オフィスには防災が不可欠!基本の対策やレイアウトのポイント、災害リスクを解説
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地震や火災などの災害は、いつ起こるかわからないもの。オフィスで災害が発生した際に、従業員の命を守り、事業を継続するには事前の防災対策が不可欠です。
本記事では、人的・物的被害を最小限におさえるためのオフィスにおける基本の防災対策や、防災を意識したオフィスレイアウトのポイントをわかりやすく解説します。
目次
オフィスに防災対策が必要な理由

まずは、法律でも義務付けられているオフィス防災の重要性を理解しておきましょう。従業員の安全確保や事業継続を意識した防災対策は、災害時の被害抑制につながります。
1. 災害による被害を最小限におさえるため
火災や地震などの災害から建物や従業員を守り、被害の拡大を最小限におさえるためには、防災対策が不可欠です。災害時には、次のような物的被害と人的被害が発生します。
<物的被害の例>
建物・家具の損壊、設備の故障、データ・書類の消失 など
<人的被害の例>
従業員の負傷 など
被害が大きくなるほど、復旧に時間を要し、備品の再購入などの費用もかかります。普段から避難経路の確認や備蓄の用意をしておけば、被害を最小限におさえられ、事業の早期再開が可能になります。
2. 法律で定められた「安全配慮義務」を守るため
オフィスの防災対策は、法律や条例によって義務付けられています。労働契約法第5条では「安全配慮義務」が定められており、企業は従業員の命や身体の安全確保のための措置を講じる必要があります。万が一、従業員に被害が出た場合には、企業の法的責任が問われるおそれがあります。
さらに、オフィスの防災対策は「BCP(事業継続計画)」の観点からも重要です。BCPとは、地震や火災、ウイルスによるパンデミックなどの緊急事態が発生した際に、被害を最小限におさえ、事業を継続できるよう対策をまとめた計画のこと。現在、策定が義務付けられているのは介護事業者など一部業種のみです。しかし、近年は災害リスクの高まりを受けて、業種を問わずBCPを導入・見直す企業が増えています。
従業員の安全と事業継続のためにも、定期的に防災マニュアルやBCPを見直し、緊急時に迅速に行動できる体制を整えておきましょう。
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オフィス防災で把握すべき三大災害リスク

オフィスにおいて適切な防災対策を講じるために、特に注意すべき災害を把握しておきましょう。火災・地震・水害の3つの災害リスクについて解説します。
1. 火災
火災時は、建物や家具の焼失に加え、煙にも注意が必要です。煙が充満すると、視界不良や一酸化炭素の吸い込みなどにより、スムーズな避難が困難になる可能性があります。
オフィスにおける火災の原因として挙げられるのは、電気機器の過熱、電気コードの劣化などです。日頃から消火器や火災報知器の点検、避難経路の確保をおこない、避難訓練を実施しましょう。
2. 地震
地震の揺れにより、オフィス内の家具の転倒、照明や棚に置かれた物の落下などが発生します。これにより、従業員の負傷や避難経路の遮断といった危険性が考えられます。さらに、大きな揺れが生じた場合は、建物や設備が損壊するおそれもあるでしょう。
地震の発生は予測困難であるため、日頃からオフィス家具の固定や避難経路の周知を徹底しておく必要があります。
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3. 水害
台風や豪雨によって発生する水害では、設備故障や業務停止のおそれがあります。オフィスが浸水すると、重要書類の損失や機器の故障により、事業継続が困難になる可能性も考えられます。次のような具体的な対策を講じ、被害をおさえましょう。
<対策例>
- 重要書類を高所へ移動させる。
- データのバックアップをとる。
- 事前にハザードマップで浸水リスクを確認する。
基本のオフィス防災対策

ここからは、基本的なオフィスの防災対策を紹介します。既にオフィス防災に取り組んでいる場合も、抜けや漏れがないか見直してみましょう。
1. 防災を意識したオフィスレイアウトにする
災害時の被害を最小限におさえるには、防災を意識したオフィスレイアウトが不可欠です。特に被害が大きい地震への対策は、最優先で進めましょう。押さえておきたいオフィスレイアウトのポイントは次のとおりです。
<レイアウトのポイント>
- 避難動線は幅1.2メートル以上確保する。
- パーテーションを転倒防止に有効なコの字またはH字型に設置する。
- 書庫や収納棚を集約し、転倒を防止するレイアウトにする。
また、オフィス家具も防災を意識したものに見直してみましょう。
<オフィス家具のポイント>
- デスク・収納庫の引き出しや扉はラッチ付きを選び、収納物の飛び出しを防止する。
- オフィス家具や窓のガラス部分に飛散防止フィルムを貼る。
- 吊り下げ式の照明はワイヤーで固定する。
- 複合機はキャスターのロックとアジャスターを併用し、壁や床に固定する。
- 避難経路を確保しやすいよう、キャスター付きの可動式デスクを設置する。
2. 避難経路やハザードマップを確認する
避難経路を全従業員で共有し、スムーズに避難できるよう努めます。オフィスの周辺環境や立地により想定される災害リスクを把握するためにも、自治体のハザードマップを確認しておきましょう。
3. 災害時の連絡体制を整える
災害時には、従業員の安否確認を迅速におこなうことが重要です。そのため、従業員の連絡体制を整備する必要があります。通信環境が不安定になり、電話などがつながりにくくなる可能性があるので、複数の手段を把握しておきましょう。電話やメールの他、安否確認システムの導入も有効です。
また、安否報告の訓練も定期的に実施し、実際に機能するかどうかを確認しておくことも大切です。
4. 防災マニュアルを作成・周知する
災害時の混乱を避けるためにも、防災マニュアルを作成しましょう。災害時にどのように行動すべきか、従業員一人ひとりが事前に把握していないと、現場で混乱が生じやすくなります。災害発生時の対応方法や役割分担、連絡体制などが明記されたマニュアルを作成しておくことで、被害を最小限におさえられます。
マニュアル完成後は全従業員に周知し、読み合わせをおこなうと効果的です。形骸化させないように内容を定期的に見直し、誰もが適切に行動できる仕組みを整えましょう。
5. 防災訓練を実施する
災害時に従業員が冷静に判断・行動できるよう、防災訓練を定期的に実施しましょう。防災訓練は消防法に基づき、年1回以上の実施が義務付けられており、初期消火や避難経路の確認をおこないます。
訓練は防災意識を高め、マニュアルの不備や問題点を洗い出す機会にもなります。
6. 備蓄品を揃えておく
災害により公共機関がストップすると、従業員が帰宅困難になり、オフィスに留まる状況が発生することも考えられます。そのため、防災対策の一環として必要な備蓄品を揃えておきましょう。生き延びるための「基礎備蓄」と、健康と安全維持・復旧のための「継続備蓄」を準備しておく必要があります。
<基礎備蓄>
- 飲料水:1日3リットル×3日分(1人分)
- トイレットペーパー:1日10m×3日分(1人分)
- アルファ米や乾パン、缶詰など非常食:1日3食×3日分(1人分)
- 簡易トイレ:1日5回×3日分(1人分)
- 毛布:1人当たり1枚
<継続備蓄>
- 非常食(乾パン・カップ麺・缶詰)
- 敷物(ビニールシートなど)
- 携帯ラジオ
- 懐中電灯
- 乾電池
- ポータブル電源
- 携帯電話用電源
- 非常用発電機
- 燃料(消防署への要許可申請)
- 救急医療薬品
- 常備薬
- 工具
- ヘルメット
- 軍手
- 自転車
- 地図
- 運動靴
- 拡声器 など
備蓄品は、使用期限や保存状態を定期的に確認し、交換・充填しましょう。チェックリストを作成すると漏れを防げます。
7. 業務データを定期的にバックアップしておく
災害によりパソコンやサーバーが故障すると、業務データを失う可能性があります。復旧までに時間がかかり、事業継続に支障をきたすリスクがあるので、重要なデータは定期的にバックアップしておきます。
外付けハードディスクやクラウドストレージなど、複数の保存先を用意するとより安心です。他にも、自動バックアップ機能を活用するなど、人的ミスを防ぐ対策も講じておきましょう。バックアップの実施頻度や担当者、保存期間、保存場所などの社内ルールを決め、従業員に共有することも大切です。
オフィス防災の取り組みで災害に備えよう

オフィスの防災対策は、従業員の安全確保と事業継続に欠かせません。災害時の混乱を避けるためにも、避難訓練やマニュアルの周知をとおして、日頃から従業員全体の防災意識を高めておく必要があります。万が一の事態に備え、定期的に対策を見直すことで、安心して働けるオフィス環境を維持しましょう。
防災・減災を意識したオフィスづくりは、レイアウトや家具の見直しが鍵となります。災害に配慮したオフィスレイアウトや、転倒・移動防止に対応した家具導入をご検討の際は、アイリスチトセにご相談ください。専門的な知見から最適な提案をいたします。
まずは「従業員を守る防災チェックリスト」をぜひご活用ください。