【インタビュー】株式会社BluE Nexus「~アイシン・デンソー・トヨタの力を一つに~3社の社員で構成される組織が必要とする エンゲージメントを向上させる場所とは」
インタビュー

社員全員がアイシン、デンソー、トヨタからの出向者で構成された組織形態の株式会社 BluE Nexus。
3社の社員が自然と集う場所をつくるために行った本社1階の改装プロジェクトについて取材しました。
インタビュイー:
代表取締役 内山 秀俊 氏
経営管理部2室 主幹 川原 伸吾 氏
経営管理部2室 担当係長 中村 志乃 氏
VUCA 時代に合わせた組織形態
本日はよろしくお願いいたします。まず、御社の主な事業内容を教えていただけますか。
簡単に申し上げると、電気自動車をはじめとする電動モビリティ向けの「駆動ユニット」や「駆動システム」の開発を行っています。これらは、電気の力で乗用車・トラック・トラクターといった車両全般を走らせるための装置です。具体的には、電気自動車の心臓部である eAxle や、ハイブリッドシステムなどを開発しています。
2019年4月の設立時は約150名でスタートしましたが、現在は三河安城本社に約200名、海外の社員も含めると250名ほどが働いています。
社員は3社からの出向者で構成されていると伺いました。具体的に教えてください。
アイシン、デンソー、トヨタの3社からの出向者が約160名在籍しています。これに加え、派遣社員・委託社員が40〜50名ほどおり、合計で200名以上がこの建物で働いています。
正社員が全員出向者である理由は、アイシンが持つメカトロニクス技術とデンソーが持つエレクトロニクス技術を合体させ、そこにトヨタの車両メーカーとしての視点を融合させることで、地球環境保護につながるより大きな価値に高めてお客様に提供するためです。
社員の専門分野は技術だけでなく、営業・人事・経理といった幅広い領域に及びます。それぞれの会社から持ち寄った強みやノウハウを最大化するため、設立当初から「全員出向者」という体制で運営しています。
トヨタグループの中でも珍しい組織運営なのですか。
はい、珍しいと思います。
設立当初は全員出向でも、社員数が増えると直接雇用へ切り替えるケースが一般的です。現在、全員が出向者という形を継続しているのは、おそらく当社だけだと思います。
このスタイルには私自身のこだわりがあります。
VUCA の時代、世の中の流れに合わせ、技術は組み合わせたり、別の技術を融合したり、柔軟に最適化していく必要があります。そのために、「ゆるく合弁した形」がいちばん動きやすいのではないかと考えています。当社はその先駆けとなる存在でありたいと思っています。

社員のエンゲージメント向上を目指した改装プロジェクト
続いて、今回の1階改装プロジェクトの経緯を教えていただけますか。
今の時代に逆行しているように見えるかもしれませんが、私は社員に原則出社をお願いしています。というのも、各社から持ち寄った技術を効果的に融合させるには、オンラインだけでは不十分だからです。
改装前の2025年4月、私は社員に「エンゲージメントを高めていこう」と伝えました。その際に、「そもそも集まる場所がない」という声が上がったのです。
価値創造には3社の技術とアイデアを持ち寄ることが不可欠ですが、同時に、社員一人ひとりが楽しく働けることも重要です。
在宅よりも会社に来た方が面白い、成長できる、人とつながれる。その実感を持ってもらうための“場”が必要だと感じ、このプロジェクトが始まりました。
「オンラインよりFace to Face」と考える理由を教えてください。

私自身、出身元のデンソーでは名前や担当分野を知られていても、アイシンの社員からすると初対面です。そんな社員同士が集まる会社だからこそ、顔を合わせて「自分はこういう技術を持っている」「一緒に仕事をする仲間はどんな専門性があるのか」を知ることが大切です。
そこから「それならこんな解決策あるよ」「ここはコラボしたら面白いね」という話が生まれます。
オンラインでも不可能ではありませんが、どうしても偶発的な発想や深い議論は生まれにくい。知識・ノウハウをスピーディに理解し融合し、必要な製品を他社より早く開発するために、Face to Face は欠かせないと考えています。
もちろん在宅勤務も可能ですし、チームごとに「今日は午後に集まろう」など柔軟に働ける環境は大切にしています。
出社の価値を最大化するための空間でもあるのですね。
はい、おっしゃる通りです。
さらに、BluE は愛知県内大手3社の社員が集まっているにも関わらず、お客様を迎える場所がありませんでした。大切なお客様が来社されても社員用の会議室にお通しするような状況で、十分なおもてなしができていませんでした。
そこで、香りや照明も含めて“おもてなし”を意識した空間づくりにこだわりました。
偶発的なコミュニケーションを生むサードプレイス
改装で一番重視したポイントはどこですか。
テーマは「場づくり」です。
- 社員が自然と集まる場
- おもてなしの場
- 昼食や休憩ができるリラックスの場
- アイデアを持ち寄って“わいわい”議論する場
そうした複数の“場”をつくりたいという想いがありました。
コーヒーを飲みに来たついでの雑談から「これやってみようか」「こんな情報があるよ」といった会話が生まれることが狙いです。
コーヒーマシン周りの造作にもこだわり、立ったままのカジュアルな打合せが自然に起きるようにしました。
また社名の「BluE Nexus」にもある「青(BluE)」を基調とした内装にこだわりました。「BluE」には、クルマの電動化を通じて青い空を守りたいという想いが、大文字「E」には、電動化を意味する「Electrification」と守っていくべき大切な「Earth」の意味を、そして「Nexus」にはアイシン、デンソー、トヨタ3社の力を結集させ、強いつながりをもって取り組んでいく、という想いが込められています。内装の色合いからも我々の企業の使命を感じられる空間にしました。
さらに、プロジェクトは総務ではなく“実際に使う社員”が推進し、
性別・出向元・各部署をミックスした10名弱のワーキンググループを組みました。
社員の皆さんは実際にどのように使われていますか。


先日も、お客様との打合せ前に様子を見ていたのですが、
出張で来たアイシン・デンソーのメンバーと BluE 社員が最初は別々の場所で議論し、1時間ほど経った頃に一つに集まり議論を深めていました。
以前なら3社で会議後、一旦各社に議題を持ち帰り、翌日に全体でまとめるという流れでしたが、このフロアができてからはその場でスピーディに議論が進むようになり、「よし、思い描いた通りだ」と感じました。
今後は、BluE に出向していないアイシン・デンソー・トヨタの社員にも活用してもらえる場にしたいと考えています。
リニューアル後、社員やお客様からはどんな声が届いていますか。

社員には理想どおり使ってもらえており嬉しく思いますし、お客様からも良い反応をいただき、オフィスとしての価値が上がったと感じています。
美味しいコーヒーのおかげで息抜きの場となり、そこで偶発的なコミュニケーションも生まれているようです。先日、コーヒーマシンの前で違うフロアの女性社員数名が談笑していて、私が来たら急いで席を立とうとしたので慌てて引き止めた…という微笑ましい出来事もありました(笑)。
普段接する機会の少ない社員同士がつながる効果を実感しています。
(川原)「会議室が増えて嬉しい」「気軽に話せる場ができた」といった声を多くもらっています。
(中村)社員が集まる場としてだけでなく、集中したい時に半個室のブースを使う方もいて、皆さんそれぞれ上手に活用しているようです。
サードプレイスとしても機能しているのですね。
はい。
「下のカフェで話そう」と自然に言える雰囲気で、執務エリアと適度に離れていることも効果的だと感じます。
また、これまで全員が集まる場所がなかったため、新年の始業式や年度計画の発表などにも活用しています。社員同士がくつろぎながら昼食を取れるようになった点も良かったですね。
目指すは3社の人材が「自然と集まる場」
最後に、今後の展望を教えてください。
まずは、このフロアをどれだけ活用し、交流を増やせるかにこだわりたいです。
たとえばスポーツ観戦をしながら、みんなで食事をするイベントなど、出社が楽しくなる仕掛けを考えています。
“強制”ではなく、“楽しい場だから自然と集まる”。
そうした文化をつくり、より良い製品づくりにつなげたいと思っています。
また、「その打合せは BluE でしよう」「BluE で働きたい」と言われるような、アイシン、デンソー、トヨタ3社の人材が自然と集まる場として定着させたいです。
さらに、社員の家族にも休日に開放していきたいとも考えています。
自分の働く場所を子どもに見せたいという気持ちにも応えられますし、社内の雰囲気を感じてもらえる場にもなります。
電動モビリティの会社らしく、ミニ四駆大会を開催して子どもたちを招く構想もあります。

フロアの改装によって社員や社員の家族とのエンゲージメントもあげられる、とても素敵なお話をお伺いできました。
本日はありがとうございました。