社内コミュニケーション改善のため目標設定!立て方や具体的な例を紹介
働き方
社内コミュニケーションの改善は、企業の生産性向上や課題解決に直結する重要な要素です。しかし、その活性化を実現するためには、具体的な目標設定が欠かせません。
この記事では、社内コミュニケーション改善の目標をどのように立てるべきかについて、必要性や具体的な事例に触れながら解説します。「目標の達成度合いをどうに評価すれば良いのか?」といった疑問を解決するためのポイントもあわせてご覧ください。
目次
社内コミュニケーションとは
社内コミュニケーションとは、社内で日常的に行われる会話や情報交換、情報共有のことを指します。業務に直接の関係はない何気ない雑談も社内コミュニケーションの一環に含まれています。
テレワークが導入されている企業では、コミュニケーションは直接の会話よりもオンライン上でのやり取りがメインになる場合があります。チャットなどのテキストのやり取りだけではジェスチャーや表情が伝わらないため、ビデオ通話も活用されることもあります。
社内コミュニケーションは、組織やチームの結束力を高めるうえで重要な要素です。そのため、企業自らが社内コミュニケーションが活性化できるような施策をおこなうことが求められています。
社内コミュニケーションを活性化させるメリット
社内コミュニケーションの活性化には、組織全体の生産性向上に寄与する効果があります。この効果をより具体的に表現すると、次のようなメリットが浮かび上がります。
- 従業員のモチベーションアップ
- チームビルディングの促進
- 生産性の向上
従業員のモチベーションを高めることで、より熱意をもって業務に取り組むことができるようになります。また、従業員同士の信頼によって、従業員一人ひとりの能力を発揮できるチームビルディングの取り組みを促進できるようになるでしょう。
生産性の向上も注目したいメリットです。何気ないコミュニケーションから新しいアイデアが生まれ、業務の成果に新たな価値を付与することも期待できるようになります。
社内コミュニケーションの活性化のためには、現在の社内コミュニケーションで発生している課題を解決する必要があります。アンケートなどを通じ、改善策を模索しましょう。適切な社内コミュニケーションは、チームビルディングにとっても重要な要素となります。
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社内コミュニケーションにおける目標設定の重要性
社内コミュニケーションの活性化には大きな意義があります。しかし、漠然とした「社内コミュニケーションを改善しよう」などのイメージだけでは、適切な施策は検討できません。
改善をおこなう場合は、具体的でわかりやすい目標を設定することが大切です。社内コミュニケーションにおける目標設定の重要性を、次の2点から見ていきましょう。
- 具体的な改善策を立てられる
- 従業員への情報共有に役立つ
それぞれの詳細を解説します。
■具体的な改善策を立てられる
社内コミュニケーションの改善を目指す際に目標があれば、具体的な改善策を立て、それに向けた行動を計画できます。「なぜ社内コミュニケーションの改善が必要なのか」「どのように社内コミュニケーションを改善するのか」ということを意識しましょう。
労力や費用は有限であるため、手当たり次第に改善を目指しても、成果は期待できずリソースを浪費することになります。具体的な目標設定は、予算や現実的な労力の範疇でのコミュニケーション改善にとって重要な要素です。
■従業員への情報共有に役立つ
社内コミュニケーションの改善には、従業員の協力が必要不可欠です。情報共有のためにも、従業員が理解できるかたちで目標を設定しておくようにしましょう。
目標が存在しなければ、施策を実行したとしても従業員は一方的に課題を押し付けられた状態となります。納得や理解のないままいわれたことをするだけになったり、ただのスローガンとして聞き流されることになりかねません。
目標が定められていれば、従業員も課題意識を共有できます。実際の行動にも移しやすくなり、中身を伴った改善プロセスを踏めるようになるでしょう。
社内コミュニケーションの目標の立て方・改善方法
社内コミュニケーションの目標設定と改善方法の策定では、PDCAサイクルを利用した方法が有効です。Plan(目標の設定)、 Do(実施)、 Check(結果分析)、 Action(改善策)を通じて取り組みを決定するPDCAサイクルは、プロセスの見える化に役立ちます。
しかし、「結果を元にどう改善させるか」といったPDCAを回し続けることが、この種の課題の一番難しいところであり、かつ最大のポイントとなります。
この項目では、社内コミュニケーションの目標の立て方と改善方法を、次のPDCAサイクルに基づいて解説します。
- Plan:課題を洗い出しコミュニケーションの目標を決定する
- Do:目標達成の手段を検討し実行する
- Check:実行結果の分析・検証をおこなう
- Action:改善策を検討する
PDCAサイクルの各段階での重要なタスクを理解して、施策を適切に実施できるようにしましょう。
■1.Plan:課題を洗い出しコミュニケーションの目標を決定する
社内コミュニケーションの改善を目指すためには、まずは現状の課題を洗い出すことから始めましょう。この課題の洗い出しでは、目標設定をするチームだけでなく、現場の声も取り入れることが重要です。
業績や部署の成績などのデータはもちろん、アンケートやヒアリングといった生の声を採用することが大切です。
課題が明確になったら、それを解決するための目標を設定します。目標設定の際には、「誰が」「いつまでに」「どのような手段で」「何をするのか」を具体的に決めることが大切です。目標に対する共通理解を深め、具体的な行動につなげることができます。
■2.Do:目標達成の手段を検討し実行する
目標が定まった後は、達成のための具体的な手段を検討し、実行するようにしましょう。
たとえば、「リモートワークによってコミュニケーションの機会が少ないため、気軽に会話をできる場を設けたい」という目標がある場合にはチャットツールなどのコミュニケーションツールの導入が有効です。
上司と部下の間でのコミュニケーションが滞っている場合には、1on1ミーティング、社内イベントなどで交流を持てる場を用意することも有効になるでしょう。
ただし、これらの施策は通常業務の負担にならないようにすることが重要です。また、過去には飲みにケーションとして重要視されていた飲み会などは敬遠される風潮にもあり、無理に実施すれば逆効果になる場合もあります。
■3.Check:実行結果の分析・検証をおこなう
取り組みが1度で上手くいくとは限りません。PlanとDoの段階でおこなった目標設定や施策が、社内コミュニケーションの改善にとって有効であったかどうかの分析・検証をおこないましょう。
施策を計画どおりに実行できなかった場合にはその要因分析をより一層入念におこなう必要があります。Checkの段階で、失敗原因がわからないと次の段階でおこなう改善も連鎖的に失敗してしまいます。
定量的な分析はもちろん、目標設定時と同様に従業員の声から施策の理想と現実のギャップを埋めることも重要です。とは言え、コミュニケーションという定量化しにくいものを分析・検証するには、結果を「見える化」するための工夫が必要です。従業員への定期的なアンケートやヒアリングを実施するなど、現状を把握できる手段を講じましょう。
施策のうまく機能している点・機能していない点、それぞれの原因を探り、改善策の検討に繋げます。
■4.Action:改善策を検討する
「Check」で判明した検証結果を受けて、今後の施策を検討しましょう。うまく機能したものは継続し、思うような結果が得られなかった点に関しては別のアプローチなどを考えるようにすることが大切です。
Actionの段階で改善策を明らかにできたら、Planの段階に戻り改善された新施策を実行します。このサイクルを繰り返すことで、社内コミュニケーションのための施策をブラッシュアップしていきましょう。
社内コミュニケーションの目標の具体例
社内コミュニケーションの目標を設置する際には、次のように短期的なものと中長期的ものを分けることが大切です。
- 1日や1カ月の短期的な目標
- 数ヶ月や1年の中長期的な目標
それぞれのケースにおける具体例を参考に、自社の業務に合った目標を考えてみましょう。
■1日や1カ月の短期的な目標
日単位・月単位の短期的な目標を通じて、日々のコミュニケーションの質を向上させることを試みましょう。例としては、次のようなものがあげられます。
- 定期的な1on1ミーティング
- 初期対応は「〇時間以内」に情報供給する
- 仕事の成果を褒め合う
もっとも基本的なものとしては、週1回や月1回の1on1ミーティングの設定があげられます。上司と部下の間で定期的に面談をおこなう機会を設け、従業員間の直接的なコミュニケーションを促進します。
業務において問題が発生した場合に「〇時間以内」の初期対応をおこない、早めの情報共有を心がけるような目標の設定が有効です。業務におけるコミュニケーションのスピードに指標を示すことで、問題解決の速度を向上させることができます。
また、仕事の成果を褒め合うことを習慣づけることで、ポジティブな企業文化を作り出すことが可能です。従業員は組織に貢献している実感を持てるようになり、エンゲージメント(会社への愛着や信頼)の向上にも効果を発揮するようになるでしょう。
■数カ月や1年の中長期的な目標
労働生産性や顧客満足度などの事業全体の成果に関わる目標に関しては、数カ月や1年の中長期的な実現計画を組むことが大切です。おもに、次のような目標が向いています。
- 時間外労働の削減
- 生産性や従業員の満足度を〇%向上
- 離職率を✕%改善
時間外労働の時間数削減は、従業員の負担削減のうえで重要な課題です。短期的な目標で紹介した1on1ミーティングなどを通じて上司が労働時間を把握しておき、無理のない業務割り振りをおこなうことで実現できます。
生産性のパーセンテージごとの向上は時間当たりの売上や利益から計測することが可能です。少ない時間で最大の効果を出せるように、課題共有や進捗のカバーを同僚同士でおこなえる風土を社内に構築しましょう。
離職率の改善は、年単位で計測することが有効です。従業員の満足度やエンゲージメントを高める施策によって、前年度比で離職率がどの程度変化したかを算出しましょう。施策の効果が確認できたらPDCAサイクルでブラッシュアップを続けていくことも大切です。
週単位・月単位の短期的な目標を通じて、日々のコミュニケーションの質を向上させることを試みましょう。
社内コミュニケーションの目標を達成するポイント
社内コミュニケーションの目標設定や達成のための行動では、次のポイントを意識することが大切です。
- 目標に優先順位をつける
- ITツールを活用する
- 経営層が率先して施策を実践する
これらのポイントを、自社で社内コミュニケーション改善の施策をおこなうときに意識するようにしましょう。それぞれの詳細を解説します。
■目標に優先順位をつける
目標には優先順位をつけて、実現できそうな課題から取り組んでいくことが大切です。可能なことから取り組み結果を出せば、従業員も効果を実感しやすくなるでしょう。
複数の課題を一つの目標で解決できるとは限りません。かといって複数の目標を乱立してもリソースを集中できず達成に時間がかかり、頓挫してしまう可能性もあります。離職率の高さと生産性の低さの問題が見られていても同時に解決するのではなく、先にどちらかに取り組みましょう。
目標の乱立は、企業における課題の原因を無暗に社内コミュニケーションに求めてしまう恐れもあります。「従業員満足度が低い」といった課題がある場合には、社内コミュニケーション以外に上司のマネジメント能力などが原因である可能性もあります。
目標とそれに応じた課題一つひとつを整理して、因果関係を理解して進めていくことが大切です。
■ITツールを活用する
ITツールの活用は、場所を選ばずにコミュニケーションを取ることを可能にします。特にリモートワークをおこなう機会が増えている現代では活用は欠かせないものとなるでしょう。出社が基本の場合でも、外回りの職種の人が利用しやすくなります
社内コミュニケーションに利用するツールは自社開発するよりも、既存のツールを導入するほうが手間やコストを節約できます。まずは基本無料で利用できるものを探し、使用感を試してみましょう。
社内コミュニケーションが得意なITツールのなかには、情報共有やスケジュール調整、ファイル共有など、多機能な使い方が可能なものも多くあります。業務の効率化にも役立つでしょう。
■経営層が率先して施策を実践する
経営層が率先して社内コミュニケーション改善の施策を率先して実践することが大切です。従業員が経営層の行動を模倣して、施策に沿った行動をおこなえる職場の空気を形成しましょう。
いかに社内コミュニケーションの活性化の重要性を説いても、従業員にとっては「どうやって実施すれば良いのかわからない」「自分からやりだすのに引け目を感じる」とハードルを感じられてしまいます。そこで、経営層が模範を示すことの意義が生まれます。
また、経営層と従業員が同じ目的のもとで動くこと事態が組織全体のコミュニケーション改善につながります。組織の一体感が高まれば、従業員の帰属意識も高めることができます。コミュニケーションの活性化から、社内の課題も汲み上げやすくなるでしょう。
まとめ:社内コミュニケーションの改善は目標を定めて実施しよう
社内コミュニケーションを改善する場合には、短期的・中長期的な目標を定めて実施することが大切です。目標があれば具体的な施策と行動を従業員に提示できるようになり、改善に向けて組織的に動けるようになります。
社内コミュニケーションの改善を通じて従業員のモチベーションアップやチームビルディングの促進を実現できれば、より働きやすく、生産性のある職場を実現することも可能です。
また、社内コミュニケーションの改善はPDCAサイクルを活用して継続的におこなうことが重要です。一時の目標達成で満足せず、より良い職場の実現を目指しましょう。この記事で紹介した内容を自社で社内コミュニケーションの活性化を目指すときの参考としてください。
社内コミュニケーションの活性化は、高度な人材育成と能力発揮を目指すチームビルディングにとっても重要です。次の記事でチームビルディングの目的や効果を理解し、社内コミュニケーションの改善とともに企業の成長に役立てましょう。