏以上の商品もあり、移動やレイアウト変更しにくいという課題があります。
デスクを分解して移動させることも可能ですが、設置先で再度組み立てる必要があるため、手間がかかります。移動やレイアウト変更をする予定がある場合は、昇降デスクを選ぶ際に「移動しやすいかどうか」を基準の一つにしても良いでしょう。
オフィス向け昇降デスクの選び方
昇降デスクは、多くのメーカーからさまざまな商品が発売されています。種類や昇降の幅、天板の形状などを比較し、自社に適したものを選びましょう。
■種類で選ぶ
昇降デスクのおもな種類には、手動式・ガス圧式・電動式の3つがあります。
手動式
手動式は本体に取り付けられているハンドルを回し、天板の位置を調整するタイプです。電動式のように電力を使用しないため、コンセントの位置を気にする必要がなく、スペースさえ確保できれば設置場所を選びません。
ガス圧式や電動式に比べて価格が安い傾向があり、価格面では導入のハードルが低いでしょう。ただし、自力でハンドルを回す必要があり、天板の位置を調整するたびに手間がかかります。
ガス圧式
ガス圧式は本体に取り付けられたレバーを引くことでガス圧を利用して、天板の位置を調整するタイプです。手動式と同様に電力を使用しないため、コンセントの位置から離れた場所でも設置できます。
軽い力でレバーを操作できるため、手動式に比べて天板の位置を調整しやすいでしょう。一方でデスクにものがあると天板の重量が重くなるため、スムーズに昇降できない可能性もあります。
電動式
電動式は電力でモーターを作動させ、天板の位置を調整するタイプです。昇降には電気を使用するため、設置場所の近くにコンセントが必要です。本体に設置されたボタンを押すだけで昇降できるため、手動式やガス圧式に比べて操作しやすいでしょう。
ただしその分、ほかのタイプに比べて価格が高く、重量も重い傾向にあります。設置する際には組み立てが必要になることに加え、配線がむき出しになるなど、景観面にマイナスの影響が出ることも考えられます。
■昇降の幅
天板の昇降幅は商品によって異なるため、購入する際にはどのくらいの幅を調整できるかを確認することが大切です。昇降の幅が広いほど、従業員の体格や作業姿勢に応じた使い分けがしやすくなります。
座位の場合、一般的なオフィスデスクの高さが72cm程度なので、その前後に調整できるタイプを選ぶと良いでしょう。立位の場合は、立位の状態で肘が直角に維持できる高さに調整できる昇降幅が目安となります。
■天板の形状
天板の形状にはI字型・L字型などの種類があります。
I字型は、長方形で一般的なデスクと同じような形状です。形状がシンプルでレイアウトの自由度が高く、場所や好みのデザインに合わせて選びやすい傾向にあります。
L字型は着座位置の左右に天板があり、スペースの角を有効活用できるタイプです。I字型に比べて広い作業スペースを確保できるため、複数台のパソコンを設置する場合や、資料を広げて作業する場合に便利です。
■【電動式の場合】機能
電動式の昇降デスクには天板の昇降機能のほかに、さまざまな機能が搭載されている商品もあります。例えば、メモリー機能や障害物検知機能などがあります。
メモリー機能は事前に任意の高さを登録しておくと、ボタン一つでその位置に調整できる機能です。
障害物検知機能は天板が何らかの障害物と衝突したときに、自動で昇降の動きを止める、または高さを少し戻す機能です。ものにぶつかったにも関わらず、無理に下がり続けると手などを挟む恐れがあり怪我や故障の原因になりかねないため、障害物検知機能がある商品を選んでおくと不慮の事故などを防止できます。
オフィスにおすすめの昇降デスク
オフィスに適した昇降デスクとして、アイリスチトセのDSDシリーズをご紹介します。
■【電動昇降デスク】DSDシリーズ
電動昇降デスクDSDシリーズは、1人用・3人用・4人用連結タイプなどを展開しています。1人用の天板は、645~1,175mmまで高さ調整が可能です。3人用は、デスクを向かい合わせに並べても視線が合いにくく、集中して作業しやすいタイプです。
4人用は中央に収納ボックスが取り付けられているため、むき出しになった配線を整理できます。それぞれスタンディングワークにも対応できます。
電動昇降デスクの導入事例
アイリスグループの東京アンテナオフィスは、人々の健康やウェルネスに着目した国際的なビル評価指標であるWELL認証の最高ランク「プラチナ」を取得したことでも知られています。
東京アンテナオフィスではその取り組みの一環として、席数全体の50%のデスクを電動昇降デスクに変更しました。デスクの見直しと同時に、座面高のストローク幅が広いチェアも導入しました。天板や座面の位置が調整できるオフィス家具を導入すると、性別問わず小柄な体格の従業員でも正しい姿勢が維持できるようになります。
なお、WELL認証の取得や電動昇降デスクの導入に至った背景などの詳細は、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
まとめ:昇降デスクを導入して働きやすい環境を実現しよう
昇降デスクは天板の位置を自由に調整できるため、従業員一人ひとりの正しい姿勢を維持することが可能です。天板を立位の高さまで上げれば、スタンディングワークにも対応できます。
昇降デスクを導入すると従業員の業務内容や気分に応じ、仕事をする際の姿勢を変えられるため、働きやすい環境づくりに役立ちます。デスクを昇降デスクに切り替える際には、チェアや収納家具などの導入も検討しましょう。
アイリスチトセでは、デスクをはじめとするさまざまなオフィス家具を取り揃えています。直近では国内のオフィス家具メーカーで初めて、海洋プラスチック再生樹脂を素材に採用したチェアを発売しました。
こちらから取り扱い商品をご確認いただけるので、気になるオフィス家具がございましたら、ぜひお問い合わせください。