オフィス移転の際に節税できるのか?計上可能な経費や具体的な対策を紹介

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オフィス移転の際に節税できるのか?計上可能な経費や具体的な対策を紹介

オフィス移転を検討する理由は、企業によって千差万別です。しかし、多くの企業ができるだけ費用をおさえたいと考えるのではないでしょうか。目に見える費用は比較的わかりやすいのですが、節税できる部分があるかどうかはよくわからないという方もいるでしょう。

本記事では、オフィス移転時に節税は可能なのか、節税できる費用とできない費用について解説しています。

また、地方への移転をお考えの企業が利用できる制度も、あわせて紹介しています。オフィス移転で節税できるか検討されているご担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

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【結論】節税できる費用もある

オフィス移転の際は節税できる費用とできない費用があります。

オフィスを移転する際には、さまざまな費用がかかるものです。その中でも、経費として計上できる費用で節税につなげられるものがあります。

移転の際に節税できる費用が多く発生するのは、旧事務所に関するものです。新事務所側でかかる費用にも節税対象の費用はありますが、経費計上できないものも多くあるため注意しましょう。

オフィスの移転が多いのは、新年度に向けての1~3月です。新年度で従業員数の増減が発生するケースと、決算にあわせてオフィス移転し、かかる経費を節税するケースが要因として考えられます。

ただし、かかる費用と節税金額は支払う時期が変わるだけで、長い目で見ると全体の金額は変わりません。契約期間の満了や、良い物件を見つけたタイミングで移転を検討するのが、現実的な考え方となるでしょう。

オフィス移転で節税につながる費用

オフィス移転にかかる費用で経費として計上でき、節税につながるものを具体的に紹介していきます。

 

■旧オフィスの原状回復費用

原状回復費用は、すべて経費として計上できます。

原状回復費用とは、物件の退去時に入居前の状態へ戻すことです。保証金を預けていて原状回復費用を差し引かれた残額が返金される場合、利益ではないので課税対象にはなりません。

 

■備品などの廃棄費用

不要になった備品や書類を新しい事務所へ持って行かず、業者に頼んで廃棄する場合の費用も、全額経費として計上可能です。

一般的には「雑費」や「支払手数料」などの勘定科目で処理します。

 

■固定資産除却損

固定資産に該当するものを移転の際に処分する場合、固定資産台帳へ記載することで「固定資産除却損」として特別損失で計上できます。なお、固定資産除却損の対象は有形固定資産のみとなり、減価償却が終わっているものも残存価格があれば対象となります。

【固定資産除却損の対象となる有形固定資産の例】

  • パソコン
  • プリンター
  • オフィス家具
  • エアコン
  • 車両 など

 

■新オフィスの礼金・仲介手数料

新たにオフィスを借りる際に発生する礼金や仲介手数料は、すべて経費計上が可能です。

礼金に関しては、金額により処理方法が異なります。20万円未満ならば全額を「地代家賃」として計上、20万円以上であれば「長期前払費用」として計上し、期末時に減価償却が必要となります。

 

■引越し費用

新しいオフィスへの引越し費用は、全額経費として計上できます。勘定科目は「雑費」「福利厚生費」などで処理します。

 

■移転後の慰労会費用

移転後に従業員で慰労会をする場合、社会的に妥当な金額であれば「福利厚生費」としてすべて経費として処理できます。

 

■【条件付き】新オフィスの資産購入費用

新しいオフィスで必要となる資産(事務所の備品や会社の看板など)も、経費処理が可能です。

ただし、資産の購入費用が合計30万円未満で、なおかつ資本金が1億円以下の青色申告書を提出する中小企業に限ります。

オフィス移転で節税につながらない費用

オフィス移転時に経費計上できず、節税とならない費用も存在します。

基本的に、旧事務所から新事務所へ持って行くものは費用として計上できません。また、それ以外にも次のものが節税の対象外となるので注意しましょう。

 

■新オフィスの保証金

新しいオフィスの保証金は、費用に計上できません。

将来的に返還される可能性があるため、帳簿上では資産として扱われます。また、返還のない部分に関しては礼金として取り扱われるため、前項で説明したとおりの取り扱いとなります。

 

■新オフィスの家賃

新オフィスの家賃は、基本的に経費となります。しかし、期をまたいで数カ月分前払いする場合は、当期で計上できる部分の把握が必要です。来期分の家賃は厳密には来期の経費計上となるので、注意しましょう。

 

■新オフィスの内装工事費

新しいオフィスの内装工事にかかる費用は、税務上は資産となるので経費計上できません。減価償却によって数年かけて経費へ繰り入れることになります。

 

■新オフィスの資産購入費用

新オフィスで必要となる備品・看板・オフィス家具などの購入は、合計30万円以上となると経費ではなく資産として計上する必要があります。こちらも減価償却で数年かけて経費へ算入します。

【税金の基本】節税対策には2つの方法がある

節税の対策として取れる方法は、次の2種類です。

  • 損金
  • 控除

それぞれの概要について、詳しく説明します。

 

■損金

損金は、事業を運営する上で必要となる経費です。法人税を計算する際に、利益から差し引くことができます。

損金は「原価」「費用」「損失」に分類され、オフィス移転の際に関わるのは、おもに費用と損失となります。

  • 原価:商品の原価
  • 費用:事業活動においてかかった費用
  • 損失:企業の資産価値が減少したもの

損金にあてられる金額が大きいほど課税所得を減らせるため、節税へとつなげられます。ただし、なかには損金として認められない費用もありますので注意が必要です。

 

■控除

控除は、課税対象となる所得金額や納税すべき税金額から、一定の金額を差し引くことができる制度です。控除対象のものを把握して処理しておけば、納める税金額をおさえられます。

なお、特別償却や特別税額控除の対象に当てはまっていれば、より税制上の優遇を受けられます。中小企業庁のサイトに詳細がありますので、自社が当てはまっているか確認してみると良いでしょう。

※参考:「特別償却制度」と「税額控除制度」は、どのようなものですか?

地方に移転した場合に活用できるおもな節税対策

大都市から地方都市へ拠点を移した場合に、利用できる税制があります。地方への移転を検討されている企業担当者の方は、自社が該当しているか確認してみてはいかがでしょうか。

なお、制度の内容については随時変更される可能性があります。利用を検討している際は、利用時に関係各所へ確認して、最新の情報を得てください。

 

■地方拠点強化税制

地方拠点強化税制は、本社機能を地方で拡充または移転する場合に、一定要件に該当すれば減税の特別償却や税額控除が受けられる制度です。

※参考:地方拠点強化税制 – 地方創生推進事務局

 

拡充型事業

拡充型事業は、地方における企業の「特定業務施設」の整備を支援するものです。特定業務施設とは、下記に当てはまる施設になります。

  • 事務所であって、調査および企画部門、情報処理部門、研究開発部門、国際事業部門、情報サービス事業部門、その他管理業務部門のいずれかのために使用されるもの
  • 研究所であって、研究開発において重要な役割を担うもの
  • 研修所であって、人材育成において重要な役割を担うもの

具体例としては、下記のケースが該当します。

  • 地方に本社のある企業が増築する
  • 地方において新たに起業するため本社を整備する
  • 東京23区以外に本社のある企業が別の地方へ本社の一部を移転する など

制度の利用によって、オフィスにかかる建物等の取得価額に対して、特別償却15%または4%の減税措置を受けられます。さらに、雇用促進税制として増加雇用者一人当たり50万円の税額控除を受けられます。

なお、首都圏、中部圏、近畿圏の一部地域での拡充は対象外となるので、事前確認が必要です。

※参考:地方拠点強化税制 / 拡充型事業とは?

 

移転型事業

移転型事業は、東京23区から本社機能の一部またはすべてを地方へ移転する場合に受けられる制度です。

制度の利用によって、オフィスにかかる建物等の取得価額に対し、特別償却25%または7%の減税措置を受けられます。さらに、雇用促進税制として、増加雇用者一人当たり最大80万円の税額控除を受けられます。

東京23区内に本社のある企業のみが対象となりますが、利用できる金額は拡充型よりも優遇されているのが大きな特徴です。

※参考:地方拠点強化税制

まとめ:オフィス移転で節税できる部分は利用しよう

オフィス移転時には、節税につなげられる費用があります。ただし、すべての費用が節税とつなげられるわけではありません。移転時に節税できる内容を把握し、うまく利用するすべきです。

地方への移転を検討されている場合は、優遇税制を受けられる可能性があります。自社が該当するのであれば、積極的に利用すると節税へつながります。

オフィス移転は節税も大切ですが、何のために移転するのか目的を見誤らないようにするのが大切です。自社の運用にあったオフィスが見つかったタイミングで、移転を検討するのが良い方法です。

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