フラップテーブル「Anty」

Products story

オフィスや教育施設など私たちの生活のあらゆる場面で使用している「家具」ですが、ひとつの商品が生まれるまでのいきさつ、商品に込められた意図、企画・開発者の想いなどは中々知る機会がありません。
「Product story」では、こうしたひとつひとつの商品についてひとりでも多くの皆様に知っていただけるよう、商品企画・開発時の裏話をご紹介します。

今回は、発売当時に教育事業部 事業部長として商品企画を担当していた崔東珍氏(現:広報室 室長)に「Anty」発売までの道のりをお聞きしました。

商品詳細

「固定机のような安定性」と「出入りのしやすさ」を意識したフラップテーブル。
固定モードと移動モードに素早く切り替えが可能。カバンなどをかけられるフックが両側面に標準装備されている。

授業スタイルの変化に対応

新フラップテーブルAntyの開発に至った背景を教えて頂けますか。

まずこの製品の想定している主な導入先は学校、特に大学の講義机やオフィスの会議室などを想定しています。
今回この新フラップテーブル開発の一番のきっかけとなったのは、近年の大学における授業スタイルの変化です。

学部や授業内容によって授業スタイルは若干異なるものの、従来型の先生が前に立ち、学生はレジュメを見て講義を聞くといった所謂「講義形式の授業」が徐々に減少、代わりに数十人~100人程度でディスカッションを行うなどインタラクティブな授業形式が増えてきました。

特にコロナ禍において講義形式型の授業はオンデマンド配信で代用されたり、感染症対策で大人数での授業形式が見直されたりということもあり、授業の少人数化や対面授業のインタラクティブ化といったトレンドは今後も続くものと想定されます。

授業スタイルが変わる中で当然空間や家具に求められる機能なども変わるわけなので、しっかりと現場ニーズに対応した製品づくり、空間づくりを行っていこうという趣旨から商品開発がスタートしました。

確かに授業スタイルが変われば家具や空間へのニーズが変わるのも当然ですね。

その通りです。
オフィスはここ10~20年の間に働くスタイルに応じて働く環境づくりが劇的に変化しましたが、学校はまだまだ過去の延長線上に立っていると思います。ここにテコ入れをしたかった。
他方、BCP対策という点でも、従来型の大教室のあり方が問われていると思います。

大教室によくあるアンカーで床に固定している講義机や椅子は、大人数を収容しても整然と配列されていて美しい反面、広い空間にも関わらず動かせないことから災害時や有事の際に空間をフレキシブルに使えないという欠点があります。
インタラクティブな授業を実現させるにも家具が動かせるということがニーズの上位にあります。

そこで今回の開発の切り口は、普段は固定式の机の様にキレイに整列できて尚且つ動きにくい安定性があり、でも必要な際に動かせる(収納できる)という一見相反するものを両立させることでこの問題のソリューションを図ろうというものでした。
動かすことができれば授業内容に応じてグループで席をまとめたり、発表者を囲むように席のレイアウトを変えたりできるので、先述した変化する授業スタイルに合わせて柔軟に環境を変えることができます。

動かしにくいけど動かせる。面白いコンセプトですね。

いくら少人数授業がいいとはいえ100人規模程度の授業やそれに対応する教室は一定数残りますし、そういった教室はある程度の人数を収容できるので期末試験や入学試験、国家試験などの際に重宝するのも事実です。
こういった使途を想定した場合、例えば普通のキャスターの付いた机だと消しゴムで答案用紙を消せばカタカタと音を立てて机が揺れてしまいます。

そうすると集中力の妨げになりますし、特に長机に二人座った際に隣の人が頻繁にカタカタされると隣に座っている人はたまったもんじゃない。笑
よって普段使いの際はキャスターの無い机の様にどっしりと安定感を持たせることは重要でした。

更に新築のみで使う訳ではないので、カタカタを抑えるために使用環境に合わせるという意味で、アジャスターで接地させることを開発条件にしました。
そうすると次に難しくなってくるのがテーブルの脚形状です。動かせるように移動時はキャスターを使いたいし、普段はアジャスターで接地させたい。そうなると色んな機構が脚の内部に入ることになり、普通に設計すると脚が大きくなってしまいます。

アンカー固定タイプの机のメリットの一つとして脚がすっきりしていて出入りしやすいという点があります。定員100人を超えるような教室で休憩時間に学生全員が入れ替わるには意外と時間がかかります。テーブルの形状によってそれが妨げられるのを避けたかったので、脚をすっきりと、出入りのしやすい形状にすることを心掛けました。
こうして幾度とアイデア出しと試行錯誤を重ねた末に、今の機構と脚形状が出来上がりました。

「動かしにくいけど動かせる」が解決したということですね。

そうです。ただこれだけでは全てをソリューションしたとは言えません。
有事の際のコンパクトな収納効率、レイアウト変更の際の移動と固定のしやすさなども同時に突き詰めました。
特にしゃがみこんでキャスター⇔アジャスターの切り替え操作をするなど非効率なことはしたくなかったので、天板の跳ね上げの動きに連動させてその切り替えが行えるようにしましたし、また天板に物を置いた状態での移動や整列時の微調整を想定し、そういった作業がしやすいように天板を跳ね上げなくてもキャスター⇔アジャスター切り替えを手前のレバーで行えるように、そしてその状態が維持できるようにしました。

その他細かな調整を経て、やっと出来上がったのが今の仕様になります。

少しでも快適に利用してもらうために、かなり細部にまで拘られたのですね。

デザイン面でもこだわりましたね。
テーブルの脚を低く、すっきりと見せるための形状の工夫やカラーリングなど。

カラートレンドで金属部分をブラック塗装にする動きがありますが、黒はシルバーと比較してキズが目立ちやすい欠点があるので、黒の塗料にシルバー色で用いるアルミフレークを加えることでキズ部分が目立たないような工夫などもしています。
使ってみて機能面でいいだけでなく、デザイン面で教室の雰囲気を少しでも演出できれば嬉しいですね。

今回のフラップテーブル「Anty」は大学にフォーカスを当てて開発しましたが、近年オフィスと学校では似たようなニーズが多いので、今後大学やオフィスの様々なところで活躍してくれることを楽しみにしています。

一見するとどこにでもよくある長机ですが、こうして開発ストーリーを聞くと、「場所を提供する側」のニーズや業界のトレンドも取り入れつつ、実際に「使用する側」の目線も取り入れた細部までのこだわりが詰まった商品ということを知ることができました。常に変化する世の中のニーズに対応すべく、アンテナを張っているからこそ生まれたのだと感じました。

本日は、ありがとうございました!

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