【インタビュー】第一化成株式会社「インナーブランディングを取り入れたオフィスづくりと 新工場にかける想い」

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【インタビュー】第一化成株式会社「インナーブランディングを取り入れたオフィスづくりと 新工場にかける想い」

群馬県千代田町に新工場を構えた合成皮革メーカーの第一化成株式会社。今回は自社製品を使ったインナーブランディングと新工場への想いに関して取材を行いました。

 

~インタビュイーメンバー紹介~

第一化成株式会社

代表取締役社長:中川 豊彦、技術部:石田 嵩修、品質保証部:野口 陽平、品質保証部:小杉 菜那子、技術部:木下 直也

サステナブルプラントを目指した新工場

本日はよろしくお願いいたします。

では早速ですが、御社の事業内容を教えてください。

石田)弊社では、衣料、手袋、家具や自動車、航空機等に使用する合成皮革の製造を行っています。製造した製品はアメリカにあるグループ会社、ウルトラファブリックス社によって販売されています。

元々は衣料・家具に使用する製品が主でしたが、近年は国外に輸出する自動車や航空機向けの割合が高くなっています。

今回の工場新設の経緯を教えていただけますか。

石田)弊社には埼玉県行田市にある行田工場と群馬県千代田町にある群馬工場の2つの工場があります。この中でも行田工場の設備は老朽化が進んでおり、突然生産ラインがストップするリスクを抱えていたため、千代田工場(新工場)を建設するに至りました。

また、2工場の検査室を千代田工場に統合し、検査機の増設や梱包作業の自動化を進めることで業務の効率化を図りました。千代田工場は、環境に配慮した『サステナブルプラント』として設計・建設されており、太陽光パネルの設置や国内で二番目となる液体水素を燃料とした水素ボイラーの導入、排水処理システムの整備、さらには未利用熱を空調に活用するシステムなど、環境に配慮したサステナブルなシステムを導入しています。

千代田工場は様々な要素が詰め込まれた新工場なのですね。

サステナブルプラントに関してもう少しお伺いしたいのですが、今回の新設オフィスにおいてサステナブルな視点でこだわったことはありますか。

石田)今回、アイリスチトセ様とコラボレーションさせていただいた家具には、サステナブルな製品を多く取り入れました。具体的には、ペットボトルを再利用したリサイクルポリエステル糸で作られた生地を使用した製品が大半を占めています。また、フォーム層には植物由来の原料を用いたバイオベースポリウレタン樹脂を使用した製品も採用しています。

自社製品を使ったインナーブランディング

今回弊社(アイリスチトセ)とコラボレーション家具を作ろうとした経緯をお聞きしてもよろしいでしょうか。

石田)弊社の製造現場では社員が特定の工程を担当しているため、他の工程や完成した製品を実際に見る機会がほとんどありません。

そこで今回新設するオフィスや食堂の家具に自社製品を使用することで、社員が実際に製品を見たり、触れたり、使用する機会をつくろうと考え、コラボレーション家具をお願いしました。

自分たちで製造している製品に触れることで帰属意識といいますか、働いている人たちのエンゲージメントも上がりそうですね。

石田)そうです。自分たちの仕事がどのような役割を果たしていて、どのように製品として世に出て社会と繋がっているのか、それを実際に感じていただける良い機会だと考えました。

 

工場を新設すると全てが新しくなると思うのですが、働く場にどういった要素を取り入れようとしていましたか。

小杉)ありがたいことに弊社は年々生産量を増やしておりまして、さらなる生産量の増加には積極的に採用活動を行っていく必要があります。そこで千代田工場は、若い人たちに「ここで働きたい」と思っていただけるオフィス作りを目指しました。

まずは出社したいと思っていただけるようなオシャレなオフィスを実現するため、自社製品を使った椅子やソファーを多く取り入れることで、魅力あるオフィス環境を作っています。

また、行田工場と群馬工場は固定席が採用されており、部署内のコミュニケーションは活発に行われているものの、他部署との交流はほとんどありませんでした。千代田工場ではフリーアドレスを導入することで、他部署とのコミュニケーションも活性化したいと考えています。オフィス内のコミュニケーションが活発になれば、ガラス越しに見えるオフィス風景が面接等でいらした方々へのアピールになると期待しています。

オフィスを通してリクルートにつなげるということですね。

「若い方向けに」とのことですが、千代田工場で働かれる部署の方々の年齢層はどのようになっていますか。

小杉)現時点では3040代が多く、部署は品質保証部と技術部の方が多く在籍しています。今後は20代の方々を積極的に採用し、愛社精神を持って働いていただきたいと考えています。

働く価値を向上させるために

工場を新設して、「働く」ということの価値を向上させるために取組んでいることや、重要視されていることがあれば教えてください。

石田)大きな目玉はアイリスチトセ様とのコラボレーション家具になります。先ほどもお話したように製造現場の社員は製品がどのように出来上がり、どのように使われているのかを知る機会が多くありません。コラボレーション家具を通して自社製品の品質の良さを実感していただき、仕事や会社への誇りが生まれることで働く価値の向上に繋がると考えています。

社内向けのPR活動、インナーブランディングに繋がるということですね。

納品現場のオフィスのお写真を見させていただきましたが、とても広々している印象です。何か意図やこだわりがあってのことなのでしょうか。

石田)これから採用を積極的に行いたいということもあり、現状では3040人規模を想定していますが、さらに人員が増えた場合にも対応できるように広くスペースを確保しています。

また本社等の他拠点からいらっしゃる方も多いので、座席が決まっていないフリーアドレスを有効活用できればと考えています。

中川)中央通路の広いスペースは『イノベーションエリア』となっています。イノベーションにおいて重要なことは挑戦と学びの循環です。社員が失敗を恐れずに新しいアプローチに挑戦し、その経験を活かして改善を繰り返すことが、さらなる成功への鍵であると考えています。『イノベーションエリア』を有効活用することで、社内及び社外に私たちの製品の特長を広めていきたいと考えております。

将来や他拠点の方のことも考えての広々空間だったのですね!

フリーアドレスの概念としては部署ごとですか。それとも全て自由席なのでしょうか。

野口)固定席以外はフリーに使っていただいて、全く違う部署の人と隣で話し合いながら仕事をしていただく想定ですね。

これから運用をしていきながら弊社の一番いいやり方を模索できればと思います。

プロジェクトメンバーのアイデアを盛り込んだオフィスづくり

プロジェクトチームは若手中心で選抜したのでしょうか。

中川)はい。実際に使う社員たちによって考えられたオフィスにしたいと思いアサインしました。

実は、当初検査棟には二階を設ける計画はありませんでした。2ヵ所に分散していた検査室を統合するために検査棟を建設することになったのですが、設計図を確認した際、高い天井によって生じる上部のスペースが非常にもったいなく感じたのです。

そこで、このスペースを有効活用するために床を設置し、その二階部分には、未来志向のサステナブルな商品開発や新たな価値創出を目指す研究施設の導入を検討しました。

こうして誕生したのが、『TECH LABO 匠』です。

併設するオフィスについては、実際に使う人にデザインしていただきたいと思い、デザインチームを結成して、チームリーダーも自分たちで決めてもらいました。そこからは私は介入せず、全てデザインチームにお任せしました。

プロジェクトメンバーの皆さんから出されたアイデアが、実際にオフィスで具現化されているのですね。

石田)そうですね。デザインチームのなかでも色々な意見がありました。当初は海外のオフィス、例えばGoogle本社のようなカラフルなデザイン案が上がりました。かなりビビットなカラーだったので、結果的に『TECH LABO 匠』から連想される和風な雰囲気に合わず採用はされなかったものの、コラボレーション家具の一部には、ビビットなカラーを導入しています。

家具に使用したレザーがカラフルだったのはそんな意図だったのですね。

野口)弊社はカラーバリエーションが多いですからね。模様や色の組み合わせで多種多様な製品があるので、それを社員の皆さんに見ていただきたいという思いもありました。

そういった思いをトップダウンでなく、プロジェクトメンバーである若手の社員が中心となって実現に向けて動いているというのが素敵ですね。

木下さんは、今回のプロジェクトに参加して何か学んだことや発見、よかったことはありますか。

木下)コラボレーション家具のために既存の製品ではなく、新たに発案から開発、製造に至るまでの工程を実際に経験できたことが一番の学びでした。

そういった学びの要素も含まれていたのですね。

TECH LABO 匠という名前もかっこいいですね。社員の気持ちを奮い起こすと思いますか。

中川)はい。社員一人ひとりがDKKプライドである「開発精神」を存分に発揮し、常に前向きな姿勢で新たな発展に向けて取り組んでいただけるものと確信しています。

検査棟入口のエントランスサイン『TECH LABO 匠』の壁のブルー色は、昔の日本の武将たちが戦いで装った勝色、いわゆる「サムライブルー」として知られる藍色です。第一化成は、この藍色をコーポレートカラーとして採用しています。この色には、グローバルで勝ち抜いていこうという精神が込められています。

会社の展望と新施設「TECH LABO 匠」にかける想い

勝色、素敵ですね!

最後に今後に期待する社員への想いや会社の変化、展望を教えていただけますでしょうか。

中川)職場環境の改善を通じて、従業員間のコミュニケーションを活性化し、それを次世代製品の開発や技術革新へと繋げていきたいと考えています。また、外部企業との連携を一層強化することで、世界最高水準の製品開発を実現し、グローバル競争力の向上を目指します。これにより、当社グループの経営理念である「心地よさは誇り」を具現化し、多くの人々に心地よさと満足感を提供したいと考えております。

さらに、社員一人ひとりが環境に配慮したものづくりを意識することで、企業としての変革を遂げるとともに、新たな市場の開拓にも積極的に取り組んでまいります。

先ほど「30人規模にしては広いのでは?」という話がありましたが、製品開発を加速させるためには、『TECH LABO 匠』と『イノベーションエリア』の施設をフル活用し、社内、グループ会社、パートナー企業と連携して、優れた製品を迅速に市場に投入できる体制を構築する必要があります。

今回、千代田工場プロジェクトのデザインチームが実践したように、『社員一人ひとりの積極的な参加と協力』が、第一化成の成長と世界に向けた価値ある商品創出の原動力となると考えています。社員の皆さんの熱意により、新たな価値ある商品が次々と生まれ、世界中の消費者に喜びと満足を届けられることを期待しています。

また、アイリスチトセ様とは引き続き、かけがえのないパートナーとして、共に歩んでまいりたいと考えております。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

皆さんの自社製品への愛情と新工場に託された想いを感じることができたインタビューとなりました。

本日はありがとうございました。

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