【インタビュー】カゴメ株式会社「食堂リニューアルで社員のエンゲージメントを上げる~ここで働き続けたいと思える工場へ~」

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【インタビュー】カゴメ株式会社「食堂リニューアルで社員のエンゲージメントを上げる~ここで働き続けたいと思える工場へ~」

約100名の従業員が勤務するカゴメ株式会社の愛知県にある上野工場。厚生棟のリニューアル工事を行った同社に工場ならではの取り組みについて伺いました。

 

~インタビュイー紹介~

カゴメ株式会社 上野工場

製造課 生産技術係 濵口みな 様

従業員が「今日も1日頑張ろう」と思える施設に

本日はよろしくお願いいたします。

早速ですが、御社の事業内容とミッションやビジョンなどを教えていただけますか。

カゴメのありたい姿は「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」としており、3つの社会課題に重点的に取り組んでおります。1つ目が健康寿命の延伸、2つ目が農業振興、地方創生、3つ目が持続可能な地球環境です。

また、トマトの会社から野菜の会社にというビジョンをかかげております。野菜を採ることの大切さや上手な野菜の採り方を広めるとともに、トマトはもちろん様々な野菜の価値を活かした、幅広く革新的な商品を次々とお届けし、人々の健康に貢献することによって持続的な成長につなげていきたいと考えています。

 ありがとうございます。

こちらの上野工場についても教えていただけますか。

上野工場では約100名が働いており、ウスターソース類やピザソース類などの調味料を生産しています。ピザソースは見た目の通りトマトなどの野菜が入っていますが、ウスターソースやとんかつソースも実はトマトやたまねぎ、にんじん等の野菜が主原料でつくられています。

そうなんですね!

では早速ですが、こちらの厚生棟のリニューアルにいたった経緯はなんですか。

厚生棟は食堂、更衣室、休憩室、会議室などがある建物になりますが、1972年に建てられてから昨年で52年が経過していました。そのため建物全体が老朽化していたものの、内装などほとんど改修がされておらず、天井や床全てで劣化が目立った状態でした。

現在カゴメ全社で従業員のエンゲージメントを高める取り組みを進めていますが、その中で上野工場の厚生施設のリニューアルをすることになりました。

リニューアル前の課題や解決したかったこと、リニューアルの際のコンセプトなどがありましたら教えていただけますか。

改装前の厚生棟は内装の老朽化への対応や、間取りも現状に最適なものに変更できていませんでした。従業員がリフレッシュできる環境をめざして、プロジェクトメンバー4人で「ここで働き続けたい」と思えるような設計を行っていました。そのために「今日も1日頑張ろう」と思える清潔でリフレッシュができる食堂や休憩室、更衣室をつくりました。

ただ見た目をよくするだけではなくて、全体の間取り変更も実施し、利便性の向上も図りました。

リフレッシュできるようにするために具体的に行った策はありますか。

先ずは見た目の清潔感、あとは木目を入れて落ち着ける雰囲気を出したり、あとはこれまではグリーンなどの飾りのようなものは置いていなかったものの、ついたてではなくてグリーンを入れてリラックスできる雰囲気を出そうなど、そういったところにこだわって実施に至ったという感じですね。

以前はどのような食堂だったのでしょうか。

以前はテレビの方を向いて皆さん同じ方向を向いてご飯を食べていました。ほとんどの設備が50年前のもので、イス、机も買い替えたことがなかったので錆もありました。

工場ならではの休憩室づくり

 こちら(食堂)で仕事をすることもあるのでしょうか。

会議室もあるのでどのような利用をされているのか気になりました。

そうですね。ここで仕事することも可能なので会議スペースが足りない時はここで簡単な打合せをしたりすることもありますね。隅でWeb会議する方もいらっしゃいます。

あとここは人数が多い会議の時は移動パーテーションを仕切りなおして半分まで会議室にしたり、従業員全員で会議をするときにはパーテーションをすべて取り払って食堂部分も合せて会議室にしたりすることもあります。

用途に応じて変更できるように可変性を持たせているのですね。

そうです。3段階に広さを変更可能です。

こちらの部屋に来る時に休憩室が見えたんですが、あちらの部屋との違いはなんですか。

休憩室はごろ寝ができる空間にしています。工場では身体を動かして働かれている方が多いので、お昼はゆっくり寝たいという方も多いので。

第一は建物の安全性

リニューアルプロジェクト中に困難だったことはありますか。

設計の段階でこの建物が古くて…間取りを設計する際、どこの壁が壊せるのかわからないというのがありました。

あとは見た目のところでいうと、既設の配線関係が大掛かりな工事となってしまうので移動できないということもあって、そこはアイリスさんや、施工業者さんと何回も打合せを重ねながら、こうすると見た目よく、機能的にも問題なく使いやすい空間になりそうだというのを相談しながら設計していきました。

先ず第一にあるは建物の安全性です。間取りを変えるために安全性を損なうということはできないので、耐震基準などをクリアしたうえで、実現できるのかでできないのかを相当話し合いましたね。

その際、他の社員さんからああしたい、こうしたいといった意見はありませんでしたか。

それはプロジェクトメンバーと管理職とで話し合って決めたんですが、全従業員にアンケートをとって要望を吸い上げたり、あとはここが少し不満に感じるというところを引き出したりしました。

アンケートはWebとメールアドレスを持たない社員には紙ベースで調査しました。

詳しく聞きたい部分に関しては、アンケートを書いてくださった本人に聞きに行ったりもしましたね。これってどんなことですか?みたいな感じで。

面白かった意見や印象に残っている意見はありますか。

実現されなかったものでも構いません。

「休憩室をカプセルホテルみたいな個室にしたい」とか「食堂にテラス席が欲しい」という意見もありました。全体では圧倒的に更衣室が狭い、ロッカーが小さいという意見が多かったです。

コーポレートカラーを活かしたブランディング

入ってきたときに思ったのが、イスのカラーリングがカラフルで、とても可愛らしくて印象的でした。

カゴメのロゴに使われているカラーにすることでよりカゴメらしさを出しました。

コーポレートブランドコントロールマニュアルというものが存在しています。それは会社のロゴだったり、看板だったり、全体の部屋の雰囲気だったり、植栽とかも含めたもので、そのガイドラインにそって、お客様が見かけるところがメインではあるんですけど、ここの空間もそこに準じた形にしようと、弊社の広告部と協力しながら私が中心となってデザイン設計しました。

ここの食堂は外部の方にお見せする機会は少ないものの、従業員のインナーブランディングの目的でそういった取り組みをしています。

まさしくインナーブランディングですね!

社外の人には見せなくても、社員さんが出張で他拠点に行った時も同じような雰囲気で落ち着いて仕事ができるなど、帰属意識が上がりそうですね。

まあそうですね。どこの拠点もというわけではないですがそういったことを進めていっています。一番進んでいるのが名古屋の本社ビルで、そちらのオフィスは、全てがマニュアルに沿ったカゴメらしい雰囲気になっています。

 入口の門から入ってきたときに建築当初そのままのレンガがあって歴史を感じつつも、上がってみたらすごく綺麗な空間になっていて驚きました。

元々は新しいイメージにしたかったので、古いレンガは上から壁を貼って見えないようにする計画でした。ただ、アイリスさんと打合せを進めていくなかで、見に来てくださった業者さんたちが「このレンガ好きだけどな」ですとか、「歴史を感じられていい感じではないですか」といったようなことを言ってくださって…その言葉で外部の人が見たらこれもいいんだなと考え残すという意思決定に働きました。

いいと思います。「あ、歴史だ」という感じがしました。

リニューアル後の社員の反応とその要因

測りにくい部分ではあると思いますが、リニューアルしてから実際に授業員の方々のエンゲージメントは上がったと思いますか。

はい。アンケートを取っていても今まで満足度の低かった更衣室が一番高くなっていました。会議室の広さを変更できるようにするなど、工夫をすることで場所を創出し、更衣室を広くしました。見た目も男子更衣室は青や暗めの色でシックに、女子更衣室は明るい水色などの差し色を入れて可愛らしくするなど一番力をいれたところです。

その他も今回リニューアルで工事した部分は全ての場所で満足度がアップしています。

更衣室の満足度が上がったのはなぜでしょうか。

広くなったのが1つと、床が冷たかったのをタイルカーペットにして、足元が温かくなったりですとか、あとは空調を入れたことも要因かと考えます。

その他、間取りの工夫としては休憩室が今までは離れた場所にあったんですけど、休憩室と更衣室を隣同士にして行き来できるようにすることで利便性が上がった、そういうところで満足度が上がったんだと思います。

アンケートでは85%以上の方から「綺麗になって気持ちがいい」「居心地がいい」「リラックスできる空間になった」「快適に過ごせる」などの感想をいただきました。食堂で楽しそうな会話が聞こえることも増えて、休憩室や更衣室での従業員の様子を見ても、以前よりもリフレッシュできていると感じます。

皆さんの意見をしっかり取り入れながら進めていったんですね。

今回のリニューアルを通して、期待する会社の変化や今後の展望などはありますか。

会議室と食堂をつなげることが出来るように間取り変更をしたので、全従業員での定例会も開催可能になり、一体感が増しました。会議室も明るくなり、意見も活発になったと思います。また、以前の暗い雰囲気とは違い、食堂でも楽しそうな会話が聞こえてくることが多くなりました。出勤時には快適な更衣室で着替えていただき、休憩時間にはしっかりリフレッシュしてもらうことで、仕事へのモチベーションを上げて取り組んでもらえることを期待しています。

また、カゴメは、お客様の健康で豊かな食生活に貢献しようとしています。私たちの健康とモチベーションを上げるために温かい食事を提供するための厨房ももうすぐ完成しますが、今後も働く私たちの心と体の健康も維持できるように取り組んでいきたいと考えています。

とてもいいですね。メニューは拝見しておりませんが、すごく健康的なご飯を出してくれそうです!

本日は貴重なお時間ありがとうございました。

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