フレキシブル家具 Easac(イーザック)シリーズ

商品開発ストーリー

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フレキシブル家具 Easac(イーザック)シリーズ

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商品詳細

「カフェの様な空間創造」をテーマに、機能面を維持しつつ木質感・落ち着いた配色に意識したシリーズ家具。
並行スタッキングも可能で、スペースをフレキシブルに利用できるところがポイントの商品。

オフィスや教育施設など私たちの生活のあらゆる場面で使用している「家具」ですが、ひとつの商品が生まれるまでのいきさつ、商品に込められた意図、企画・開発者の想いなどは中々知る機会がありません。
「Product story」では、こうしたひとつひとつの商品についてひとりでも多くの皆様に知っていただけるよう、商品企画・開発時の裏話をご紹介します。

今回は、発売当時に教育事業部 事業部長として商品企画を担当していた崔東珍氏(現:広報室 室長)に「EASACシリーズ」発売までの道のりをお聞きしました。

ラーニング・コモンズと「出会い」

学校向けに開発したEasac(イーザック)シリーズは4年以上経ちますが、販売台数を毎年更新し続けています。開発当時を振り返って頂けますでしょうか。

元々当社は公立の小中学校、高等学校で使われている児童・生徒向け机椅子のシェアが高く、学校への納入実績やそれに伴ったノウハウというものは豊富に持っていましたが、当時大学への実績は決して多くありませんでした。床にアンカーで固定するような「the・講義机椅子」というような製品も持っていませんでしたし、その施工技術や経験もありませんでしたので、実績が少なくて当然だったかもしれません。
しかし同じ教育施設である初等中等教育学校で培った経験や考え方を活かすことができれば、大学の需要にマッチした製品を開発し市場に広めることができる、その自信はありました。

大学は教育施設とはいえ、沢山の学生が通い一日を過ごすキャンパスは「街」みたいなものです。どこを切り口に市場開拓をしていこうかと模索していたのですが、当時大学ではラーニング・コモンズ設置の全盛期で、殆どの大学が必要と感じ設置検討・導入が進んでいました。

そこで様々な大学にアポイントを取り実際に導入した施設の見学や施設課の方々にヒアリングを行ったのですが、ラーニング・コモンズをどのように作り運営すれば良いのか、どう使ってもらいたいのかが漠然としており、更にはそれに適当な家具もあまりありませんでした。
そういう背景もあり、大学向けに商品を作っていくにはまずはラーニング・コモンズに求められる要素を満たす商品から始めよう。こう思ったのがEasacシリーズを作ろうとしたきっかけです。

当時のラーニング・コモンズはどういったものが主流だったのでしょうか。

今もその当時もラーニング・コモンズの設置意義は「自発的な学びの実現」と「学内での有意義な滞在場所の確保」だと私は思っています。
ラーニング・コモンズはその名の通り「学びの共有」。
その学校に通う誰もが気軽にアクセスできて学びの時間と空間を共有できる、それを実現させる場所です。
初めは図書館といった学びのリソースにアクセスしやすい場所やそれに隣接するエリアでの導入がメインで、オンラインでの書籍へのアクセスができたり、グループで集まって共同で作業できたりする、その様な空間でした。

ある日某大学のラーニング・コモンズを見学させてもらったのですが、充実した設備やアイテムがあるにも関わらず、殆どの学生に使われていない、もっと言うなら多くの学生は近くのカフェで勉強しているではないですか・・!

これは勿体ない!と思った私は学生に何故使わないのか聞いてみました。
すると「入りにくい雰囲気がある」「場所が遠い(図書館を普段使わない人からすると少なからずハードルがある)」「どの様に使えばいいのかよくわからない」といった意見が出てきました。確かに認知不足という点もあったでしょうが、そもそも「入りにくい」雰囲気を作ってしまっている現状を打破する必要がありそうでした。
そして使い方も説明をしなければわかってもらえないという点も課題でした。

そこで
・この空間を使いたい!と思える空間づくり(商品づくり)
・空間や什器の使い方が見ただけでイメージできるデザイン
開発する上で上記2点をメインコンセプトとして掲げました。

カフェで勉強をする学生が非常に多い理由として、「落ち着きのあるインテリア」と「程よい雑音」が適度な集中力と居心地の良さを生み、勉強の場としてカフェを選ぶことがわかってきました。また気軽に行けるカジュアルさと立地も重要なポイントです。

今となってはトレンドになりましたが、当時は木目を用いたリビングライクな、またカフェテイストの空間は大学に皆無でして、大学の教室や空間=無機質そのものでした。
そこで木目(可能な限りリアルな質感が感じられるもの)を用いてカフェの様な落ち着きを加え、そして無機質な金属類はなるべく排除しよう。それでいて使い勝手を考慮し求められる機能は取り入れよう。
この足し算と引き算の中で商品開発が始まりました。

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ずばりイーザックという製品の魅力は何でしょう。

カフェの様な空気感を出しつつも、Easacシリーズで代表されるフラップテーブルの様に異形天板で人数や使途に応じて様々な組み合わせができ、尚且つフラップして効率的に収納ができるといった、デザイン性と機能性のバランスだと思います。
その他使う人の為に脚形状や表面仕上げ等様々な配慮がされていますが、核心は上記のバランスだと思っています。
試作を作った際に「これだー!」と心の中で叫んでいました笑

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カフェの良さと求める機能性を学びの空間にうまく取り入れたんですね。イーザックという名称はどこから来たのでしょうか。

まさしくカフェの様に肩の力を抜いたような居心地(Ease)と、グループで楽しく学ぶ活気(active)を一つの家具・空間で実現させたい。その2つの想い(単語)をぶつけて出てきたのがEasacという文字でした笑
この相反するような感情や行動を一つの空間で実現できたら、そんな素敵な空間が全国の大学に沢山生まれたらいいな、そんな思いが込められています。
幸いにも大学のニーズに限らず、ABWに代表される様なオフィスでの働き方の変化も相まって現在様々な空間で採用頂いており嬉しい限りです。

昨年はコロナ禍により大学は強制的に閉鎖、リモート授業の実施など行いました。
やってみて便利だったものや効果的だったものを取捨選択しながらこれからの大学運営は進んでいくでしょう。
この新しい生活様式の中で、学校という空間の存在意義やあり方が改めて問われていると思います。

今、学校の関係者は難しい選択肢の連続で大変な思いをされていることでしょう。
私たちもメーカーとしてどの様にすれば学校という場の魅力を創出し、優秀な人材の輩出に貢献できるのか試行錯誤の毎日です。
答えは一つだと思いませんが、学校に通ってでしか得られない体験として「出会い」があります。
同じ志を持つ仲間や先生との出会い、新しい学問や研究設備との出会い、OBOGや産学連携の中での様々な出会い。この出会いのポイントを少しでも増やせることのできる空間づくり、家具づくりが今後の私たちの進むべき一つの道ではないかと考えています。
その中にこのEasacシリーズが、そしてこれから出てくる私たちの製品が活躍してくれることを願っています。

実際の現場を見て、現場の声を聞いて、取り入れる。頭ではわかっているものの、ついつい忘れがちな顧客目線で考え、ニーズを拾い上げたことが売れ続けているポイントではないかと感じました。企画から発売に至るまで、あらゆる人が関わったであろうこの「EASACシリーズ」がひとりでも多くの方に使っていただけると嬉しいなと思います。

本日は、ありがとうございました!

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