仕事の生産性とサーカディアンリズム

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仕事の生産性とサーカディアンリズム

今、日本の多くの企業では仕事の生産性を上げる為に、さまざまな対策や取り組みをおこなっています。オフィスのレイアウト変更やリモートワークの併用など働き方の見直し、DXなどの方法がありますが、今回は徐々に注目されつつある「光が与える仕事の生産性への影響」に焦点を当ててご説明します。

 

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サーカディアンリズムとは

突然ですが、皆様はサーカディアンリズムという言葉を耳にしたことがありますか。

サーカディアンリズムを日本語で言うと「概日リズム」。人や生物は、地球の自転による24時間周期に同調して体内の機能を変化させる機能を持っています。人の体温やホルモン分泌など、この周期に合わせてほぼ24時間のリズムで回っていて、これをサーカディアンリズムと呼びます。

ちなみに語源はラテン語で「サーカ(おおよそ)」「ディアン(1日)」、言葉の通りおおよそ1日のリズムです。

 

体内時計とサーカディアンリズムの関係

一方で、「体内時計」という言葉を聞いたことがある方は多いでしょう。実は人の体内時計の周期は、個人差はあるものの24時間より少し長い25時間と言われていて、先ほどのサーカディアンリズムより約1時間ほど長い周期になっています。ではなぜ1日1時間のずれが生じるのに人は24時間サイクルで生活ができるのでしょうか(例えば毎朝決まった時間に起きられるなど) 。

それは人がこの体内時計を、地球の自転による昼夜の周期に一致させられる機能(同調機構)を持っているからです。

そしてこの同調機構は、「同調因子」によって調整されています。この同調因子で代表になるものが「光」であり、他には「時計」、「食事」などがあります。つまり、朝~昼~夜と変化する自然の光の中で生活し、決まった時間に食事を取るなどすることで私たちはサーカディアンリズムを整えているのです。

サーカディアンリズムと健康との関連

サーカディアンリズムは健康に関する複数要素と深い関係があります。睡眠、ホルモン、体温・血圧の3つの観点から、関連性を把握しましょう。

 

■睡眠との関連

サーカディアンリズムと睡眠の間には密接な関係があります。眠気はヒトの身体の体温変化とともに現れる仕組みとなっているのです。時間と体温変化が結びつき、リズムが整うことで、毎日決まった時間に眠り、起きることができます。

ヒトの体温は、サーカディアンリズムが正常であれば午後に最も高くなり、明け方に最も低くなる仕組みとなっています。体温が最高点から下がる頃から眠気が出現し、最低点から上昇するに従って身体が目覚めます。

昼食を食べた後に眠くなるケースなどが、この仕組みの作用としては分かりやすいものといえるでしょう。また、眠くなると体温が上がっているように感じられるのも、体温低下のために身体が熱を放出している証拠といえます。

朝に起き夜に眠るスケジュールで規則正しい睡眠を取るためには、サーカディアンリズムを整えることが重要なのです。

 

■ホルモンとの関連

サーカディアンリズムは、セロトニンとメラトニンという睡眠に関連する二つのホルモンと重要な関係を持っています。適性なサーカディアンリズムであれば、日中にはセロトニン、夜にはメラトニンが分泌され、良質な睡眠を取れるようになります。

メラトニンは体内時計に睡眠を働きかける効果を持つホルモンで、セロトニンはメラトニンの原料です。日中に生成されたセロトニンを夜間メラトニンとすることで、自然に眠ることができます。

セロトニンは日中に太陽の光を浴びることで分泌されやすくなります。朝起きて夜眠る、という生活を送っていれば、セロトニンとメラトニンのリズムが安定して睡眠を取れるでしょう。

昼夜逆転の生活を送っていると太陽を光を浴びることができず、セロトニンの分泌量が減り、睡眠に欠かせないホルモンであるメラトニンも不足してしまいます。朝には欠かさず太陽の光を浴びることは、サーカディアンリズムとホルモンにとって大切なことなのです。

 

■体温や血圧との関連

睡眠の項目で述べたとおり、サーカディアンリズムは体温との重要な関連性を持っています。体温は日中の生活や活動の質に影響を与える要素です。また、血圧も体温と同様にサーカディアンリズムと深い関わりを持っています

血圧は、ヒトが盛んに活動する昼間に上がり、夜間に下がります。体温と同様にリズムを繰り返しており、サーカディアンリズムが整っていることで望ましい状態できます。

たとえば、体温や血圧が正常であれば、日中に活発に身体を動かすことができ、仕事も能率よくこなすことができます。一方で体温や血圧が低いと、眠気が取れず、日中でも頭がボヤけたような感覚のまま過ごすことになってしまいます。

しかし、高血圧にはリスクがあることを留意しておきましょう。朝に血圧が上がり過ぎると脳卒中などの恐れが高まります。また、サーカディアンリズムの乱れが夜間の血圧上昇を招き、健康を害する恐れもあります。

サーカディアンリズムが崩れると起こりえる弊害

仮にサーカディアンリズムが崩れてしまうと、睡眠障害や生活習慣病などのリスクが発生します。仮に重い病気にはならなくとも、日常の快適さを損なう症状が出るかもしれません。

サーカディアンリズムが崩れた場合の弊害をあらかじめ把握しておき、健康的な生活を送るための参考としてみましょう。

 

睡眠障害

サーカディアンリズムが乱れると、決まった時間に睡眠・起床できない、満足な時間・質の睡眠が取れないなどの睡眠障害が発生する恐れがあります。

冒頭で述べたとおり、人間の体内時計はおおよそ25時間周期となっています。サーカディアンリズムが乱れると、体内時計と実時間のズレが大きくなり、24時間のリズムに適応できず、睡眠障害を引き起こすのです。

体内時計と実時間のズレは、朝に太陽の光を浴びる、きっちり三食をとる、運動をおこなうことによって修正できます。同時に、在宅ワークなどで家や部屋に籠り続ける場合は、自然には治らないものといえるでしょう。

ズレが続くと睡眠障害が慢性的なものとなってしまいます。また、無理に起床しても身体が追い付かず、日中に頭痛や眠気を感じ、生活の質が低下してしまうことが考えられます。

 

生活習慣病

サーカディアンリズムの乱れは、高血圧や肥満などの生活習慣病の原因にもなります。ヒトは昼間に食事で脂肪を蓄え、夜に糖や熱を生成して身体機能を維持するため、サーカディアンリズムが乱れて夜中に寝ることができないと、代謝のバランスが崩れてしまうのです。

代謝のバランスが崩れると、脂肪などが燃焼されず身体に残ってしまいます。体内の脂肪が増えると太り、血中の脂質が増えて血管や心臓への負担が増加し、高血圧となります。高血圧になると、心筋梗塞や脳卒中などの命に係わる病気のリスクが増してしまいます。

また、サーカディアンリズムの乱れで寝不足になると、食欲を抑制するホルモンであるレプチンの分泌量が低下してしまう恐れもあります。食欲をおさえきれず過食となることで、生活習慣病に近づいてしまうリスクも看過できません。

 

■集中力の低下

集中力の低下も、サーカディアンリズムが乱れることによる弊害です。仮に睡眠障害や生活習慣病のような具体的・深刻な病気とならない場合でも、無視しにくいリスクが発生しているのです。

サーカディアンリズムの乱れは低体温・低血圧などを招き、日中でも疲れやすく集中できない状態となってしまいます。日頃からボーっとすることも多くなり、疲れを解消しようとしても睡眠の質が低いため、慢性的な不調が続くことになるでしょう。

また、集中力が低下する程度の状態でも、起床時の憂鬱感やストレスなどが増加し、身体的・精神的に徐々に弱っていってしまいます。放置しておけば具体的な病気に悪化してしまう可能性も否定できません。

サーカディアンリズムを整える方法

これまで紹介したとおり、サーカディアンリズムは生活の質や健康面に大きな影響を与える要素となっているため、健全な状態に整えておくことが大切です。次の3点を生活に取り入れて、サーカディアンリズムを整えていきましょう。

  • 起床と睡眠時間を一定にする
  • 朝起きたら光を浴びる
  • 食事の時間を一定にする

それぞれの詳細を解説します。

 

起床と睡眠時間を一定にする

まずは起床と睡眠時間を一定にし、規則正しい生活をすることが大切です。たとえ休日であっても、平日と同じ時間に起きるように心がけましょう。

人間が起床する際には、身体を起こすためのホルモンであるコルチゾールが分泌されます。起きる時間を毎日一定にすることでコルチゾールの分泌時間が揃い、スッキリと起きられるようになります。

定期的な時間に起きるためには目覚まし時計が有効ですが、アラームの強烈な音が原因で、不快な寝覚めとなってしまう恐れもあります。自然に目覚めたいという方には、自己覚醒法という手段も有効です。

自己覚醒法は、寝る前に起きる時刻を3回唱えて、あらかじめ起きるための体のリズムを整えておくテクニックです。効果は絶対ではありませんが、失敗しても自分を責めないことが大切です。すぐには習慣付かない可能性もあるため、気長に実践することが大切です。

 

朝起きたら光を浴びる

朝起きたらまずは光を浴びるようにしましょう。ヒトの身体は光を浴びるとセロトニンが分泌され、夜間にメラトニンとなって眠りやすくなるため、サーカディアンリズムの調整に大きな役割を持っています。

朝になったら15から30分程度の、外に出て日光を浴びるのが理想的ですが、朝は忙しいという方も少なくないでしょう。時間がない場合には、5分でも窓から日光を浴びることも有効です。立地的に日光を取り入れにくい場合は電気をつけるだけでも効果はあります。

反対に、夜間に強い光を浴びるとメラトニン分泌が抑制されてしまうため、テレビやパソコン、スマートフォンなどの使用を控えることが大切です。就寝の1時間から30分前程度を目途に、各種機器を使い終えるようにしましょう。

 

■食事の時間を一定にする

朝、昼、夕の三食を一定の時間に取ることも、サーカディアンリズムを整えることにとても有効です。食事の周期もサーカディアンリズムに強く影響する要素であるため、なるべく一定の時間に食事を取れるようにしましょう。

人によっては朝や昼は忙しいため食事を抜いているという人もいるかもしれませんが、それはサーカディアンリズムを乱す原因にもなっています。食事は体内時計のズレの補正に役立つため、時間がない場合には簡単に食べられる軽食を用意しておくことが大切です。

また、可能な限り食事の内容にも気をつけるようにしましょう。特に、朝食は炭水化物を避け、たんぱく質を多めにとるとよいとされています。セロトニンの分泌にはトリプトファンというアミノ酸が必要で、乳製品や大豆製品などのたんぱく質に多く含まれることが知られています。

サーカディアンリズムにおける光の重要性

日中の光でセロトニンが分泌され、夜間に分泌されるメラトニンで睡眠に導かれることからも分かるように、サーカディアンリズムにおいて光は重要な要素となっています。乱れたリズムを正す場合、あらかじめ乱れないようにするためにも、生活のなかで光を意識することが大切です。

 

■光でサーカディアンリズムを整え、生産性をUP

毎日外で仕事をして光を浴び、暗くなると夕食を取り早めに就寝する人はこのリズムが乱れにくいですが、働く私たちにとって、そうでない人の方が大半でしょう。つまり光を浴びて身体のリズムを整えることは、昼間に仕事をする人にとって脳が活発な時間に業務に取り組めること繋がるため、とても重要になってきます。

そこで最近注目されているのが、照明を自然光に近づけることでサーカディアンリズムを整えようという考え方です。具体的にはオフィスや働く場の照明の明るさや色を時間に応じて変化させることで、屋外の光環境に近づけようというものです。働く人にとって、オフィスが起きている間に最も長くいる場所、という方が半数以上ではないでしょうか。

オフィスの照明の移り変わりを人のサーカディアンリズムに合わせることで、正しい睡眠を取ることができ、結果的に仕事の生産性があがるのではないか、この様な考えが近年注目されてきています。

オフィスの照明選びに関する詳細はこちらの記事でも解説しています。

サーカディアンリズムに対応したアイリスグループのオフィス

近年「働き方改革」が唱えられ、残業時間短縮に取り組む企業が増えてきており、それを実現させるには生産性を上げることが重要になってきます。生産性を上げるには心身ともに健康で、且つ能力を最大限に活用することが必要であり、その為には社員のサーカディアンリズムが整っていることが重要になります。

この様な考えの下、私たちアイリスグループでは自社のオフィス照明をサーカディアンリズムに対応させることで生産性の向上を図ろうと取り組んでいます。

例えばアイリスグループ東京本部のオフィス内の照明は、無線方式の照明制御システム「LiCONEX(ライコネックス)」でコントロールしており、自然光の1日の移ろいを再現した「サーカディアンリズム」機能を採用し、時間に応じて明るさ・光色を変化させることで、オフィスで1日の大半を過ごすワーカーが時間の移ろいを体感的に感じ取れるように設計されています。

画像を見ていただくとお分かりいただける通り、朝出勤時は昼光色で照度も上げ、心身が活発に活動できる状態になるようにサポート、日中から夕方になるにつれて徐々に色温度と照度を下げていきます。
実際に終業後にこの状態になると早く帰ろうというマインドにもなり、残業時間の削減にも寄与しています。

さらに単純に均一的にこれを実現させるのではなく、例えば窓辺のウインドウフロントエリアは眺望を見ながら仕事に集中できる特徴的なエリアですが、外光とパソコン画面の照度差によって目が疲れやすくなるため、室内の照度を明るくすることでパソコンの画面を見やすくし、業務に集中しやすい環境を整えていたり、ソファエリアやタッチダウンエリアなど、それぞれのエリアの特長に合わせて無線制御で細かく照明をコントロールしたりすることで、働き方に適した照明環境を整えています。

スタンディングワーク3
FOUNDER 東京ライブショールーム

まとめ:サーカディアンリズムを整えて健康な生活を送ろう

サーカディアンリズムは人間の体内時計を実時間に合わせ、健康的な生活リズムを送るための重要な仕組みです。朝起きて睡眠リズムや、睡眠の質に影響するホルモン、日中の生活の質に関わる体温・血圧を適性な状態に保つためには、サーカディアンリズムを整えることが欠かせません。

仮にサーカディアンリズムが乱れてしまうと、睡眠障害や生活習慣病などを招くリスクが高くなってしまいます。規則正しい睡眠や食事に加え、寝起きに太陽光を浴びる、夜間に目に入れる光を減らすなどの工夫を加えて、サーカディアンリズムを整えるようにしましょう。

日中に働くオフィスなどでの光の量を調節していれば、よりサーカディアンリズムを整えやすくなります。アイリスチトセではオフィス向けのシステム照明などの商品を取り添えるほか、オフィスレイアウトや家具などのご相談も承っております。

オフィスづくりを通じて従業員の生産性を高めたい、オフィスの照明に悩みがある、といった方は、ぜひアイリスチトセにご相談ください。

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