OAフロアでスマートなオフィス!種類別の特徴や選び方を紹介
オフィスレイアウト・デザイン・設計
オフィスを刷新する際には、OAフロアを導入するのも選択肢の一つです。OAフロアを導入すると、企業や従業員にとってさまざまなメリットがあります。
そこでこの記事では、OAフロアの意味や種類、特徴などを解説します。メリットとデメリットも併せて解説するので、OAフロアの導入を検討する際に役立ててください。
目次
OAフロアとは
OAフロアとは、「Office(オフィス)」・「automation(オートメーション)」・「floor(フロア)」を組み合わせた造語で、配線を収納するために二重構造にした床のことです。フリーアクセスフロアや二重床と呼ばれることもあります。
既存の床の上にパネルを設置し、床とパネルの間に配線を収納する仕組みです。OAフロアはパソコンの普及にともない、1960年代から国内の企業が商品開発を始め、1964年に販売が開始されました。
その後、東京大学の電算室にOAフロアが初めて導入され、1990年頃からは多くのオフィスビルで採用されるようになったという経緯があります。近年は、新築のオフィスビルにOAフロアを標準採用するケースも増えています。
OAフロアの種類と特徴
OAフロアには複数の種類があり、それぞれ特徴が異なります。特徴を把握し、自社に適したOAフロアを選びましょう。
■簡易の置敷タイプ
簡易の置敷タイプはパネルに支柱が取り付けられているタイプで、既存の床に並べて設置するだけでOAフロアを作ることが可能です。
特徴 |
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賃貸オフィスでの利用の可否 | 管理会社に要確認 |
パネルに使用されているおもな素材は、プラスチックです。支柱によって床とパネルに空洞部分ができるため、その中に配線を収納します。軽量で価格が安いため、パネルを準備できればすぐに導入可能です。
ただし、パネル同士をパズルのように組み合わせる必要があるため、フロアの面積が広い場合は設置に時間がかかります。強度が低い素材を使用していることから、耐荷重に限りがあります。
■溝配線の置敷タイプ
溝配線の置敷タイプは、パネルに支柱が取り付けられていないタイプです。パネルには溝があるため、それに沿って配線を沿わせ、上からカバーをかぶせます。
特徴 |
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賃貸オフィスでの利用の可否 | 管理会社に要確認 |
パネルに使用されている素材は、樹脂またはコンクリートなどです。簡易の置敷タイプに比べると、耐久性に優れています。配線をパネルの溝に固定できるため、内部で絡まる心配もありません。
パネルのサイズが小さく取り外ししやすいため、レイアウトを変更した場合でも配線の組み替えが容易です。一方で配線容量に限りがあることから、配線が多いサーバールームのような場所には適していません。
■床高調整タイプ
床高調整タイプは支柱が取り付けられており、高さ調整が可能なタイプです。
特徴 |
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賃貸オフィスでの利用の可否 | 管理会社に要確認 |
パネルに使用されている素材は、スチールまたはコンクリートです。簡易の置敷タイプと同様に既存の床に並べて設置し、床とパネルの空洞部分に配線を収納します。支柱の高さを調整すれば、より多くの配線の収納に対応できます。
支柱の強度が高いため、安定性のあるOAフロアを作ることが可能です。その一方で、簡易の置敷タイプや溝配線の置敷タイプに比べると、価格が高くなりがちです。
OAフロアを導入する3つのメリット
オフィスの見栄えや配線の乱雑さが気になる場合は、OAフロアがおすすめです。OAフロアには従業員の安全を守り、オフィスの見栄えをよくするメリットがあります。
■配線による事故の防止
オフィス内ではコードやケーブルでつなぐ機器が多いほど、配線が増えます。足元に配線があると従業員が移動する際につまずき、事故につながるおそれがあります。配線に足が絡まることで、各種機器やデータがダメージを受けるかもしれません。
配線による事故を防止するには、OAフロアの導入が効果的です。OAフロアはむき出しになった配線をパネルの下に収納できるため、従業員が無意識につまずくリスクを軽減できます。また、従業員の足に配線が引っかかることで、各種機器の電源が抜け、本体やデータの破損をまねくというリスクも回避できるでしょう。
■オフィスの見栄え改善
配線の状況は、オフィスの見栄えに影響します。フロアにむき出しになった配線があると、ステークホルダーに整理整頓できていないオフィスとの印象を与え、企業イメージの低下をまねくかもしれません。
一方でOAフロアを導入して配線がきちんと収納されていれば、オフィス内がすっきりとした雰囲気になります。見た目が良いオフィスは、会社説明会やインターンシップで訪れた求職者の好感度を上げ、優秀な人材の獲得につながる可能性もあります。従業員だけでなく、自社を取り巻くすべてのステークホルダーへの影響も考慮し、OAフロアの導入を検討してみましょう。
■レイアウトの自由度の向上
今後、人事異動や従業員の増減などを機に、オフィスのレイアウトを変更する必要性が出てくる可能性があります。レイアウト次第では配線が邪魔になり、希望する場所にオフィス家具や各種機器を設置するのが難しくなるケースもあります。
OAフロアを導入して配線を収納しておけば、さまざまなレイアウトに柔軟に対応することが可能です。これまでは配線が邪魔で諦めていた場所に、オフィス家具を移動することもできるようになるでしょう。従業員が座席移動する頻度が多い場合は、OAフロアを導入することでレイアウトの変更がスムーズになります。
OAフロアを導入する3つのデメリット
OAフロアを導入するとオフィスの見栄えがよくなる、不慮の事故を防止できるなどのメリットがある一方で、いくつかのデメリットもあります。デメリットを把握しておけば、OAフロアを導入する際に対策を検討できるため、スムーズに運用できるでしょう。
■導入コストの負担
OAフロアは通常の状態から手を加える必要があるため、その分コストがかかります。OAフロアの導入に必要な費用は、次のとおりです。
- 工事費
- パネル本体代
- タイルカーペット代
- 工事部材費
- 運搬費
- 諸経費 など
導入コストは、1平米当たりの価格で決まるのが一般的です。仕上材のタイルカーペットの費用を含めた場合、1平米当たり6,500円~16,000円程度が目安です。タイルカーペットを使用しない場合は、1平米当たり4,200円~13,700円程度を目安と考えてください。
パネルの上にタイルカーペットを敷くとデザイン性を高め、騒音防止の効果が期待できます。OAフロアの導入費用は面積に応じて高くなるため、広いオフィスでは数百万円になることもあります。
また、レイアウトの変更を同時に実施する場合は、OAフロアの導入コストのほかに、工事費や備品の購入代なども必要です。
■今後の大規模なレイアウト変更に支障が出る可能性
一度OAフロアを導入した後でも、小規模なレイアウトの変更には柔軟に対応できます。しかし、OAフロアの場合、配線の組み替える際にはパネルを取り外さなければなりません。そのため、大規模なレイアウト変更への対応が難しい可能性があります。
OAフロアは、配線がむき出しの状態と比べてレイアウトの変更に手間がかかります。大規模なレイアウト変更をスムーズに済ますには、専門業者に依頼するのも手段の一つです。
工事期間はフロア面積のほかに、備品・家具の移動がどれだけ必要かによって異なります。フロア面積が200~400平米の場合、備品や家具の移動を含めて2日程度は必要です。状況によっては、自社の休業日中に対応できるケースもあります。
■圧迫感が生じることがある
OAフロアは既存の床とパネルの空洞部分に配線を収納するため、通常よりも天井までの距離が短くなります。商品によってパネルの高さは異なりますが、一般的な置敷タイプは50ミリ程度です。
一方で床高調整タイプのなかには、250ミリ程度の高さまで設置できるものもあります。配線量が多いと床とパネルの空洞部分にある程度の高さが必要になるため、天井までの距離が短くなり、圧迫感が生じる可能性があります。特に元々天井が低いオフィスでは、OAフロアを導入することでより一層圧迫感が強調されやすくなります。
導入するOAフロアの選び方
適したOAフロアの種類は、オフィスの状態によっても異なります。ここからはOAフロアの選び方を紹介するので、自社で導入する際の参考にしてください。
■信頼できるメーカーか
OAフロアのパネルを選ぶ際には、まず信頼できるメーカーかを確認しましょう。信頼できるメーカーかどうかは、JAFA認証マークの有無で確認できます。JAFA認証マークとは、フリーアクセスフロア工業会(JAFA)が定めた審査に通過した承認に付与されるマークです。
フリーアクセスフロア工業会は商品の表示方法を明確化することで、商品選択の利便性と信頼性の向上を目的に認証制度を導入しています。マークがある商品であれば、表示されている性能や外部有識者の審査をクリアしているということなので、信頼度の目安にしてください。
■費用は予算内に収まるか
OAフロアの構築にかかる費用は、1平米当たりで決まるのが一般的です。工事の際には基本工事費やパネル本体代のほかに、タイルカーペット代や搬入費などもかかります。面積や作業内容によっては高額になる可能性があるため、予算内に収まるかを十分に検討するようにしましょう。
パネルのタイプ別では、高さを調整できる床高調整タイプよりも、簡易または溝配線の置敷タイプのほうが価格が安い傾向にあります。置敷タイプなら、1平米当たり2,000円台での工事も可能です。一方で耐久性のある素材のパネルや取り付けに手間がかかるケースでは、高額になりやすいので注意しましょう。
■想定している配線を収納できるか
すべての配線を収納できるかは、選ぶパネルの種類によって異なります。たとえば支柱の高さが調整できない置敷タイプの場合、床とパネルの空間には限りがあるため、すべての配線を収納できない可能性があります。
一方で床高調整タイプは支柱の高さを調整できるため、より多くの配線を収納することが可能です。特に配線が多いサーバールームや従業員が50人以上のフロアでは、床高調整タイプがおすすめです。
また、床高調整タイプはほかのタイプよりも価格が高い傾向があるため、フロアによって使い分けるという選択肢も検討してみましょう。
■どの程度の耐荷重か
OAフロアのパネルは、商品によって耐荷重が異なります。耐荷重は、1平米当たりN(ニュートン)と呼ばれる単位で商品に表示されているため、購入する際に確認してみてください。
たとえば1,000Nと表示されている商品は、100キログラム程度の荷重に耐えることが可能です。耐荷重の目安は、次のとおりです。
スペースの状態 | Nの目安 |
一般的な事務フロア | 3,000N |
大きな書棚を置くスペース | 4,000N |
サーバーラックや制御機器などの重量が大きいものを置くスペース | 5,000N |
タイプ別では、置敷タイプよりも床高調整タイプのほうが耐荷重が高いものが多いです。スペースの状態に適したパネルを選び、オフィスの既存の床にダメージを与えないようにしましょう。
■高さは問題にならないか
収納が必要になる配線の量が多い場合、基本的には床高調整タイプで対応可能です。ただし、床とパネルの空洞部分が広くなるほど、既存の床を底上げする状態になるため、天井との距離が短くなります。
床と天井の距離が近いと圧迫感を与えるため、開放感のあるオフィス空間を確保したい場合は、置敷タイプを選びましょう。置敷タイプの支柱の高さは商品によって異なりますが、なかには30ミリ以下のものもあります。
■建物や通信に影響がでない材質か
OAフロアのパネルは既存の床の上に設置するため、重量が重くなるほど床への悪影響が懸念されます。建物への影響をおさえるには、樹脂を使用した軽量のパネルを選ぶと良いでしょう。置敷タイプの樹脂製パネルなら置くだけで設置できるため、床への負担を軽減できます。
また、パネルの素材によっては、通信環境が不安定になる可能性があるので注意が必要です。コンクリート製やアルミ製のパネルは非磁性なので、ほかの素材に比べて通信への影響が少なく、安定した通信環境を確保できます。
■賃貸オフィスに施工可能か
置敷タイプは床に置くだけで設置できるため、基本的に既存の床に手を加える工事は不要です。一方で床高調整タイプは、設置する際に床に接着剤で支柱を固定しなければなりません。
賃貸オフィスには、テナントが遵守すべき工事のルールがあります。ルールによっては接着剤を使用した工事ができない可能性もあるため、事前に管理会社へ確認し、許可を得てから着工するようにしましょう。
OAフロアの導入を成功させるポイント
最後に、OAフロアの導入を成功させるポイントを解説します。
■OAフロアの上に敷くカーペットにもこだわる
フロアにパネルを設置した後は、タイルカーペットと呼ばれる敷物を敷くケースがほとんどです。近年はバリエーションに富んだ商品が多く登場しており、選ぶ商品によってオフィスのデザイン性を高められます。
また、OAフロアのパネルはプラスチックやコンクリートなどの硬い素材が使用されているため、従業員が歩いたときに音が気になるかもしれません。防音性や遮音性が高いタイルカーペットを選べば、防音・遮音対策になります。
■オフィス改装業者へ相談する
厳選して選んだパネルを採用しても、実際に設置してみると使いにくかった、すべての配線が収納できなかったなどの問題が起きる可能性もあります。自社に適したOAフロアを構築する際には、オフィス専門の改装業者に相談するのも良いでしょう。
専門業者はさまざまな事例を経験しているため、中立的な立場でアドバイスをしてもらうことが可能です。また、導入する際には、パネルの購入や工事の発注などに手間がかかります。専門業者に依頼すればすべての手配を任せられるため、手間をかけずにOAフロアを構築することができます。
アイリスチトセでは、OAフロアの構築に対応しています。自社が抱える課題を相談していただければ、解決に向けて適切なプランをご提案させていただきます。ショールームの見学も受け付けておりますので、ご興味がおありの企業の担当者様はこちらからお問い合わせください。
まとめ:OAフロアを導入して安全性とオフィスの見栄えを確保しよう
オフィスで業務をするためには、パソコンやコピー機などのさまざまな電子機器が不可欠です。電子機器は、コードやケーブルをつながなければ使用できません。使用する電子機器が増える中、配線がむき出しだとステークホルダーに雑な印象を与える可能性があります。
OAフロアを導入すると床下に配線を収納できるため、すっきりとした印象を与えられるでしょう。また、移動時に配線につまづくリスクがなくなるため、従業員の安全性も確保できます。オフィスの印象は企業のイメージにも影響するため、OAフロアを導入してイメージアップを目指しましょう。