【事例あり】クリエイティブオフィスとは?実現する方法やポイントを徹底解説

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【事例あり】クリエイティブオフィスとは?実現する方法やポイントを徹底解説

オフィスの移転または刷新をする際には、オフィスづくりの一環としてクリエイティブオフィスを導入するのも選択肢の一つです。クリエイティブオフィスを導入すると、企業や従業員にさまざまなメリットをもたらすことが期待できます。

そこでこの記事では、クリエイティブオフィスの基礎知識やオフィスづくりのポイントとなる12の知識創造行動を解説します。記事の後半では導入事例も画像つきで紹介するので、クリエイティブオフィスの導入を検討してみてください。

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クリエイティブオフィスとは

近年おしゃれなオフィスが増えていますが、クリエイティブオフィスは単なるおしゃれなオフィスとは異なります。確かにデザイン性が高いケースが多いため「単なるおしゃれなオフィス」に見えるかもしれませんが、じつはさまざまな工夫が施されています。

 

■創造力やアイデアの発揮を促す工夫が施されたオフィス

クリエイティブオフィスとは従業員の創造力やアイデアを発揮することを目的に、作り手が敢えて戦略的な仕組みを盛り込んだオフィスのことです。2007年からは、経済産業省がクリエイティブオフィスの導入を推進してきました。

経済産業省は、知識創造行動を誘発する空間・ICTツールワーカーへの働きかけに加え、組織の目標とプロジェクトのゴールに向けたマネジメントの双方を備え、組織の創造性を最大限に発揮するための働き方に適した場をクリエイティブオフィスと定義しています。

導入が推進された背景には、グローバル社会の中で日本の競争力を高めるために、ものづくりによる技術力と知識生産性の向上が重要だと考えられたことが関係しています。

また、近年はテレワークやフレックスタイム制などの多様な働き方が普及し、オフィスの在り方を見直す企業が増えました。このような状況を受け、オフィス環境を向上させるために、クリエイティブオフィスに注目が集まっています。

 

■単なる「おしゃれなオフィス」とは異なる

働く人の価値観の多様化や働き方改革の推進にともない、企業にはオフィス環境の見直しが求められています。求職者や従業員の満足度向上を期待し、おしゃれなオフィスに刷新する企業も少なくありません。

しかし、クリエイティブオフィスはおしゃれなオフィスというだけでなく、経済産業省が推進している「12の知識創造行動」に基づいたものです。具体例として、リフレッシュスペースの充実やフリーアドレス制の導入、グリーンを取り入れるなどがあげられます。

クリエイティブオフィスの目的は従業員に知識創造行動を促すことで、創造性や生産性の向上を狙うことです。オフィス内に何らかの知識創造行動を促す工夫が施されていれば、クリエイティブオフィスに該当します。

クリエイティブオフィスのポイントとなる12の知識創造行動

クリエイティブオフィスは、12の知識創造行動を促すように工夫されたオフィスです。知識創造行動とは、経営学の分野で定義されている「SECIモデル」を指します。SECIモデルには、ポイントとなる12の知識創造行動があります。12の知識創造行動は、次のとおりです。

Socialization(共同化)
  • ふらふら歩く
  • 接する
  • 見る・見られる・感じ合う
Externalization(表出化)
  • 軽く話してみる
  • ワイワイガヤガヤ・ブレストする
  • 絵にする・たとえる
Combination(連結化)
  • 調べる・分析する・編集する・蓄積する
  • 真剣勝負の討議をする
  • 聴いてもらう
Internalization(内面化)
  • 試す
  • 実践する
  • 理解を深める

 

■Socialization(共同化)

Socialization(共同化)を促す知識創造行動は、次のとおりです。

  • ふらふら歩く
  • 接する
  • 見る・見られる・感じ合う

たとえばオフィス内にリフレッシュスペースを設置すると、従業員が「ふらふら歩いて」立ち寄ったときに、ほかの従業員と「接して」と自然とコミュニケーションが生まれる場を作ることが可能です。

オフィス全体が「見渡せる」ようなレイアウトにすると、従業員同士がお互いの業務状況を把握しやすくなり、必要なときにサポートし合う環境を構築できます。

 

■Externalization(表出化)

Externalization(表出化)を促す知識創造行動は、次のとおりです。

  • 軽く話してみる
  • ワイワイガヤガヤ・ブレストする
  • 絵にする・たとえる

たとえば、ワークスペース内にオープンなミーティングスペースとホワイトボードを設置すると、従業員が「絵を描きながら」「気軽に議論」できる場を提供できます。従業員同士が「ワイワイガヤガヤ」しながら議論できる環境があれば、コミュニケーションの活性化につながり、新たなアイデアが生まれる可能性があります。

 

■Combination(連結化)

Combination(連結化)を促す知識創造行動は、次のとおりです。

  • 調べる・分析する・編集する・蓄積する
  • 真剣勝負の討議をする
  • 聴いてもらう

たとえば業務に集中できるスペースがあれば、商品を開発するにあたって、「調べたり」「分析したり」することが可能です。ミーティングスペースで従業員同士が「議論する」ことで新たなアイデアが生まれ、ヒット商品が誕生するかもしれません。

オフィス内には集中ブースや気軽に利用できるミーティングスペースを設置し、Combination(連結化)を促す知識創造行動につなげましょう。

 

■Internalization(内面化)

Internalization(内面化)を促す知識創造行動は、次のとおりです。

  • 試す
  • 実践する
  • 理解を深める

たとえば試作品を実際に「試せる」スペースがあれば、商品開発に直接携わることがない従業員からの意見を聞くことも可能です。集められた意見をもとにさらなる試作を重ねることで、より良い商品の開発に活かせるかもしれません。

また、オープンスペースの中にも集中ブースや広い作業スペースを設置すると、業務内容にあわせて仕事をする場所を選べるため、学んだことを「実践」しやすくなるでしょう。

クリエイティブオフィスを導入するメリット

クリエイティブオフィスを導入すると、企業や従業員にさまざまなメリットをもたらします。工夫次第では労働環境の改善につながり、従業員の満足度向上が期待できます。

 

■コミュニケーションの活性化につながる

12の知識創造行動を意識してオフィスづくりをすると、コミュニケーションの活性化が期待できます。テレワークが普及する中で、社内コミュニケーション不足を課題に抱える企業が増えました。

総務省の「テレワークを巡る現状について」では、テレワークの実施によって「社内コミュニケーションが減った」と回答した従業員が多かったことがわかっています。

テレワークで感じたデメリット 割合
運動不足になる 46.8%
社内コミュニケーションが減った 45.3%
プリンターやスキャナーがなく、紙の書類のやり取りができない 40.8%
勤務時間の線引きが難しい 29.0%
仕事のオンオフがしにくい 26.8%
集中して仕事ができない 24.5%
通信光熱費が増えた 22.5%
業務効率が悪い 22.3%
ハンコの苦労があった(上司の承認・決済など時間がかかる) 20.0%
チームや同僚、部下の仕事の進捗が把握できない 16.5%
作業スペースがない 16.0%
リモートワーク・テレワークの運用が整っていなくて非効率 13.0%
孤独感がある 12.0%
Wi-Fi環境やPC環境が整ってなく不便 8.5%
仕事のための家電・家具不足 6.3%
デメリットを感じない 5.8%
育児・介護で中断が多い 5.0%
残業時間が増えた 4.3%
夫婦のケンカが増えた 1.8%
その他 0.5%

テレワークで感じたデメリットのうち、「社内コミュニケーションが減った」は「運動不足になる」に次いで回答が多いことがわかります。

※出典元:総務省「テレワークを巡る現状について」

全面的なテレワークを解除した後も、オフィス出社と併用するハイブリッドワークを実施する場合は、従業員が顔を合わせる機会が少ないため、今後も同様の課題が続くかもしれません。

オフィスに出社する従業員のコミュニケーション不足を解消するには、レイアウトの工夫や共有スペースの設置が効果的です。たとえばフリーアドレス制のレイアウトにすると、毎日隣に着席する従業員が変わるため、部署を超えた交流が期待できます。

また、誰でも気軽に利用できるリフレッシュスペースを設置すると、従業員同士の自然なコミュニケーションを促すことが可能です。

 

■新たなアイデアの創出が期待できる

フリーアドレス制のレイアウトやリフレッシュスペースの設置などにより、従業員同士がコミュニケーションを取る機会が増えれば、新たなアイデアの創出につながる可能性があります。

部署やチームごとに区切られたオフィスでは、部署を超えた従業員と積極的に接することが難しい状況です。フリーアドレス制は従業員が席を自由に選べるため、さまざまな部署の従業員と接する機会が増えます。

また、リフレッシュスペースでは仕事の話題以外に雑談もできるため、より多くの従業員と接する機会を得られます。従業員同士のコミュニケーション活性化によってお互いの創造性を刺激し合い、アイデアを生み出しやすい状況を作ることが可能です。

 

■業務効率化が図れる

従業員同士がお互いの様子を把握しやすい環境があれば、適切なタイミングでサポートまたはフォローできるため、業務効率化につながります。たとえば調べ物専用のスペースを設置すれば、集中して作業に取り組むことが可能です。

オープンスペースの中にミーティングスペースを設置しておくと、予約しなくても必要なタイミングで気軽に打ち合わせができます。また、従業員の様子を見渡せるレイアウトにすれば、お互いの業務状況を把握できるため、フォローしやすくなります。

業務内容に応じて働く場所を選べ、お互いをいつでもフォローできる環境が整備されていれば、仕事のスピードが上がり、業務全体の効率化が期待できるでしょう。

 

■従業員のモチベーションアップにつながる

クリエイティブオフィスを実現すると、従業員同士が業務の進捗状況や成果などを把握しやすくなるため、お互いに刺激し合う関係が構築され、モチベーションアップが期待できます。

従業員のモチベーションを向上させるには、お互いの競争心を掻き立てることも必要です。たとえばレイアウトの工夫次第で他部署の状況が見やすくなれば、部署間の競争心を刺激し、切磋琢磨し合える環境を構築できます。

従業員一人ひとりのモチベーションが高まると、社内全体に浸透し、企業に貢献する社風風土の定着にもつながるでしょう。

クリエイティブオフィスを実現させるための方法

クリエイティブオフィスは、工夫次第で実現させることが可能です。オフィスで実際に働くのは従業員なので、作り手の想いが伝わるよう、社内全体に周知する必要もあります。

 

■レイアウトを工夫する

クリエイティブオフィスを実現するにあたっては、レイアウトの工夫が重要です。部署やチームごとに区切られた従来型のレイアウトでは、従業員同士の状況が見えにくく、知識創造行動を促すのは難しいでしょう。

一方でデスクや各スペースの配置を工夫し、お互いの状況を見えやすい状況にすれば、クリエイティブオフィスの高い効果を期待できます。具体的なレイアウトの工夫例は、次のとおりです。

  • フリーアドレス制の導入
  • リフレッシュスペースの設置
  • オープンミーティングスペースの設置
  • スタンディングワークスペースの設置 など

作り手のアイデアだけを盛り込んだだけでは、従業員にとっては実用性に乏しく、十分な効果が得られない可能性があります。レイアウトを検討する際には従業員の意見を聞いて反映させると、満足度の向上につながります。

 

■ICTツールを活用する

クリエイティブオフィスの効果を十分に発揮させるには、ICTツールの活用も重要なポイントです。従業員の知識創造行動を促すICTツールの例は、次のとおりです。

  • 社内SNS
  • ペーパーレス化
  • ネットワーク環境の整備 など

テレワークやABXなどのワークスタイルを導入すると、チームメンバーが離れた場所で仕事をするケースも出てきます。多様なワークスタイルでも従業員同士がスムーズに業務を遂行するには、必要な情報や必要なタイミングで共有できる環境整備が求められます。

たとえば社内SNSを導入すると、従業員が働く場所を問わすコミュニケーションを取ることが可能です。ペーパーレス化を図れば、パソコンやタブレットで資料を共有できるため、オフィス出社以外のワークスタイルにも対応できます。

 

■従業員に周知する

クリエイティブオフィスの環境を整備しても、従業員に浸透しなければ効果は期待できません。従業員のなかにはおしゃれなオフィスに刷新されることだけをイメージし、目的が十分に伝わっていなければ、知識創造行動を促すのは難しいものです。

そのため、導入する際には従業員にクリエイティブオフィスの目的を共有し、12の知識創造行動を意識してもらうことが大切です。従業員に目的が浸透すればそれぞれが意識するようになるため、クリエイティブオフィスの効果が十分に期待できます。

クリエイティブオフィスの導入事例

最後に、アイリスチトセが手がけたクリエイティブオフィスの導入事例をご紹介します。

 

■【Socialization(共同化)】株式会社穴吹ハウジングサービス 博多支店

株式会社穴吹ハウジングサービス博多支店は、オフィスの刷新をきっかけに、ワークスペースにフリーアドレス制を導入しました。ワークスペースは従業員同士が向かい合いになるデスクだけでなく、作業に集中しやすいよう窓側に向けたデスクも設置しています。

また、ワークスペースの一角にはソファ席を設置し、小休憩や打ち合わせなどにも利用可能です。エントランスにはグリーンウォールを取り入れており、リラックス効果やリフレッシュ効果が期待されています。

 

■【Externalization(表出化)】ヒトトヒトホールディングス株式会社

ヒトトヒトホールディングス株式会社は、従業員の休憩用に「ヒトトヒトカフェ」と名付けられたカフェスペースを設置しました。カフェスペースは、まるで本当のカフェのような内装に仕上げられています。

ワークスペースとは雰囲気が異なる仕様なので、オフィスにいながら本当のカフェに来たような気分を味わえます。スペース内にはカウンター席のほかに、ソファ席も設置されており、軽い打ち合わせにも利用可能です。

 

■【Combination(連結化)】アイリスグループ淀屋橋オフィス

アイリスグループ淀屋橋オフィスでは、全面ガラス張りのミーティングスペースを複数箇所設置しました。ガラス張りにすることで開放感を演出するだけでなく、外部から内部の様子をうかがえるため、透明性や公平性の確保が期待できます。

 

■【Internalization(内面化)】ものづくり創造拠点 SENTAN

ものづくり創造拠点SENTANは、「ものづくり」に特化した施設です。施設内にはフリーアドレス制のワークスペースのほかに、試作品を作れる作業スペースを設置しました。試作品が完成した後は、プレゼンテーションに利用できる研修スペースも併設されています。

施設内では、商品の構想から完成までの一連の作業をすることが可能です。業務内容にあわせて作業スペースを選べるため、業務効率化が期待できます。

まとめ:従業員の声を反映したオフィス作りを目指そう

クリエイティブオフィスは、さまざまな場所に従業員の知識創造行動を促す工夫が施されたオフィスです。オフィス作りの際に導入すると、企業や従業員にさまざまなメリットをもたらします。

しかし、効果を最大限に発揮するには、クリエイティブオフィスの目的を従業員に周知し、知識創造行動を意識してもらうことが大切です。また、実際にオフィスで働くのは従業員なので、オフィス作りの際には意見を聞き、しっかりと反映させるようにしましょう。

クリエイティブオフィスへの刷新をお考えなら、アイリスチトセにご相談ください。これまでに培ったノウハウと実績をもとに、自社に適したプランをご提案させていただきます。現在、ショールームのご見学も受け付けておりますので、ご興味をお持ちの企業様はこちらからお問い合わせください。

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