インクルーシブデザインとは?注目されている背景や取り入れる際のポイントを解説

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インクルーシブデザインとは?注目されている背景や取り入れる際のポイントを解説

近年、ビジネスシーンでもインクルーシブデザインが注目を集めています。その背景には、価値観の変化やSDGsの浸透が大きく影響しています。自社の商品やサービスにも、インクルーシブデザインを取り入れたい企業や担当者も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、インクルーシブデザインの意味や注目されている背景などを解説します。自社の商品やサービスだけでなく、オフィスにインクルーシブデザインを取り入れるポイントも併せて解説するので、ぜひ最後までお読みください。

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インクルーシブデザインとは

インクルーシブデザインは海外で誕生し、日本でも浸透するようになりました。自社の商品やサービスにインクルーシブデザインを取り入れると、顧客の拡大や企業ブランドの向上が期待できます。

 

デザイン手法の一つ

インクルーシブデザインとは、既存の商品やサービスの利用に制約があるユーザーが使いやすいように工夫されたデザインのことです。一般社団法人インクルーシブデザイン協会の公式サイトでは、「障がい当事者をはじめとする少数派(マイノリティ)など、従来のデザインプロセスから除外されていた方々とともに新たな価値を創造するデザイン手法」と定義されています。

ここで言うマイノリティとは、障がいの有無だけではなく、国籍や性別、さらには宗教や価値観などが該当することもあります。

※出典元:一般社団法人インクルーシブデザイン協会「インクルーシブデザインとは」

インクルーシブには、「含める」という意味が込められています。多くの商品やサービスは、すべての人が使いやすいようなデザインが採用されているわけではありません。高齢者や障がい者などの一部の人は、デザインのターゲットから排除されているのが現状です。インクルーシブデザインは、これまでターゲットから排除されてきた人々をデザインプロセスに巻き込んでいく手法です。

 

イギリス人の教授によって提唱された言葉

インクルーシブデザインは、イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートのロジャー・コールマン教授によって提唱された言葉です。言葉が誕生したきっかけは、教授の友人である車椅子の女性からキッチンのデザインを依頼されたことでした。

キッチンに対し、多くの人は料理のしやすさや汚れにくさなどの機能性を重視する傾向があります。コールマン教授は依頼者の女性と接する中で、一般的な概念だけでなく、実際に利用する人と同じ目線で考えてデザインする大切さに気付きました。

インクルーシブデザインは、ターゲットのニーズを把握しつつ、デザインに反映させることに本質があります。その後、インクルーシブデザインが多くの国に広まり、日本でも浸透するようになりました。

 

■ユニバーサルデザインとは異なる

インクルーシブデザインと混同されやすい言葉の一つに、ユニバーサルデザインがあります。両者の大きな違いは、メインターゲットとデザイン手法です。ユニバーサルデザインは障がい者の使いやすさを意識しているものの、メインターゲットは健常者です。

また、ユニバーサルデザインは次の7つの原則に則り、より多くの人が利用できることが重視されています。

  • 誰もが公平に利用できること
  • 使う上での自由度が高いこと
  • 使い方がわかりやすいこと
  • 必要な情報がすぐに理解できること
  • ミスや危険につながらないデザインであること
  • 無理な姿勢を必要とせず、楽に利用できること
  • 使いやすいサイズとスペースを確保すること

ユニバーサルデザインは障がい者と健常者の両方の使いやすさを追求し、汎用性の高いデザインが用いられます。

一方のインクルーシブデザインでは、「排除されてきたユーザー」の課題解決を起点とし、その「特定の人」の意見を反映させてデザインを作っていきます。誰にとっても使いやすいものを目指す点はユニバーサルデザインと共通しています。

インクルーシブデザインが注目されている背景

近年、多くの国や分野でインクルーシブデザインが注目されています。その背景には、価値観の変化やSDGsの浸透などの社会的背景が大きく影響しています。

 

価値観の変化

インクルーシブデザインが注目されている理由の一つは、時代の流れとともに多様化する価値観です。インクルーシブという理念自体は、1970年代にフランスで誕生していました。当時は不況や移民の増加などの影響により、社会から排除される人々が社会問題化していました。

また、何らかの障がいを持って暮らしている人は、世界人口の約15%の10億人に相当すると考えられます。現在は健常者でも、病気やケガなどに見舞われれば、誰もが障がい者になる可能性があります。このような状況の中で、誰もが関係するデザインとしてインクルーシブデザインが注目されるようになりました。

 

SDGsの浸透

インクルーシブデザインは、SDGsと深い関係があります。近年は、世界の国々がSDGsの実現に向けて積極的に動いています。国単位だけでなく、企業単位でもさまざまな取り組みがおこなわれるようになりました。

SDGsの目的は貧困をなくし、地球環境を守りつつ、社会に誰一人取り残さないことです。インクルーシブデザインと、SDGsは多様性を受け入れ、課題解決に向けてともに立ち向かうなど、共通点も少なくありません。インクルーシブデザインはSDGsにも多くのヒントを与えてくれるという背景も、注目を集めるようになった理由の一つです。

インクルーシブデザインを取り入れるポイント

インクルーシブデザインを取り入れる際におさえておきたい、おもな3つのポイントを見ていきましょう。

 

除外の対象を把握する

インクルーシブデザインを取り入れた商品やサービスを実現するには、まずはどのような状況で排除の対象者が生まれるかを把握することが重要です。デザインの除外対象になるのは、高齢者や障がい者だけではありません。除外の対象者は、人種や国籍、個人の状況などのさまざまな場面で生まれます。

たとえば、出張先の海外で自分が理解できる言語での表示がない、圏外になった際にオフラインで地図アプリが使えないなどもその一例です。このように、誰もが除外対象になる可能性があります。自分が除外を受けるかもしれない場面を想定すると、インクルーシブデザインを取り入れやすくなります。

 

多様な人を含めてデザインする

属性や環境によっては誰もが除外の対象になる可能性があるため、インクルーシブデザインを取り入れる際にはできるだけ多くの人を巻き込むようにするのが理想です。自社のチームだけでデザインを進めると、偏りが生じやすくなります。

そのため、デザインを考える際にはチームメンバーだけでなく、さまざまな人に意見を聞くことが大切です。多くの人の意見をデザインに反映させることで、インクルーシブデザインを取り入れた理想的な商品やサービスが生まれるでしょう。

 

利用方法を一つに制限しない

多様なユーザーに対応したデザインの商品やサービスを生み出すには、さまざまな利用方法を提示する必要があります。商品やサービスを利用する環境は、ユーザーによって異なります。特定のユーザーをターゲットにして開発を進めると、利用しづらいユーザーが出てくるかもしれません。

そのため、インクルーシブデザインを取り入れる際には、ユーザーのさまざまな環境を想定し、複数の利用方法を用意するようにしましょう。環境に応じて利用方法が選択できることで、より多くのユーザーに利用してもらえる可能性が高まります。

インクルーシブデザインはオフィスにも取り入れられる

インクルーシブデザインは自社の商品やサービスだけでなく、オフィスに取り入れることも可能です。近年はダイバーシティを実現するために、さまざまな属性の人を雇用する企業も増えています。

 

【オフィスデスク】電動昇降デスクDSDシリーズ

多様な属性を持つ従業員が快適に働ける環境を提供するには、インクルーシブデザインを取り入れたオフィス家具を活用するのも手段の一つです。アイリスチトセの電動昇降デスクDSDシリーズは、状況に応じて天板の位置を自由に調整できます。

天板の位置を下げれば、車椅子の従業員でも使用しやすくなります。天板の位置を上げれば、スタンディングワークにも対応できます。スタンディングワークは従業員の健康を促進する手段としても有用です。

スタンディグワークについてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
スタンディングワークの導入と効果

電動昇降デスクDSDシリーズの詳細はこちら

 

【オフィス家具一式】enKAKコレクション

近年は、リモートワークやハイブリッドワークなどの柔軟な働き方を導入する企業が増えています。オフィス出社以外の働き方が普及する中、これまでとは異なるオフィスの在り方が求められています。

アイリスチトセのenKAKコレクションは、このような多様な働き方に対応できる新しい家具です。

デザインでは「男性中心としたビジネス概念」から脱却させ、また20代~60代の幅広い年齢層の働く人たちが快適に過ごせるように、適正なサイズやニュートラルなカラー、「円」と「角」といったトレンドに左右されない普遍的な形状でまとめ上げました。

詳しくはこちらの記事に掲載されているので、ぜひ参考にしてください。

スペシャル対談】デザインオフィス「nendo」とコラボレーションしたオフィス家具コレクション「enKAK」

まとめ:さまざまな人の意見を反映して理想的な商品を開発しよう

インクルーシブデザインは、既存の商品やサービスの利用に制約があるユーザーが使いやすいように工夫されたデザインのことです。既存の商品やサービスはターゲットが特定されているため、除外される人も少なくありませんでした。

多様性を受け入れようといった動きが高まっている中、企業にはより多くの人が使いやすい商品やサービスの開発が求められています。自社のチームだけでは偏りが生じやすくなるため、より多くの人の意見を聞き、反映させることが大切です。

また、インクルーシブデザインは、オフィス環境に取り入れることも可能です。オフィスにインクルーシブデザインを取り入れれば、さまざまな属性の従業員も働きやすくなり、満足度が上がる可能性もあります。

オフィスにインクルーシブデザインを取り入れる際には、オフィスデザインの専門家に相談してみましょう。アイリスチトセでは生産性の向上やエンゲージメントの向上など、「働く」を10に分類し、オフィスごとに組み込むことで働く環境をデザインします。

東京・大阪・仙台では、自社オフィスの働く環境をご覧いただけます。インクルーシブデザインをオフィスに取り入れる際のご参考に、ぜひお役立てください。

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