オフィス家具の廃棄方法とは?買取も活用して費用を節約しよう
オフィスレイアウト・デザイン・設計
オフィス移転やリニューアルでオフィス家具が不要になったものの、どう処分すればよいのかは多くの企業にとっての悩みの種となります。廃棄に費用がかかることや、物品によって廃棄方法が異なるなど、注意すべきポイントは数多くあります。
この記事では、オフィス家具をスムーズに廃棄する方法や、なるべく費用をかけないポイントを詳しく解説します。自治体や買取業者、リサイクルなど、多様な選択肢を把握して、最適なものを選ぶようにしましょう。
目次
オフィス家具は基本的に産業廃棄物扱いになる
金属やガラス、プラスチックなどが使われたオフィス家具は産業廃棄物となるため、通常のゴミのように処分できません。廃棄を依頼する際にも、産業廃棄物処理の許可証を持った業者に依頼する必要があります。
仮に産業廃棄物を不法投棄してしまった場合、事業者は廃棄物処理法に違反したとして懲役や罰金を課せられます。また、許可のない業者が産業廃棄物の処分を請け負った場合でも罰則が課されることに注意が必要です。産業廃棄物の排出者は最終処分までの責任を負うため、許可のない事業者であることを知らずに依頼をした場合であっても、依頼者側に罰則が発生します。
産業廃棄物の取り扱いには厳格なルールが課せられているため、トラブル回避のためにも正しい処分方法を把握しておきましょう。
木製のテーブルや机といった家具は、事業系一般廃棄物として扱われることがあります。事業系一般廃棄物は、一部の自治体によっては家庭ゴミと同様に廃棄できる場合があるため、自社の所在する市区町村ではどうなっているかを確認しておきましょう。
【オフィス家具の廃棄方法1】産業廃棄物の処理業者へ依頼
オフィス家具の廃棄に使える手段は、産業廃棄物処理の許可証を持った処理業者への依頼が一般的です。
依頼前に確認しておきたいポイントを3つご紹介します。
- 廃棄費用の目安
- 依頼する処理業者の選び方
- 廃棄後にマニフェストの受取りが必要なので注意
それぞれの詳細を解説します。
■廃棄費用の目安
廃品を運搬する4トントラック1台につき、10~20万円程度が費用の目安とされています。これはあくまで目安のため、実際の廃棄費用を決めることになる費用項目を把握しておくことが大切です。
オフィス家具の廃棄費用は、次の費用項目の合計によって決まります。
- 運搬車両の費用
- 人件費
- 養生費用
- オフィス家具そのものの処分費用
運搬車両の費用
運搬車両の費用に関しては、台数だけでなく車種にも注意が必要です。1台当たりの相場は、2トントラックで20,000〜40,000円、4トントラックで30,000〜60,000円となっています。
運び出す廃品が多い場合には、どの規模の車輛がどの数だけ必要になるのかに気を付けましょう。
人件費
人件費は作業人員一人当たり10,000~20,000円ほどとされています。処分物が多いほど作業人数も増え、人件費もかさんでしまいます。
養生費用
養生費用は、廃品の運び出し時に床やドア、エレベーターの汚損・破損を防ぐための保護シートなどの費用です。
費用の相場は養生をおこなう箇所によって前後します。
オフィス家具そのものの処分費用
オフィス家具の材質や種類によっても費用が変動する場合があります。
重量で処分費用が決まる業者もいれば、スチール家具やOA機器などの種別によって個々の処分費用が異なる業者も存在していることに注意が必要です。
■依頼する処理業者の選び方
産業廃棄物の取り扱い許可証を持っている業者の中から、廃棄費用が安いところを選ぶようにしましょう。複数の産業廃棄物処理業者に見積もりを依頼し、比較することで最も安価な業者を探し出せます。
産業廃棄物処理業者は、公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団公式サイトの産廃情報ネットで調べられます。
※参考:公益財団法人 産業廃棄物処理事業振興財団「産廃情報ネット」
■廃棄後にマニフェストの受取りが必要なので注意
産業廃棄物を処理する際にはマニフェストが必要です。マニフェストとは、産業廃棄物の適切な処理の証明となる書類であり、産業廃棄物管理票とも呼ばれています。
マニフェストの発行は、産業廃棄物を排出する事業者に課せられた法的な義務です。しかし発行には専門的な知識が必要なため、多くのケースでは産業廃棄物処理業者に発行を委託します。
マニフェストが発行されないと法律違反となり、懲役刑、もしくは罰金刑が課されます。産業廃棄物の廃棄前には処理業者にマニフェスト作成の代行を依頼し、廃棄後には忘れず受け取るようにしましょう。
【オフィス家具の廃棄方法2】自治体へ依頼
オフィス家具の廃棄は自治体へ依頼できる場合もあります。次のプロセスを踏まえ、依頼を検討してみましょう。
- オフィスがある最寄りの自治体に問い合わせ
- 自治体の指定する方法で廃棄
それぞれの詳細を解説します。
■オフィスがある最寄りの自治体に問い合わせ
自治体によっては、産業廃棄物の処分を受け入れている場合があります。オフィスが所在する地域の市区町村役所に問い合わせて、処分ができないかどうかを確認してみましょう。処分前にゴミ券を購入するなどの手続きが必要になる場合があります。
処分費用は全体的に業者に依頼するよりも安い傾向にあります。しかし業者と同じように、処分費用はそれぞれの自治体や処分するものの品目によって異なる点には注意が必要です。
廃棄物を解体しての運び出しなどは依頼できないため、専門業者に比べて不便なことは否めません。安価ではあるものの、自社側の手間がかかる手段であることは把握しておきましょう。
■自治体の指定する方法で廃棄
自治体に産業廃棄物を処分してもらう場合には、次のどちらかの方法を選ぶ必要があります。
- 自社から処理場に持ち込む
- 有料回収を利用する
自社から処理場に持ち込む場合は、運搬費用はかかりません。産業廃棄物となったオフィス家具を積み込めるだけの車輛や人員が用意できる場合には、処分費用を支払うだけで済みます。処分にかける人手と時間があるかどうかを検討してみましょう。
有料回収を利用する場合には、別途で回収依頼用のシールを購入し、処分してもらいたい産業廃棄物に貼り付けることになります。自力での持ち込みと比較するとより費用がかかりますが、手間はかかりにくいものとなってます。
いずれの場合も、自治体によっては処分または回収に対応していないサイズ・材質・品種の産業廃棄物が存在しています。自治体にオフィス家具の処分を依頼する場合には、対応可能なオフィス家具をあらかじめ確認しておきましょう。
【オフィス家具の廃棄方法3】リサイクルで買取
自社では行き場の無くなったオフィス家具でも、状態によっては廃棄以外の使い道があります。リサイクル業者に買い取ってもらうことも検討してみましょう。
この項目では、リサイクル業者の利用方法と、より高い価格で買取してもらうためのポイントを3点解説します。
- オフィス家具はリサイクル業者での買取が可能
- 買取業者の選び方
- 買取価格を高める方法
それぞれの詳細を見ていきましょう。
■オフィス家具はリサイクル業者での買取が可能
オフィス家具の買取をおこなっているリサイクル業者を利用することで、廃棄費用を支払うことなくオフィス家具を処分できます。オフィス家具の種類ごとの買取相場は、次のようになっています。
- デスク類:2,000円~
- 椅子類:500円~
- コピー機:1,000円~
- キャビネット:1,000円~
あくまで相場であるため、実際の買取価格はメーカーやブランド、状態により左右されることを踏まえて検討しましょう。また、傷や汚れが目立つなど状態がよくないものは買取できない場合があります。
出張査定に対応しているリサイクル業者であれば、その場で買取価格や買取の可否を確認してもらえます。「どれくらいで売れるのか?」「そもそも売れるのか?」という点を不安に感じる場合は、出張査定対応のリサイクル業者を利用してみましょう。
■買取業者の選び方
買取業者を選ぶ際には、次のポイントを踏まえるようにしましょう。
- 買取価格の高さ
- 出張査定・買取に対応しているか
- 手数料の高さ
- 実績、評判
適切なリサイクル業者を選べれば、廃棄費用をかけずにオフィス家具を処分でき、売却益を得られます。複数社に査定を依頼し、もっとも買取額の高い業者を選ぶことが大切です。
また、パソコンなどを買取に出す場合には情報漏洩を防止するために個人情報の取り扱いがしっかりとしている業者を選ぶようにしましょう。データ削除と上書きで痕跡を残さないNIST方式の消去を実施している業者は、信頼性がより高いものとなっています。
■買取価格を高める方法
「せっかく買取に出すのだから、できるだけ高値で売却したい」と思う人も少なくありません。買取価格を高めるためには、オフィス家具の見栄えをなるべくよくしておく必要があります。
丁寧な掃除で汚れを落としておき、デスクやチェアのシリーズを揃えておくことが有効です。また、古くなりすぎる前に売却できればより長期間の再利用が見込めるため、高値での売却が期待できます。
【オフィス家具の廃棄方法4】不用品の回収業者を利用
オフィス家具の処分は、廃棄ではなく回収を目的とした業者に依頼することも選択肢の一つです。次のポイントを把握して、不用品の回収業者の利用を検討してみましょう。
- 無料で廃棄可能
- 不用品の回収業者の選び方
それぞれの詳細を解説します。
■無料で廃棄可能
不用品の回収業者は再販売を目的としているため、オフィス家具を無料で回収してくれる場合があります。
リサイクル業者で買取してもらえなかった品を、不用品の回収業者に回収してもらえれば無駄のない処分を実現できるでしょう。
ただし、運搬費がかかる場合があることに注意しましょう。
■不用品の回収業者の選び方
不用品の回収業者も、産業廃棄物の取り扱いの許可証を受けている必要があります。依頼先は、許可を受けた回収業者の中から選ぶようにしましょう。許可証の提示を求めるか、処理業者と同じように産廃情報ネットで調べることも有効です。
また、オフィス家具の回収では運搬費が無料になるケースもあるため、あらかじめ確認しておくことも有効です。
また、引越しと同時に不要なオフィス家具の回収をおこなってくれる業者も存在しています。オフィス移転によって不用品の発生が予想される場合は、回収サービスの有無を確認しておくと良いでしょう。
今後のオフィス家具の廃棄量を減らすポイント
オフィス移転やリニューアルではオフィス家具の廃棄が出てしまいがちです。しかし事前に対策をしておけば廃棄を減らせます。次の移転・リニューアルでの処分費用や手間を省くためにも、これらのポイントを踏まえておきましょう。
- レンタルやリースを活用する
- ペーパーレス化の促進によりオフィス家具自体を減らす
それぞれの詳細を解説します。
■レンタルやリースを活用する
レンタルやリース品でオフィスを揃えられれば、不要になったときに自社で処分する必要がありません。レンタル・リースのオフィス家具は自社で購入するよりも安価な調達ができ、人員の増減にも対応しやすいメリットがあります。
また、オフィス家具のレンタル・リース費用は経費で計上できます。節税効果があることもレンタル・リースならではのポイントです。
ただし、長期的にレンタル・リースの利用を続けるとコストが高くなり、結果的には最初から自社で購入していたほうが安上がりになってしまうケースがあるので注意が必要です。
短期間であればコストパフォーマンスに優れたオフィス家具の調達方法であるため、オフィスの状況に応じ、廃棄の手間の削減を兼ねてレンタル・リースの利用を検討してみると良いでしょう。
■ペーパーレス化の促進によりオフィス家具自体を減らす
ペーパーレス化を促進すれば紙の書類を保管していたキャビネットなどの収納が不要になるため、オフィス家具の数自体を減らせます。
ペーパーレス化とは、紙の書類を電子データにして、自社サーバーやハードウェア、オンライン上のクラウドサービスに保管する取り組みを指す言葉です。用紙やインクの費用削減や、押印や印刷業務の廃止による業務効率化が実現できるメリットがあります。
一度ペーパーレス化をおこなえばオフィス家具を減らせますが、書類の電子データ化には少なくない手間がかかります。すぐに紙媒体を不要にできるほどの急速なペーパーレス化は難しいため、段階的な実施をおこないましょう。
オフィス家具を廃棄する際の疑問
オフィス家具の廃棄をおこなう時に抱かれることの多い疑問を2つピックアップして、回答とともにご紹介します。
- オフィス家具廃棄の会計処理は?
- 廃棄するオフィス家具の寄付は可能か?
それぞれの詳細を解説します。
■オフィス家具廃棄の会計処理は?
オフィス家具の廃棄に関連する費用の会計処理は、産業廃棄物として廃棄・回収処分とするか、あるいは買取業者に売却するかで異なります。
産業廃棄物として廃棄する場合、関連する費用は外注費や設備維持費、雑費などとして処理されます。
一方、オフィス家具を買取してもらう場合は、固定資産として扱うかどうかで処理が異なります。10万円未満で買ったものは固定資産ではなく経費として計上され、雑収入として会計処理されます。
10万円以上で購入したものは固定資産となり、より複雑な処理が求められます。購入日から売却日までの期間に対応した減価償却費を計上し、固定資産売却益を算出して会計処理する必要があることに注意しておきましょう。
■廃棄するオフィス家具の寄付は可能か?
寄付には相手側との調整が必要となりますが、可能性は存在します。まだ使えるオフィス家具の寄付を実現できれば、団体にオフィス家具を寄付し、不用品の廃棄と同時に社会貢献にも取り組めることでしょう。
日本企業がSDGs(持続可能な開発目標。環境問題・差別・貧困・人権問題といった課題解決の目標)の取り組みの一環として海外の学校や公的機関にオフィス家具を寄付した事例では、現地国家の大使館とのやり取りをおこなっています。
廃棄するオフィス家具を寄付する場合には、まずは寄付を検討している団体の代表窓口などに連絡し、実現可能かどうかを打診してみると良いでしょう。
まとめ:複数の手段でオフィス家具の廃棄を検討しよう
オフィス家具のなかには産業廃棄物として取り扱われるものもあるため、法令に則った手段で廃棄することが求められています。廃棄業者や自治体への処分依頼、リサイクル業者の買取や不用品回収業者の回収などから最も効率的な廃棄方法を検討してみましょう。
業者や自治体によっても、どこまでを対応可能な物品として扱うかは異なるため、気になった選択肢がある場合はまずは確認を取ることが大切です。買取が良い、と思っても全ての不用品を買取してもらえるとは限らないため、複数の手段の併用も有効でしょう。
手間と費用のかかるオフィス家具の廃棄ですが、正しく処分することが産業廃棄物を排出する企業に求められている責任です。自社の地域で利用可能な廃棄方法にはどのようなものがあるか、まずは確認してみると良いでしょう。