オフィスにアロマの香りは必要?メリットや導入方法を紹介
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リラックス効果やオフィス環境改善などを目的に、オフィスにアロマを導入する企業が増えています。
オフィスにアロマの導入を検討している企業や担当者に向けて、アロマを導入するメリットや効果、導入方法、注意点などをご紹介します。併せて、オフィスに活用できるアロマの種類や香りについても解説します。ぜひ参考にしていただき、より快適なオフィス環境を構築しましょう。
目次
アロマとは

精油やアロマオイルは、美容をはじめさまざまな分野で活用されており、ドラッグストアやコスメショップ、バラエティーショップでも販売されているため、気軽に購入することができます。
オフィスにアロマを導入するにあたって、まずはアロマについて理解を深めておきましょう。
■天然や合成のアロマ
身の回りには精油や芳香剤、香り付きの柔軟剤、香水など、香りを楽しめるアイテムが数多くあります。それらすべての香料の総称が「アロマ」です。アロマ(aroma)は直訳すると香りや芳香という意味があり、心地良い香りを指すのが一般的です。
アロマには大きく分けると、動植物から抽出した天然香料と人工的に精製・製造した合成香料の2種類があります。
天然香料には動植物から抽出したエッセンシャルオイル(精油とも呼ばれる)、合成香料には人工的に精製・製造されたアロマオイルや柔軟剤、フレグランスなどが挙げられます。
■アロマセラピー
アロマセラピーは動植物から抽出した精油と呼ばれるエッセンシャルオイルを用いた自然療法のことです。
紀元前から世界のさまざまな地域で美容や健康の分野で用いられていたアロマの香り。20世紀に入ってからは、「アロマセラピー(またはアロマテラピー)」という言葉が登場し、リラクゼーションや医療現場でも活用されています。
最近では、医療分野においてメディカルアロマセラピーと呼ばれる活用方法が登場しています。メディカルアロマセラピーは、痛み・不安の緩和、免疫力・ホルモンバランスの調整、認知機能改善といった効果があることから、認知症予防や終末期ケアへの画期的な活用方法として注目を集めています。
オフィスにアロマを取り入れる3つのメリット

アロマを導入する企業が増えている背景には、リラックス効果やオフィス環境の改善などのさまざまな効果が期待できることが関係しています。
■集中力向上やリラックス効果
従業員の生産性を高めるためには、業務に集中できる環境が必要です。アロマによる効果は香りの種類によって異なり、なかには集中力の向上や創造性の刺激が期待できるものもあります。
例えば、ローズマリーやペパーミント、ユーカリ、レモンのアロマを使用すると、生産性が高まりやすく、ラベンダーやベルガモットなどのリラックス効果を高められる香りを選べば、気持ちの切り替えや疲労回復にもつながるでしょう。
■抗菌・消臭によるオフィス環境の改善
オフィスにアロマを導入すると、臭いに関するトラブルの改善が期待できます。多くの従業員が働くオフィスでは、汗やタバコなどのさまざまな臭いが混じり合い、一部の従業員にとってはストレスの原因になっているかもしれません。
アロマのなかには、抗菌や消臭効果が期待できる香りの種類もあります。例えば、ローズウッドやユーカリなどです。ローズウッドは、フローラル調でバラのような華やかな香りが特徴です。
アロマのなかでも、フローラル調でバラのような華やかな香りが特徴のローズウッドや、抗菌作用に優れているユーカリのアロマを活用することで、悪臭の元となる雑菌の繁殖抑制が期待できると同時に、オフィス内にはアロマの香りが残るため、心地良い空間作りに役立つでしょう。
■企業ブランディングへの寄与
アロマは、企業ブランディングの新たな手法として注目を集めています。エントランスや受付、大事な会議や商談が行われる応接室など内装やインテリアに合わせてアロマを使用することで、来訪者のイメージアップにもつながるでしょう。
オフィスへのアロマの導入方法

アロマの楽しみ方は、ディフューザーやアロマポッド、アロマストーンなどさまざまです。ここからは、一般家庭の部屋よりも広いオフィスならではの導入方法をご紹介します。
■アロマの設置方法
オフィスでアロマを楽しむ際には、ディフューザーの活用がおすすめです。最近は業務用のディフューザーも登場しています。
業務用デュフューザーと家庭用デュフューザーの大きな違いは、香りを拡散できる範囲です。家庭用はサイズが小さく、香りを拡散できる範囲が限られます。一方で業務用は広い空間にも対応しているため、オフィスのさまざまな場所で利用することが可能です。
業務用デュフューザーは購入のほか、サブスクで利用する方法もあります。サブスクで提供されている商品のなかには、静音性に優れたものや便利なタイマー機能が搭載されたものもあります。
■アロマの活用場所
アロマによる効果を高めるためには、活用場所を選ぶことも重要です。まずは、アロマを使用する目的を明確にしましょう。例えば企業ブランディングや企業イメージアップが目的の場合は、来訪者への印象づけになるエントランスや受付での活用が効果的です。
空気が停滞しやすい場所の清潔感を維持したい場合や、来訪者との会話のきっかけを作りたい場合は、応接室で活用すると良いでしょう。応接室でアロマを活用した企業では、初めての来訪客との会話のきっかけになった、緊張がほぐれ商談がスムーズに進んだという事例もあります。
リフレッシュスペースで活用すると、従業員の気持ちの切り替えや集中力の向上に役立ちます。会議室やコールセンターでアロマを活用した企業のなかには、生産性の向上や離職率の低下につながったケースもあるようです。
オフィスに活用できるアロマの種類・香り

アロマで期待できる効果は、香りの種類によって異なります。香りのおもな種類は、次のとおりです。
- フローラル系
- 柑橘系
- ハーブ系
- ウッディ系
- スパイス系
ここからはオフィスに活用できるアロマの種類や香りをご紹介します。
■心を落ちつかせるフローラル系
フローラル系の精油は花から抽出しているため、まるで花に囲まれているようなほんのり甘く優しい香りが特徴です。フローラル系の代表的な香りは、次のとおりです。
- ラベンダー
- カモミール
- ジャスミン
- ゼラニウム
- ローズ
- ネロリ
- パルマローザ
- ローズオットー など
ジャスミンやローズは、香水にも使用されることが多いラグジュアリーな香りです。ネロリは、17世紀末のイタリア公妃が手袋に使用していた香りと言われています。
フローラル系のアロマは鎮静や緊張を和らげる、体のバランスを整えるといった作用が期待できます。
■爽やかな柑橘系
柑橘系の精油は果実から抽出しており、みずみずしく爽やか、かつ甘い香りが特徴です。柑橘類は身近で馴染みやすいため、アロマ初心者にも人気が高い傾向にあります。柑橘系の代表的な香りは、次のとおりです。
- オレンジ
- レモン
- 柚子
- ライム
- ベルガモット
- グレープフルーツ
- レモングラス
- メリッサ
- シトロネラ
- プチグレン
- マンダリン
- リトセア
- レモンユーカリ など
レモングラスとレモンユーカリは、レモンを基調とした香りです。レモングラスはレモンよりも香りが濃く、ほんのりイネの香りが含まれています。レモンユーカリは、酸味の強いレモンのような香りです。
柑橘系のアロマはすっきりとしたフレッシュな香りが多く、気分転換や不安の解消などに役立ちます。
■清涼感のあるハーブ系
ハーブ系の精油は植物の葉や花から抽出されており、フレッシュで清涼感ある香りが特徴です。ハーブ系の代表的な香りは、次のとおりです。
- ローズマリー
- セージ
- ペパーミント
- バジル
- メリッサ
- ラベンダー
- カモミール
- ティーツリー
- ユーカリ
- スイートマージョラム
- キャロットシード
- スペアミント
- タイム
- ラビンツァラ など
ラベンダーは、フローラル系とハーブ系の両方の特徴を兼ね備えています。ペパーミントは歯磨き粉やガムにも使用されているため、馴染みやすい香りの一つです。タイムはハーブ調が強く、薬のような独特な香りがすることで知られています。
ハーブ系は清涼感が強く自然界に近い香りなので、リラックス効果が期待できます。
■木々の香りに癒やされるウッディ系
ウッディ系の精油は木の皮や葉、小枝から抽出されており、爽やかな香りが特徴です。ウッディ系の代表的な香りは、次のとおりです。
- フランキンセンス
- ベンゾイン
- ガルバナム
- ミルラ
- ジュニパーベリー
- サイプレス
- ウインターグリーン
- カユプテ
- シダーウッド
- ティートリー
- ニアウリ
- パイン
- ヒノキ
- フィヒテ
- ホーリーフ
- ユーカリ
- ローズウッド など
ベンゾインはバニラに似た香りがするため、「安息香」と呼ばれることもあります。ガルバナムは独特の強い香りが特徴で、古代エジプトでミイラの防腐剤としても使用されていました。
ウッディ系はまるで森林浴をしているような気持ちにしてくれるため、気持ちを落ち着かせたい場所の活用に効果的です。
■アクセントにもなるスパイス系
スパイス系の精油は香辛料から抽出されており、シャープで辛みのある香りが特徴です。スパイス系の代表的な香りは、次のとおりです。
- シナモン
- ジンジャー
- クローブ
- ブラックペッパー
- カルダモン
- コリアンダー など
コリアンダーはカレーの香辛料としても使用されており、柑橘類をイメージさせるさわやかな香りが特徴です。ジンジャーは、スパイシーな中にほんのり甘さが残る温かみのある香りです。
スパイス系の香りはシャープな傾向が強いため、気分を盛り上げたいときや不安を解消させたいときに役立ちます。また、スパイス系の香りは、ほかの香りのアクセントとしても使用されることがあります。
オフィスにアロマを導入する際の注意点

従業員への良い効果を期待してアロマを導入しても、香りの好みは人によって異なるため、すべての従業員に受け入れられるとは限りません。また、アロマの精油は酸化しやすいため、正しく保管する必要もあります。
■従業員にヒアリングをおこなう
オフィスにアロマを導入する前に、従業員の意見を聞いておくようにしましょう。一般的に「良い香り」とされている香りでも、人によって感じ方が異なります。
近年、職場におけるスメルハラスメントがクローズアップされるようになってきています。スメルハラスメントとは、臭いによって周囲の人に不快感を与える行為です。また、妊娠や健康状態によっては、香りで悪影響を受ける従業員がいる可能性もあります。
アロマの導入がオフィス環境の悪化につながるおそれもあるため、まずは従業員にヒアリングをおこない、香りの好みや健康状態などを確認しておく必要があります。配慮を求める従業員がいる場合は、アロマが香る範囲も調整しましょう。
■精油の保管方法を守る
精油は酸化しやすく、空気や紫外線、温度などの影響で成分が変質するため、正しく管理する必要があります。
外的環境によって酸化を早めてしまう恐れがあるため、精油は湿気のない冷暗所での保管が必要です。精油の使用期限は、1年間が目安です。開封後はキャップを強く締め、1年以内に使い切るようにしましょう。
オフィスにアロマを導入した後は、使用期限内の使い忘れや補充し忘れなどが発生する可能性があります。オフィスでアロマを上手く活用していくために、精油を管理する担当者を決めておくと良いでしょう。
■個人でアロマを利用する際のルールを設ける
アロマは女性を中心に人気が高いため、オフィスで導入すると個人でも利用する従業員が出てくるかもしれません。しかし、香りの好みは人によって異なるため、個人での利用が周囲の従業員に迷惑になる可能性もあります。
アロマの個人利用を巡り、従業員同士でトラブルになるリスクもあります。アロマに関するトラブルを避けるためにも、企業として個人利用に対するルールを設けておくようにしましょう。
企業には、従業員に対して安全配慮義務があります。周囲で迷惑をこうむっている従業員がいる場合は香りを変える、使用頻度を下げるなどのルールを設け、すべての従業員が快適に働ける環境を作りましょう。
まとめ:まずは一部のスペースからアロマを活用してみよう

従業員のリラックスや企業ブランディングなどを目的に、オフィスにアロマを導入する企業が増えています。しかし、香りの好みには個人差があり、同じ香りでも体調が優れないときは不快に感じることもあるのが現状です。
最初からオフィス全体に導入すると、不快に感じる従業員が出てくる可能性もあります。まずは従業員にヒアリングした上で、休憩室やリフレッシュスペースなどの一部のスペースから導入するのも選択肢の一つです。
アロマを上手に活用してオフィス環境の改善やブランディングに役立てていきましょう。