従業員の満足度を高める工場の社員食堂とは?効果的な運営方式、提供スタイルを紹介

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従業員の満足度を高める工場の社員食堂とは?効果的な運営方式、提供スタイルを紹介

工場において食堂は「従業員に食事の場を提供する」だけでなく、エンゲージメントの向上や生産性の向上への寄与など、さまざまな役割を担っています。

そのため、工場に食堂を新設したりリノベーションをしたりする際は、快適さや利便さなどを多角的に検討することが必要です。工場に社員食堂を設置し、高い効果を得るためには、目的を明らかにしておくことも大切です。

そこで本記事では、社員食堂の役割や設置方法のトレンドなど、工場に社員食堂を設置する際におさえておきたいポイントを具体的に解説します。社員食堂の導入事例もご紹介しますので、自社に適した社員食堂を模索する際にお役立てください。

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工場に社員食堂が必要な理由

社員食堂は従業員の福利厚生の一環として導入されるケースが多いですが、工場への導入は、特に必要性が高いと言えます。その背景には、工場ならではの立地や人事戦略が関係しています。詳しく見ていきましょう。

 

◾️近くに食事を購入できる場所がないため

都心部のオフィス街には飲食店が数多くあるため、従業員は手軽に食事を摂ることが可能です。一方の工場が設置される立地は、都心部に比べて食事を摂れる場所が少ない傾向にあります。郊外という理由もありますが、大きな要因は工場が用途地域にあたるケースが多いことです。

都市計画法では、工業地域や工業専用地域には飲食店を出店できないルールが定められています。都市計画法が定めるエリアに工場がある場合、近隣には食事ができる店がないことになるため、従業員に食事を提供する場を整備する必要があります。

 

◾️従業員の健康を守るため

企業には、従業員の健康を守る義務があります。2008年に施行された労働契約法では、「企業は、社員が生命や身体の安全を確保しながら働けるように努めるべき」と明文化されています。

食事は、健康を左右する要素の一つです。従業員の健康は、社員食堂による食事の提供という形で企業がサポートすることも可能です。工場に社員食堂を設置し、栄養バランスが整った食事を提供すれば、従業員の健康増進につながるでしょう。

また、近年は従業員の健康を経営課題と捉え、戦略的に取り組む健康経営が注目されています。企業が健康経営に取り組むメリットや効果は、こちらの記事で詳しく解説しているので、ぜひチェックしてください。

健康経営についてわかりやすく解説|メリットや健康経営優良法人の認定基準などを紹介

 

◾️従業員の定着率を高めるため

社員食堂の設置は、従業員の満足度を向上させる効果が期待できる取り組みの一つです。転職が珍しくなくなった今、より良い労働環境を求めて離職する人も増えています。労働人口が減少する中、企業には従業員の満足度を高め、離職を防ぐ取り組みも必要です。

近隣にコンビニや飲食店が少ない工場では、毎日の食事に悩む従業員も少なくありません。また、近年は物価が高騰する中で節約志向が高まっており、食費をおさえたいと考える人も多い傾向にあります。

社員食堂では、飲食店よりもリーズナブルな価格で提供されるケースがほとんどです。メニューの工夫次第では、従業員の満足度をより高められるでしょう。満足度が高い従業員が増えれば、人材の流出を防ぎ定着率の向上に寄与することが期待できます。

「食事の場」だけにとどまらない、工場の社員食堂のメリット

工場に社員食堂を設置する企業が増えている理由には、「食事の場」以外にも多くのメリットがあるためです。各メリットを詳しく見ていきましょう。

 

◾️企業の魅力をアピールする場にできる

近年は、福利厚生の内容を重視する求職者が増えています。社員食堂は福利厚生の一環となるため、工場に設置すれば企業の魅力としてアピールすることが可能です。求職者が工場に設置された社員食堂に魅力を感じれば、応募者が増え、人材の確保につながるかもしれません。

また、運営の工夫次第では、従業員の満足度を高めるための要素になり得ます。例えばメニューに地域の名物を取り入れる、カフェのようなおしゃれな空間にするなどです。工場の社員食堂を通じて既存の従業員の満足度が高まれば、人材の流出を防ぎ、離職率の低下も期待できます。

 

◾️エンゲージメントを高めることができる

社員食堂のレイアウトや雰囲気のつくり方次第では、工場で働く従業員のエンゲージメントを高めるために役立ちます。

業務を円滑に遂行するためには、適切にコミュニケーションをとり、良好な人間関係を構築することが大切です。社員食堂をコミュニケーションが取りやすいレイアウトや雰囲気にすることで、従業員の人間関係を構築できます。

社員食堂は交流の場となるため、コミュニケーションが活性化し、部署やチームを超えた人間関係の広がりにつながるでしょう。社風を感じられる内装にすることで、より帰属意識が高まる可能性もあります。

また、社員食堂でリーズナブルな価格のメニューを提供すれば、従業員の食事代の節約にも寄与します。人を惹きつけられる社員食堂は、エンゲージメント向上の手段として有効です。なお、従業員のエンゲージメントを高めることで期待できる効果や施策は、こちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

エンゲージメントとはなにか?意味や向上させる方法を徹底解説

 

◾️従業員の健康をサポートできる

工場の社員食堂には、従業員の健康をサポートする役割を持たせることも可能です。従業員の健康に問題が生じると、休職や離職につながるおそれがあります。少子高齢化によって労働人口が減少する中、新たな人材の獲得も難しいのが現状です。従業員に健康で長く働いてもらうためには、企業が健康をサポートする必要があります。

社員食堂を通じて従業員の健康をサポートする方法の一つは、栄養バランスが整ったメニューを提供することです。健康的な食事は体重管理や疾病予防に役立つため、従業員の健康維持・増進が期待できます。

近年は、健康的なメニュー開発をサポートする業者も増えています。従業員に健康的なメニューを提供し、健康をサポートしましょう。

 

◾️生産性の向上が期待できる

社員食堂の有無は、従業員の生産性にも影響します。企業が利益を向上させるためには、従業員一人ひとりの生産性を上げることも大切です。工場の休憩時間は1時間が一般的ですが、45分というケースもあります。

コンビニや飲食店を利用する場合、場所によっては遠く、移動だけで休憩時間の多くを占めることも珍しくありません。食事や移動に時間がかかれば、十分に休息できない従業員が出てくる可能性もあります。

休息が不十分なまま午後の作業に取り掛かると、疲労によって集中力が散漫になり、生産性が低下しやすくなります。工場に社員食堂があると移動時間を削減し、休息時間を確保できるため、休憩時間を有効活用できるようになるでしょう。

工場に社員食堂を設置する際のポイント

工場に社員食堂を設置する際には、従業員の人数に応じたスペースが必要です。また、ランチタイムは混雑しやすいため、配膳・喫食・下膳などの流れをスムーズにするための動線やレイアウトを考えましょう。

 

◾️動線やレイアウトの工夫が必要

社員食堂の動線やレイアウトには、さまざまな工夫が求められます。多くの場合、社員食堂の利用時間は限られるため、従業員が集中しやすくなります。動線やレイアウトの計画をきちんと立てなければ、混雑による滞留が起きがちです。

限られた時間内で従業員に快適に利用してもらうためには、配膳から下膳までの流れをスムーズにするための計画が必要です。また、現金で決済する場合、従業員一人ひとりの対応に時間がかかり、混雑の原因になります。

決済の混雑を解消するためには、キャッシュレス決済や決済機能を搭載した社員証を活用する方法もあります。動線やレイアウトを工夫し、従業員が快適に利用できる社員食堂を目指しましょう。

 

◾️設置スペースの確保が必要

福利厚生の一環として社員食堂を設置する場合、できる限りすべての従業員が利用できるよう十分な広さのスペースを確保することが大切です。従業員数と合っていない規模の食堂では、工場で働くすべての従業員が利用できないおそれがあります。

また、社員食堂の設置に関しては、法律で定められた基準を守る必要もあるため注意しましょう。

労働安全衛生法では、社員食堂に関して次のような設置基準が設けられています。

  • 食堂と炊事場を区別すること
  • 食堂の床面積は従業員一人当たり一平方メートル以上にすること
  • 食堂には食卓や椅子を設置すること
  • トイレや廃物だめから離れた場所に設置すること
  • 食器や食材を消毒する設備を設置すること

上記の基準をクリアしなければ社員食堂を設置できないため、必要なスペースを確保できるかよく確認しておくようにしましょう。

工場に設置する社員食堂の運営方式とおもな提供スタイル

社員食堂には、複数の運営方式と提供スタイルがあります。自社に合う社員食堂を設置するために、それぞれの特徴をおさえておきましょう。

 

◾️運営方式

社員食堂の運営方式は、次のとおりです。

  • 直営方式
  • 準直営方式
  • 外部委託方式

それでは、各運営方式を詳しく見ていきましょう。

 

直営方式

直営方式は、自社が直接運営するスタイルです。レイアウトやメニューなどはすべて自社で決められるため、ほかの運営方式に比べて自由度が高く、工場の環境や働き方に応じて柔軟に対応しやすいメリットがあります。

自社のブランドイメージを反映した社員食堂を実現すれば、応募者や来客をもてなす場としても活用できるため、企業の魅力を効果的にアピールできるでしょう。一方で直営方式は、ほかの運営方式に比べて運営コストが高額になりやすい側面があります。

食材の安全管理には細心の注意を払わなければならず、食中毒をはじめとする食品事故が発生すれば、企業に大きなダメージを与える可能性もあります。食品事故のリスクをおさえるためには、十分な安全管理対策が必要です。

 

準直営方式

準直営方式は、自社に社員食堂の専門会社を設立して運営するスタイルです。調理やメニュー開発などの一部の業務を外部に委託するため、直営方式に比べて運営コストを削減できます。

社員食堂の運営リスク対策を外部に委託することで、企業としてのリスク分散につながります。準直営方式を採用すると、人件費や食材費はおさえられるものの、管理が複雑になりがちです。

信頼できる業者を選定できなければ、サービス品質に影響が出る可能性もあります。また、業務の一部を外部に委託することから、社内に社員食堂のノウハウが蓄積されにくい側面もあります。

 

外部委託方式

外部委託方式は、社員食堂の運営に関わる業務のすべてを外部に委託するスタイルです。近年は、社員食堂の委託に特化した運営会社も増えています。運営会社は社員食堂の運営に関するノウハウを持っており、効率的な運営が実現するため、コストを削減できる可能性があります。

食材の品質管理や衛生面に関する知識も豊富なので、食品事故のリスクを最小限におさえることが可能です。その一方で運営を外部に任せるため、直営方式や準直営方式に比べて柔軟性が低い側面もあります。

従業員からメニューや運営方法などに関する不満が出ても、契約期間が終わるまでは容易に解除できません。外部委託方式を採用する場合は、実績が豊富で信頼できる業者を選ぶことがポイントです。

 

◾️提供スタイル

社員食堂の提供スタイルは、次のとおりです。

  • 定食スタイル
  • ビュッフェスタイル
  • デリバリースタイル

各提供スタイルを詳しく見ていきましょう。

 

定食スタイル

定食スタイルは、栄養バランスが考慮されたメニューが日替わりで提供されるタイプです。その日のメニューが決まっているため、食材の仕入れや調理プロセスの計画もしやすく、調理効率が良い傾向にあります。

在庫管理も効率化できるため、コスト管理もしやすいでしょう。健康志向のメニューを取り入れることで、従業員の健康増進にもつながります。一方でメニューの選択肢が限られるため、個々の好みに対応しづらい側面もあります。

複数のメニューを用意する場合、不人気メニューの食材が余り、フードロスを引き起こすリスクもあるのが現状です。定食スタイルを採用する際には、従業員にヒアリングを実施し、ニーズに対応できるメニューを提供するようにしましょう。

 

ビュッフェスタイル

ビュッフェスタイルは、主食や主菜などを従業員が自由に選べるタイプです。多種多様な料理を少量ずつ試せるため、メニューに対する飽きを防ぎ、従業員の満足度も高い傾向にあります。

しかしビュッフェスタイルは従業員の年齢や好みに対応しやすい一方で、運用コストが高額になりがちです。

また、料理を一定時間同じ場所に置くため、衛生管理が難しい側面もあります。衛生管理が不十分な場合、食中毒のような食品事故を引き起こすリスクもあります。ビュッフェスタイルを採用する際には、より一層の衛生管理を心がけるようにしましょう。

 

デリバリースタイル

デリバリースタイルは外部の業者に委託し、料理を配送してもらうタイプです。近年はデリバリースタイルに特化した業者も増えてきているため、利用する企業が多い傾向にあります。

料理がパックされた状態で届くため、工場内に食事ができるスペースがあれば、社員食堂の設置が不要です。ランニングコストが不要なケースが多く、運用のかかるコストの負担を軽減できます。

一方で配送の遅延が起きると、予定の時間までに食事が届かないこともあります。特にランチタイムは多くの人が食事に出るため、渋滞による遅延が発生しがちです。メニューは業者ごとに異なるため、契約先によっては選択肢が限られます。

工場の社員食堂の工夫により従業員の「働きがい」向上に成功した事例

社員食堂の新設やリニューアルを検討していても、設置後の具体的なイメージが湧かない企業や担当者もいるかもしれません。このようなときには、他社の事例を参考にするのも手段の一つです。

ここからは、アイリスチトセが手がけた社員食堂の事例をご紹介します。

 

◾️住友電工電子ワイヤー株式会社様

住友電工電子ワイヤー株式会社様では、2020年9月に新棟建設の際に食堂も新たに設置しました。

複数人での食事ができる他、一人でリラックスして休憩できる場所も設けています。

また一定数のテーブルをキャスター付き・収納できるタイプにしたことで、研修や懇親会など昼食以外での活用も可能となっています。

 

◾️キリンビール株式会社様

キリンビール株式会社様は、24時間365日稼働する北海道千歳工場の社員食堂を改装しています。各部署とも同じ工場内ではあるものの、それぞれ別の場所で働いていることもあり、社員同士がコミュニケーションを取りにくいという課題がありました。そのコミュニケーション課題の解決として、多くの社員が利用して、交わることのできる食堂の改装から始めよう、といった形で今回の改装が決まりました。

会議室不足も課題に抱えており、社員食堂をフリーアドレスのように使用することで、有効活用できています。なお、キリンビール株式会社様の詳しいインタビュー内容は、こちらの記事で確認できます。

【インタビュー】キリンビール株式会社「 -未来のありたい姿に向けた食堂改装-マグネットスペースでコミュニケーションを活発に」

まとめ:工場に社員食堂を設置して従業員の満足度を高めよう

工場は飲食店が出店できないエリアにあるケースが多いため、企業は従業員に食事を提供する場を設ける必要があります。企業が社員食堂を設置すると、食事の場だけにとどまらないさまざまなメリットをもたらす可能性があります。

人手不足を課題に抱えている場合は、社員食堂を通じて企業の魅力をアピールすれば、応募者の増加につながるでしょう。社員食堂で栄養バランスが整った食事を提供すると、従業員の健康をサポートできます。

工場に社員食堂を設置する際には、動線やレイアウトの工夫も必要です。自社に適した社員食堂を設置するなら、ぜひアイリスチトセにご相談ください。アイリスチトセでは数多くの社員食堂を手がけた経験から、最適なプランをご提案させていただきます。

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