病院に必要な節電対策とは?電力消費の特徴や省エネアイデアを紹介
コラム

病院は24時間稼働するため、多くの電力を消費します。コスト削減や災害時の安定した医療環境の維持のために、節電が重要です。本記事では、病院における節電の必要性や空調・照明の節電対策、全体での節電意識向上のポイントについて紹介します。
目次
病院で節電が必要な理由

病院の効率的な運営を目指すために、節電を考慮する必要があります。まずは、病院における節電の重要性について見ていきましょう。
1. 消費電力が多い傾向にあるため
病院では、空調、照明、医療機器(MRIやCTなどの高度な検査機器)など、多くの電力を消費する設備が常に稼働しています。
空調や照明については、患者の体調に配慮した設定が必要です。さらに、大規模な病院では24時間体制で稼働する病棟や施設があり、緊急患者の受け入れに備えて待機させておくべき機器もあります。このような事情から、電力消費が営業時間内に限定される小売店や事務所と比べ、病院の電力使用量は多い傾向にあります。
2. 緊急時・災害時もエネルギーを維持する必要があるため
病院は地域社会の健康や生命を守る役割を担っています。そのため、災害時にも稼働できる環境を整えておく必要があります。エネルギー供給が不安定な状況でも対応できるよう、日頃から節電や省エネに取り組むことが重要です。
また、社会の一員として、環境問題という大きな社会課題に取り組む責任を果たすためにも、節電への意識が重要です。
3. コスト削減になるため
病院は規模が大きいため、運営費における電気代の割合も大きくなります。近年は、高騰する燃料価格や不安定な社会情勢などにより物価が上昇しており、電気代も例外ではありません。節電によるコスト削減に努め、安定した運営を目指しましょう。
病院の電力消費の割合・特徴

病院内で消費される電力は多岐にわたります。資源エネルギー庁が公開している「夏季の省エネ・節電メニュー」によると、医療機関における電力消費の主な内訳は次のとおりです。
空調 | 34.7% |
照明 | 32.6% |
医療機器 | 6.6% |
※夏季の点灯帯(17時頃)
参考:資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー」(令和5年6月)
医療機関における電力消費の約67%は空調と照明が占めているため、これらの節電に力を入れる必要があります。なお、一般的に病院の規模が大きいほど、空調や照明の電力消費が占める割合が大きくなります。
【空調】病院の節電対策アイデア

ここからは、具体的な節電対策アイデアを紹介します。まずは、電力消費に占める割合が大きいため、大きな節電効果が期待できる空調について見ていきましょう。前提として、患者の治療やケアに支障がない範囲で行うことが重要です。次のようなアイデアや取り組みにより、無理のない範囲での節電が可能になります。
<空調の節電対策アイデア>
設定温度の適正化 | 設定温度が過剰に高い・低い状態になっていないか見直し、適正化をはかる。 |
ブラインドの使用 | 夏場はカーテンやブラインドを使って日差しを遮ると、室内の温度上昇を防ぎ、空調の負荷を軽減できる。 |
フィルター清掃 | 空調のフィルターを清掃すると空調の効率が上がり、消費電力が減る。 |
室外機の環境を整える | 熱交換が正常に行われるよう、夏はすだれを活用して室外機の温度上昇を抑える。冬は温度低下を防ぐために日光が当たるよう工夫する。また室外機周りに余計なものを置かず、整理整頓することも節電対策になる。 |
外気導入量の最適化 | 夏は外気導入量(換気により屋外から取り入れる空気の量)を減らすことでエアコンの運転頻度が軽減し、節電効果が期待できる。ただし、外気導入量を削減しすぎると室内が換気されないため、CO2濃度が1,000ppm以下にならないよう確認しながら導入量を絞る。 |
分散起動をする | 複数の空調の同時稼働をできる限り控える分散起動を意識すると、ピーク時の電力削減になる。 |
【照明】病院の節電対策アイデア

照明は、空調に次いで病院での電力消費が大きい部分です。院内のいたるところに設置されており、使用する頻度や時間も多いため、対策が必要です。照明に関する節電対策の主なアイデアは次のとおりです。
<照明の節電対策アイデア>
使っていない照明は消す | 使っていない部屋・エリアの照明をこまめにオフにする。患者が多い外来の時間帯のみ照明をつける工夫も有効。 |
照度を調整する | 照明の適切な照度を確認する。朝・夕で照度を変える、明るい窓際では、照度を抑える工夫を取り入れる。 |
照明を清掃する | 汚れた照明を掃除することで照度が向上する。半年に1回を目安に清掃を行う。 |
照明をLED化する | LEDは蛍光灯より商品電力が少ないため、照明をLEDに交換することで大幅な節電が期待できる。 |
【その他】病院の節電対策アイデア

空調や照明のほかにも、病院でできる節電アイデアは多数あります。院内のさまざまな部分に目を向け、節電の工夫ができないか考えてみましょう。
<その他の節電対策アイデア>
使用していない機器の電源を切る | 使用していない機器の電源をこまめに切ると、待機電力の消費を防げる。プリンターやコピー機も使わない時間は電源をオフに。パソコンも待機時は電力の消費が少ないモードに切り替える。 |
給湯温度を見直す | 衛生的に必要な温度を維持した上で、設定温度をできる限り下げる。 |
トイレの温水便座設定・手洗い用の温水設定を見直す | 設定温度を下げる、冬以外は電源をオフにするなどの工夫を行う。 |
ボイラーの稼働台数を減らす | ボイラーの使用状況を見直し、可能であれば稼働台数を減らす。 |
エレベーターの稼働を減らす | 利用者が少ない時間はエレベーターの運転台数を減らし、稼働を停止する。 |
自動販売機の運転設定を見直す | 日中の照明をオフにする、冷却停止時間を長くするなどの工夫を取り入れる。 |
病院全体で節電意識を高めるためのポイント

病院全体で節電を推進するには、組織体制の整備や課題の明確化、目標設定が重要です。持続可能な病院運営を目指し、節電意識の向上に取り組みましょう。
1. 節電を推進するための組織体制を整備する
病院での節電を成功させるためには、節電に向けた組織体制づくりが必要です。院内の医療従事者と患者、双方の理解と協力を得て、節電意識を病院全体で共有しましょう。また、病院のトップを含め、各部門から委員を選出して省エネ委員会を設置するのも有効です。各部門の委員は、省エネリーダーとして部門内での節電を推進します。
2. 節電に関する課題の特定と目標設定を行う
節電を推進するにあたり、まずは現在の電力使用状況を分析し、課題を明らかにします。明確な課題があれば、有効な対策を立てやすくなります。次に、節電の目標や方法を院内の医療従事者や患者に周知します。ただ漠然と節電を促すのではなく、目標設定を行うことで、より効果的に節電を進められます。
必要に応じて補助金制度を活用することで、費用を抑えつつ省エネ化を実現できます。整った医療設備・環境と省エネのバランスを意識しながら節電を進めることが大切です。
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医療機関における夏季の電力消費のうち34.7%を占めるのは、空調です。空調を省エネ化すれば、大幅な節電効果を期待できます。
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病院の節電対策に取り組み、よりよい医療環境の実現へ

病院における節電対策はコスト削減にとどまらず、地域医療の安定にもつながります。医療環境や設備に支障をきたさない範囲で、空調や照明など電力消費の大きい設備から節電に取り組むことが重要です。病院全体で節電意識を共有する体制づくりを進め、持続可能な病院運営を目指しましょう。